夕飯の支度をしなくちゃ！と急いで2階から降りてきたら、
そのへんで寝ている猫どもが、わたしの顔をみて
つぎつぎにあくびをするのですよ。寝たまま。
ピアノの椅子で、ちゃけ（あくび）
窓辺の箱で、こだま（あくび）
テーブルの下で、まりん（あくび）
「おてつだいしましょうか」って言う子はいないのかい。
もうずっと前ですが、新聞で読んだ話。
詩人の三木卓さんが、中国のある地方を訪れたとき、
町のどこへ行っても猫を1匹も見かけなかったので、
「猫はいないんですか」ってたずねたんですね。
そしたら案内の人が、こう答えたそうです。
「だって、猫なんて、何の役にも立ちませんもの」
そうだよなあ。
何の役にも立たないのに、
どうしてこんなに可愛いんだろう。
中国も近年どんどん変わっているようです。
愛玩犬（食べるんじゃなく！）を飼う人も増えたそうだから、
猫も、いるかもしれませんね。
次に出す予定の絵本2冊の打ち合わせを画家さんとしました。
画家はMです。だから打ち合わせは、自宅で、すぐできます。
夕食後、片付けを済ませて、テーブルでお茶を飲みながら、
「それでは…」「おねがいしまあす」。
ふつうだと編集者さんをはさんで３者会談なのですが、
田舎の山の中に住んでいるので、
出かけるのも来ていただくのも時間がかかります。
作家と画家が同じ家にいると、話が早い。
思いついたときパッと相談できて、修正もすぐできて、
とことん納得いくまで何度でも話し合えて…とても便利。
「絵と文と、どっちが先ですか」ってよく聞かれます。
うちの場合は、ほとんど文（ネーム）が先です。
わたしは文章を書いて、ざっと場面割りをします。
32ページの絵本なら15場面になるよう番号をふって書きます。
それをMが見て（もし気に入れば、ですよ）ラフを描きます。
ラフは、大判のクロッキー帳を32マスに区切って
おおまかな構図を鉛筆で描いてあります。
映画の絵コンテと同じ。
この作業は喫茶店でも電車の中でもできるらしいです。
でも、まだイメージがかたまっていないので、
わたしは見せてもらえません。
次の段階で、ダミーができます。
ダミーというのは、画用紙を実際の絵本のサイズにして、
本のようにとじて、鉛筆で絵を描き、ネームを貼り付けたもの。
絵本には「ページをめくる」という動きの要素が不可欠なので、
必ずこういう試作品をつくるのです。
で、ここからが、打ち合わせ。
何度も何度もめくって、1場面ずつ検討していきます。
「ここ、こうしたら」「そうだね」って、絵も文も
その場で消して書き直したりします。
問題を解決するのに時間がかかることもあります。
意見が合わず、どっちもガンコに譲らない、ってことも、
まあ、ないわけではない、か。
昔の、家内制手工業。
下町の長屋で、職人さんとおかみさんとふたり、
せっせと招き猫か何か作ってる。そういう感じ。
ダミーがしっかりできた段階で、編集者さんの意見を聞き、
そのあとまだ編集会議とか販売会議とかタイトル会議とか、
数々の難関をくぐり抜けて…ようやく本番の絵が描ける。
ふう。まだまだ道のりは遠いです。
…それはそうと、先日の「ニュータイプロマンス」。
あの絵ってパソコンソフトで描かれたものなんですね。
「手塗りに似た」ってことは、手塗りじゃないんだ…。
パソコンでここまで描けるなんて知らなかったです。
本当に絵の具も筆もいらないのかな。びっくりびっくり。
（Mはパソコンどころか携帯電話もかけられないので
Kからは「古代人」と呼ばれております）
…をいただきました。新潟の特産品だそうです。
両手で持つと、まあるい茄子色の壺、のような感じ。
砲丸投げの砲丸って、これくらい？
8個ずつきれいに並んだ箱が、2つ。
毎年、苗を4～5本植えると夏じゅう採れるので、
茄子は買う必要がないのですが、今年は苗が小さくて
うまく育ちませんでした。珍しいことです。
先日、Mが仕事で糸魚川に出かけ、たまたまその話をしたら
地元の方がすぐに送ってくださったのです。
昨夜は2個を切って油で焼き、甘味噌をのせて食べました。
柔らかくて、しっかりしてて、美味しい。
「トマトソースも合うんじゃない？」とKが言うので、
今夜はきっとそうなるでしょう。
さてさて、16個の茄子、全部食べきれるだろうか。
…を落とすのですよ。猫が。
机の上から、ごみ箱の中へ。わざと。
黒いゴムみたいな厚手のコースターなので
ごみ箱の回転式のふたにぶつかってゴン！と音がします。
これは珊瑚（さんご）の「腹へったぞ！」のアピール。
寝ている頭の上で、まずこれをやる。
これで起きないと、次はみしみしとプリンタの上を歩く。
体重5キロ、鼻先から尻尾の先まで１メートルの猫です。
電話機にとびうつる。受話器を蹴り落とす。ボタンを押す。
起きるしかありません。
わかったわかった、さんちゃん、110番にかけないでくれえ。
まず、ごみ箱からコースターを拾い出して、っと…。
机のすぐ横にごみ箱を置かなきゃいいのですけどね。
デジタルカメラも落とされたことがあります。
これはすぐ気がつかなくて、あやうくそのまま捨てるとこでした。
でも、紙くずの上じゃなく床に落ちたら、確実に壊れてた。
ほめていいのか悪いのかよくわからない。
猫って、いつも、そう。
カモフラージュでもなくて、
えーっと、えーっと、誰だっけ？
何度でも忘れてしまうのは、
カンナバルロとカモラネーゼ。
サッカーのイタリア代表選手でした。
『指輪物語』でも、サウロンとサルマン、とか
モルドールとモーリア、とか、すぐごっちゃになってしまって
いまだに最後まで読み通せていないんですよね。
外国語をカタカナで書くと、原語に含まれる意味や由来が抜けて、
「音」だけの字になっちゃうからでしょうか。
『ゲド戦記』の「カラスノエンドウ」みたいな名前が好きだなあ。
明け方3時半ごろ、猫たちがドタバタあばれたり、
ごはんの催促に来たり。
もうＷ杯は終わったんだよう。
…W杯決勝をしっかり見てました。眠い。
ずっとイタリア贔屓のKは優勝にご満悦だけど、いいのかなあ、
高校、期末試験の真っ最中…。
人間たちが変な時刻に起きて騒いだので、5匹の猫もみんな出てきて、
早い朝御飯（お夜食？）をねだったり、しばらくうろうろしていましたが、
TVがやかましいので２階にあがって寝てしまった様子。
もともとスポーツにはほとんど興味がありません。
積極的に観るようになったのはサッカーと、フィギュアスケートくらい。
さあ、4年後も早起きしているかな？
★〈閑猫堂〉について
〈閑猫堂〉は、閑猫＝竹下文子の個人ブログです。
すべての文章と画像の著作権は筆者にあります。
（いただきものの画像については、原作者にあります）
無断転載や転用はかたくお断りいたします。
★記事全般について
このブログは公開した後も加筆修正が多めです。
何か月も前の記事でも書き直していることがありますので、なるべくキャッシュファイルでなく最新のものをごらんください。
★コメントについて
コメントは通常OFFの設定になっていますが、たまに気まぐれ（または、うっかり）で開けているときもあります。気がついたら何か書きこみしていってください。
承認制になっているため、反映に半日ほどかかることがあります。
★カテゴリーについて
日々・・ふつうの日常雑記です。
お知らせ・・新刊の告知など。
Ｑ＆Ａ・・お気軽にご質問ください。
謎・・閑猫の変な考え。正しいとは限らない。
絵本のつくりかた・・舞台裏のあれこれ。
サンゴロウ＆テール・・黒ねこサンゴロウとドルフィン・エクスプレス（三日月島のテール）関連。
きなな日記・・猫の「きなこ」が主役です。
絵・・M（＝鈴木まもる）の描いたもの。一部「サンゴロウ＆テール」に移行しました。
お問合せ窓口・・メッセージやメールの宛先は こちら をごらんください。
★ブログ内の記事や画像について、転載など使用許可をお求めの方は、お手数ですが、竹下まで直接ご連絡ください。
メールアドレスは〈お問合せ窓口〉にあります。
ブログ以外の、出版物の文章や絵の転載と二次利用につきましては、各出版社におたずねください。
★閑猫堂名義のインスタグラムは、現在のところ猫動画倉庫。ツイッターはアカウント持ってるだけの状態。フェイスブックその他のSNSはやっておりません。
（2022年12月28日更新）
…ブログを始めます。
雨の日、猫は外に出られません。閑なのでずーっと寝ています。
わたしも雨の日の猫みたいな気分になったときには、
ここにきて、ちょこちょこと何か書いたりしようかなあ。
そういうわけで、更新は不定期になると思います。
使いみちも、これから考えます。
まず、お知らせをひとつ。
7月10日発売の「ニュータイプロマンス」（角川書店）夏号に
「青い羊の丘」というお話を書きました。
イラストレーターあづみ冬留さんとのコラボ企画です。
じつはこれ、『木苺通信』の続編、というかサイドストーリーめいたもので、
主人公は男の子。このあと連載になる予定なんです。
女の子向きのアニメ雑誌なので、びっくり！の方も多いかも。
でも、自分ではかなり気に入っています。
そう、こういうお知らせをする場所が欲しかったのも、
ブログを始めた理由なんでした。
