閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

胡桃ボタン

2006-08-21 08:24:39 | 日々

…だと信じていたのです。かなり大きくなるまで。
どんぐりや胡桃をボタンにしていた昔の名残なんだ、って。
本当は、ボタンを共布でくるんで作るから、くるみボタン。
でも子どものころの思い込みって、なかなか抜けないもので。

マーシュマロウという植物があります。和名は薄紅立葵。
何年前だったか、庭にこの花が咲いていたとき、
ちっちゃい女の子が遊びに来たので、わたしは教えました。
「この実がポンと割れると、マシュマロが出てくるんだよ」
…ふふ、今でも信じてるかな、あの子。

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文房具の話

2006-08-20 09:03:49 | 日々

文房具っていう言葉そのものが、もう古いらしいです。
いまは…ステーショナリー?
子どもたちはシャープペンやカラーペンをざくざく持っていて
何もかもカラフルで軽くてお菓子のおまけの玩具のよう。

わたしがおはなしを書きはじめたころは、
鳩居堂の原稿箋にモンブランの太い万年筆、
みたいなのが「大人の作家」の象徴でしたっけ。
明治や大正時代の話ではありませんよ。
銀座の伊東屋という老舗の文具店へ行くと、
学生には手の出ない高級品がたくさんあって、
奥のほうには「執事」みたいな年配の店員さんがいたりして、
うーんと悩んだ挙句に舶来のレターペーパーを
そおっと手にとって、どきどき、しました。

大学の入学祝にもらったプラチナの万年筆。
濃紺にキラキラとこまかい金の散った細身のそれに、
「ミルキーウェイ」と名前をつけて長く使っていました。
ライフのB5の横書き用原稿用紙に、縦書き。
「木苺通信」を書いていたころの、お気に入りだったな。
ライフの原稿用紙は、売っている店が近所になくて、
書き損じるともったいなかったから、
気をつけて気をつけて1字ずつ書きました。

ワープロを使い始めたのが、13年くらい前。
産業革命、ですね。
パソコンに乗り換えたのが、いつだろう、8年くらい前?
もう話題はせいぜい、WindowsかMacか、っていう程度。
文房具の話ができなくなって、寂しい。

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こうもり

2006-08-19 08:46:42 | 日々

Mのアトリエは、木造で、一部ロフトつきの平屋ですが、
床下に大人が立って歩けるほどの空間があり、
ほとんど地下室のようにして倉庫がわりに使っています。
ひんやりして暗いので、ときどき猫がお昼寝していることも。
ここに、珍しいお客さんが来ました。
こうもりです。

懐中電灯を持って、そーっと入っていくと…
いたいたいた!
きゅうに光をあてたので、びっくりして飛び立ちました。
地下室をくるくるとすばしこく飛び回ります。
ツバメみたいに速い。でも、ぜんぜん羽音がしません。
ふわっ、ふわっ、と気配が耳のそばをかすめるだけ。
しばらくしたら疲れたのか、奥の天井にぷらんとぶらさがりました。
こんなに近くで見るのは初めてです。
身体は野ねずみくらい。大きな耳をしています。
翼も、たたんでしまうとすごく小さいのです。
可愛い。柔らかそう。さわってみたい。

ブルース・ウェインは、子どものとき洞窟に落ちて
こうもりの群におそわれたのがトラウマになり、
のちにそれを逆手にとって、人の怖がるものを自分の
シンボルマークにした…って、クリスチャン・ベール主演の
バットマンの映画ではそういういう話になっていましたが、
怖いかなあ、こうもりって。
『トム・ソーヤーの冒険』にも、ありましたよね、
こうもりのいる鍾乳洞で道に迷ってしまうところ。
欧米にはねずみを怖がる人が多いから、
そういう人には「空飛ぶねずみ」はもっと怖いのかも。

昨日も今日も同じところにいた、ということは、
ここに棲みつくことにしたのでしょうか。
1匹では寂しそう。お友だち連れておいで。
でも、どんどんふえて百匹にもなったら困るかな。
うーん、床下に百匹いても可愛いだろうか。
それとも、ちょっと怖いだろうか。

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猫穴封鎖

2006-08-18 09:29:40 | 日々

ジージージージージジジジッ!
という音が聞こえたら、すぐに窓を閉める。さもないと、
次の瞬間、セミをくわえた猫が飛び込んでくるからです。

夏の風物詩、なんてものではありません。
鳴きながら部屋じゅうバタバタ飛び回るセミと、
それを狙って駆け回りジャンプする2~3匹の猫。
たいそう刺激的な眺めではありますが、
ほうっておくとどんな被害が出るかわかりません。
こういう事態に備えて、家の中には虫とり網が2本も
置いてあります。素早くすくって、外に出してしまう。
おかげで、わたしはセミとりが上達しました。

猫はなぜ獲物をわざわざ持ち帰るのか。
安全な隠れ場所でゆっくり食べよう…という説と、
巣にいる子猫におみやげ…という説があります。
たぶんその両方が混ざっているのでしょう。
猫にとって、ごはんをくれる人間は「親猫」ですが、
同時に、巣で待っている「子猫」でもあるわけなのね。
まりん母さん、おみやげどうもありがとう。
でも、いいんだよー、夜の10時にとってきてくれなくても。

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さやいんげん

2006-08-17 09:25:07 | 日々

…気がついたら、この夏、ほとんど食べていなかった。
奥歯で、きゅっきゅ、と噛みしめる夏野菜。

以前は、夏になると食べきれないくらいとれたのに、
ここ数年は、さっぱりです。
作物、とくに豆類は、何年か同じ場所で作っていると、
連作障害といって、出来が悪くなります。
でも、場所を変えても、あんまりうまくいかない。

野菜の即売所で耳にしたおばあさん同士の会話。
「あんたとこ、ミタビまいたかね」
「いやー、ミタビはオガがえらくてえらくて」
ミタビは三度豆、いわゆるさやいんげんのことですね。
オガっていうのは、豆の害虫です。カメムシの仲間で
針をさして汁をちゅうちゅう吸ってしまう、らしい。
そいつが偉いとほめてるわけではありません。
「ひどくて困る」と言ってるのです。

そうか。よそでも、そうなんだ。
薬、使わないと、だめなのかな。
それだったら、あきらめて買ってきたほうがいいかな。
「おうちでとれる」が常識になってしまっていて、
売ってても素通りしていたけれど…やっぱり買ってこよう。
ゆでて、胡麻あえで、しっかり食べましょう。

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夢日記

2006-08-16 09:24:20 | 日々

10代のころ、短期間ですが、夢日記をつけたことがあります。
枕元にノートを置いて、目が覚めるとすぐ書きとめました。
ほんとにすぐに書かないと忘れます。
断片的なキーワードひとつふたつでもいいのです。
書くと忘れません。
読み返し、思い返し、あるいは他人に話したりするたびに、
意味のない夢は意味づけされ、ひとり歩きを始め、、
少しずつ変形し増幅して、だんだん違ったものになっていく。
それは怖い夢ばかりでした。

身体に悪いからすぐにやめなさい、と教えてくれた人がいました。
やめて、よかったと思います。

  〈殺風景な港のようなところです。
  岸壁に大きな船が、ぼんやり見えます。
  夜なのか、暗くて、雨も降っているようです。
  おおぜいの人がいて、その船に乗ろうと急いでいます。
  わたしも、その中にいます。誰かとしっかり手をつないでいます。
  突然、光がさすように、わかるのです。
  ああ、そうか。夢じゃない。こっちがほんとうなんだ。
  いつもみていた、むこうが、夢だったんだ。
  わかったことがうれしくて、うれしい気持ちでいっぱいになって、
  わたしは笑いながら走っていく。誰かと手をつないで〉

…あれは、どこへ行く船だったんだろう。
「こっちがほんとうだ」という、あのときの感覚は、
いまでも鮮明に思い出すことができます。
普通に町を歩きながら「あ、こっちは夢だ」と思うこともあります。
わたしは、いま、どっちがわに、いるんだろう。

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スーパーマン見習い

2006-08-15 08:45:31 | 日々

夏休み前半の部活が終わって、Kはバイトの毎日。
去年と同じ、隣町のスーパーで、メロンやスイカを売ったり、
大量のとうもろこしを袋詰めしたり、しているようです。
「お兄ちゃん、女の子かと思ったよう」
今年もまた初日から、お客さんに言われたそうで。
それも、ひとりじゃなく。

赤んぼのときから、どういうものか、たびたび女の子に
間違えられてきたKは、「またかよ~」と苦笑い。
たしかに「男子=イガグリ頭=漁師」のイメージがいまだに
根強い土地柄ではありますが…それにしても、ナゼ?
今年はもう背だって175センチくらいあるし、
髪がやや長めとはいっても、おさげにしてるわけじゃないし、
どう見ても女の子には見えない、と、思うんですけど?

先日なんか、しばらくじーっと観察したあげく、
「はあー、あんた男の子かあ。アッハッハァ、ごめんよう」
と言ってったおばあちゃんがいたとか。
お年寄りの人口が圧倒的に多い地域なので、
若い子が立ってると、みんな喜んで「かまって」くれるのね。
そうかと思うと、お子様が下から手を出してレジを叩いて、
メロン1個をあっというまに数十万円にしてしまったり…。
スーパーマンの修行も、なかなかたいへんそう。
空を飛ぶのは、まだまだ先のことであります。

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絵本のつくりかた・その5

2006-08-14 08:42:52 | 絵本のつくりかた

ベニヤ板の絵ができました!
「見ていいよ」と言われたので、すぐにアトリエに行って
見せてもらいました。

ベニヤの木目がきれいに透けて見えるように、
下地をうすく塗った上に描いてありました。
アクリル絵具は、濃いとペンキみたいに不透明になりますが、
うすく使うと透明な水彩の感じが出ます。
板が絵具をすいこむので、全体にしっとり落着いた雰囲気に
仕上がっていました。
…うん、すごく、いいじゃない!

「じいっと見ることのできる絵」が、わたしは好きです。
元気にぽんぽん飛び出してきてお喋りをするような絵は、
最初のインパクトは強くても、すぐ飽きます。
一方通行で、こちらの気持ちを受け止めてくれないからです。
一見地味でも、奥行きがあって、じいっと見ているうちに
だんだん絵の奥に入っていけるような、そういう絵が好き。

B4くらいのサイズの板に描いた片ページの絵が20枚。
その倍の見開きの絵が2枚。あと小さいカットが7枚くらい。
板を買ってきてから、1ヶ月たっていません。ということは
1日1枚くらいのペースで描いてるんだ。早いです。
「早くて丁寧」と、クリーニング店の広告みたいな本人の弁。

ダミーと絵が多少変わっていたところもあったので、
ほんのすこし、ネームを手直ししました。
ページをひらいたとき、誰でも、まず絵をぱっと見て、
それから文章を読んでいきます。「見る」と「読む」の内容に
ずれがありすぎると、もたもたした絵本になってしまいます。
そういうところを直しました。
絵の直しは、よほどのことがない限り、ありません。

Mは、来週、この絵を持って出版社に行くことになっています。
板で重いし、かさばるので、送ったら?と言いましたが、
送って万一のことがあると困るし、自分の作品はやっぱり自分で
届けたいみたいです。力持ちでないとできないお仕事ですね。
この木目が印刷でどこまできれいに出せるか、
あとは出版社と印刷所しだい、というところ。

そうそう、この絵本には、なんと〈閑猫堂〉が描いてあります!
どこにどんなふうに出てくるかは、まだ内緒。
出来上がってのお楽しみ。

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太陽のほほえみ

2006-08-13 08:38:57 | 日々

…って、なんだっけ?
なにげなくスーパーのレシートをながめていたら、
真ん中あたりにそういう印字があるのです。
太陽のほほえみ。そんなもの買いましたっけ?
太陽なら、ほほえみでも大笑いでも、こっちが売りたいくらい
いっぱいあるんですけど。

10秒くらい考えて、思い出しました。
わたしが買ったのは北海道産「太陽のほほえみトマト」でした。

ついでにずーっと見ていくと、一番下で、またどきっとする。
香りの食卓…って、なんだっけ?
あ、これはね、キャットフードの新製品です。

こういうレシートを、まったく知らない人が見たら、
どういう家を想像するかしら、って思ったのでした。
猫がいる。ビールを飲む人もいる。野菜が多めの献立。
お菓子がないから、小さい子はいないらしい。
あ、でも、お菓子はコンビニで買うのかも。
鰹のたたきは、今夜のビールのつまみだな。
いやいや、じつは鰹は猫が食べるので、つまみは、ほら、
香りの食卓っていうやつ…だったりして。

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ストロベリーフィールズ

2006-08-12 08:23:42 | 日々

苺畑に柵ができました。
いのししさんたちが入らないようにです。
高さ1メートルの鉄の格子状の柵を資材店で売っています。
それを12枚ほど買ってきて、Mが午後いっぱいかかって
ぐるっと畑を囲み、出入口の扉までつけてくれました。

いのししは山にいて、夜になると里におりてきます。
たいそう力持ちの動物で、人がひとりでは動かせないような
大きな石でも簡単にごろんと転がしてしまいます。
石の下に隠れているカニやミミズが好物らしいのです。
朝起きると、あっちこっちに石がごろごろして、
地面が掘り返されて、バクダンでも落ちた跡みたいです。

この10年くらいで、きゅうにこうなりました。
サツマイモもトウモロコシもあきらめて作らなくなりました。
人間の自然開発で、山に食べ物がなくなったからだ、
と言う人がいます。もちろん、そういう地域もあるだろうけど、
このへんはそうではありません。手つかずの山があっても
いのさんはどんどん里におりてくる。
人の畑や庭や花壇は、コンビニでマックでファミレスです。
いのさんだって、らくをして美味しいものを食べたいのです。

苺畑は、ずっとまえからわたしの受け持ち区域で、
ジャムにすると最高の小粒な苺がたくさんとれました。
苺のとなりにはレモンバーム、タイム、ローズマリーなどなど。
ときどき遊びがてら世話をする、気持ちのいい一角でした。
畑みたいで、花壇みたいで、雑草も好きなのは残しておくから
一見ごちゃごちゃで足の踏み場もないようで…
でも、何がどこに生えているか、わたしだけは知っていたし、
苺も気持ちよさそうだった。

苺が好きで、こっそり食べていくなら、まだわかるけども、
食べる気もなく踏んづけて、石を放り投げてひっくり返して、
散らかし放題で帰っていく無作法が、悲しいよ。

これからは柵の中の苺畑。
10月になったら植え替えをして。ハーブの苗も少しずつ買って。
いつかはまた居心地のいい場所になる。
きっと、なるでしょう。

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