マントヒヒ


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マントヒヒは面白い顔をしている。
誰かに似ていると思ったが、すぐに某政治家であることに気付いた(笑)

マントヒヒは集団の中での関係にデリケートな動物のようで、常に過剰なほどお互いを意識して生きている。
檻の中でボス格の1頭は、巨大で迫力のある顔とお尻を持っていて、他の個体は常にボスの動きに注意を払っている。
何か気に入らないことがあり、ボスが歯を剥き出しにして怒ると、他のヒヒたちは一斉に反応する。

一度何かに驚いたらしく、檻の中にいる十数頭のヒヒたちが、一瞬で飛び上がった。
ドカーンと音がしてロケットのように四散し、0.5秒後には地面にいたすべてのヒヒが檻の天井にしがみついていた。
あまりの凄まじい反射神経に、見ているこっちが驚いてしまった。

恐らく外敵に対し弱い立場の生きものなのだろう。
常にビクビクしながら生活している。
それでいて覚めたような目で、檻の外の様子を窺っているから、実に不思議な動物だ。

ヒヒの檻の前に、パンチパーマにサングラスの若いヤクザの兄ちゃんが、子供と奥さんを連れてきていた。
ベビーカーに乗せた子供が、手すりの内側、ヒヒの檻の前に、手に持っていたオモチャを落としてしまった。

「お前、何やってんだよ!」
怒りながらも兄ちゃんは地面に這いつくばり、手すりの下から腕を伸ばして、オモチャを取ろうとした。
なかなか手が届かず、袖の下から腕に彫られた刺青が覗いたので、周りにいた人たちは引いた。

ふと上を見ると、ヒヒたちが檻の中から、その姿をじーっと見ている。
集まった十数頭のヒヒたちが、冷ややかな目で黙って見つめている。

「お・・お前ら、何見てやがるんだ。こ・・このやろう!」
兄ちゃんは地面に伏せたまま声を荒らげた。
奥さんが苦笑し、「あんた、何サルに怒ってんのよ」
「だ・・だってこいつら、俺のこと見てやがる」

周りの人たちは、可笑しくても笑うわけにいかず、下を向いて笑いを堪えていた。(笑)

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