なつの はじめに かってもらった むぎわらぼうし。
しろい リボンが すこし ほつれています。
1985年に出た絵本『むぎわらぼうし』。
いせひでこさんの絵が素晴らしい、お気に入りの1冊です。
「いせさんブルー」と、ひそかに名づけた、青い色。
揺れている波と、さるすべりの紅い花。
絶版になっていましたが、このたび新装版という形で
講談社から復刊になりました。
表紙のタイトルデザインがちょっぴり変わったくらいで
あとは当時とまったくおなじです。
21年前。こういう絵本をつくりたかった。
とことん文章にこだわって、1字1句に神経をとがらせて、
水晶玉みたいに完璧だと思えなきゃ納得しなかった。
いまでも、こういう絵本をつくりたい。それは変わってないけれど、
歳をかさねたぶん、変わったものも、きっとあるでしょう。
子どもの頃、夏が、海が、そんなに好きだったかっていうと、
そうでもなかったような気がします。
ただ、夏休みが終わるのが何より悲しかった。
学校が嫌いだったから。
壁の前に不安気につっ立っている女の子は、わたし。
帽子を深くかぶって、このまま隠れていられたらいいのに。
…そういうこと、いまになって、ようやく、わかります。
絵本は鏡。忘れていた気持ちを映してみせてくれる。
久しぶりに手にする『むぎわらぼうし』。
いろんな意味で、とても、なつかしい。
むぎわらぼうしは もう かぶれません。
「るるこ、はやく」
おねえさんの よぶ こえが きこえます。
作者と画家のメッセージはこちら→ 講談社絵本通信
(8月24日まで)
新装版 むぎわらぼうし (講談社の創作絵本) | |
竹下文子 文 いせ ひでこ 絵 |
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講談社 |