弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

エルヴィス・プレスリー「GIブルース」

2023-08-08 23:02:48 | 趣味・読書
私が小学校高学年の頃、1960年前後です。エルヴィス・プレスリーは徴兵され、ヨーロッパの西ドイツで軍務についていました。軍務が終了して船でアメリカに帰る途中、日本の、たしか横須賀あたりに寄港した、という新聞ニュースを見た記憶があります。
そして帰国後、映画「GIブルース」に主人公として出演し、主題歌を歌いました。当時私は、ちょうどヒットソングに興味を持つ年頃で、プレスリーのGIブルースが長いことヒットチャート1位を維持していました。映画は見ませんでしたが、そういうことでGIブルースには思い出があります。

今回、映画のDVDを購入し、初めて視聴しました。
GIブルース(映画)


GIブルース(CD)


主題歌の中に、繰り返し"Occupation G.I. Blues"が出てきます。ここで"Occupation G.I."はどんな意味だろうか。
"Occupation"には「仕事」「占領」との意味があります。ネットでこの歌の和訳を検索すると、例外なく「仕事」として訳しています。しかし、この映画の中で、プレスリー扮する主人公は、進駐軍兵士としてドイツに駐留しているですから、「占領」の意味の筈だ、と思いました。
そこで、映画を再生し、字幕を文字起こししてみました。以下の通りです。

They give us a room with a view of the beautiful Rhine
宿舎はラインの絶景付き、ライン川は美しいけれど
They give us a room with a view of the beautiful Rhine
宿舎はラインの絶景付き、ライン川は美しいけれど
Gimme a muddy old creek in Texas any old time
テキサスの泥川が恋しい

I've got those hup, two, three, four occupation G.I. Blues
駐留軍のGIは憂鬱だ
From my G.I. hair to the heels of my G.I. shoes
頭の先からつま先まで
And if I don't go stateside soon I'm gonna blow my fuse
国へ帰らないとどうかしちまう

We get hasenpfeffer and black pumpernickel for chow
ウサギのシチューにライ麦パン、食事はいつもドイツ風
We get hasenpfeffer and black pumpernickel for chow
ウサギのシチューにライ麦パン、食事はいつもドイツ風
I'd blow my next month's pay for a slice of Texas cow
食いたいテキサスの牛肉

We'd like to be heroes, but all we do here is march
毎日行進ばかりで、手柄を立てる機会もない
We'd like to be heroes, but all we do here is march
毎日行進ばかりで、手柄を立てる機会もない
And they don't give the Purple Heart for a fallen arch
勲章なんかもらえない

I've got those hup, two, three, four occupation G.I. Blues
駐留軍は悲しくつらい
From my G.I. hair to the heels of my G.I. shoes
頭の先からつま先まで
And if I don't go stateside soon I'm gonna blow my fuse
国へ帰らないとどうかしちまう

The frauleins are pretty as flowers But we can't make a pass
ドイツ娘は美しい、でも簡単に手を出せない
The frauleins are pretty as flowers But we can't make a pass
ドイツ娘は美しい、でも簡単に手を出せない
Cause they're all wearin' signs saying: "Keepen sie off the grass"
“芝生に入るべからず”さ

I've got those hup, two, three, four occupation G.I. Blues
駐留軍GIはやるせない
From my G.I. hair to the heels of my G.I. shoes
頭の先からつま先まで
And if I don't go stateside soon I'm gonna blow my fuse
国へ帰らないとどうかしちまう
Occupation G.I. Blues
これが遠い異国のGIブルース
--以上--

予想どおりでした。GIは「兵士」の意味ですから、"Occupation G.I."は「進駐軍兵士」ということになるでしょう。
"Occupation G.I. Blues"は「進駐軍兵士のブルース」となります。
進駐軍兵士だからこそ、実戦がないので、「毎日行進ばかりで、手柄を立てる機会もない。勲章なんかもらえない。」となります。当然ですが。

テキサスの泥川やステーキが恋しい、手柄を立てる機会もない、ドイツ娘には簡単に手を出せない、といった状況です。字幕は、"Occupation G.I. Blues"を、駐留軍は「憂鬱だ」「悲しくつらい」「やるせない」と訳しています。"Blues"という単語にそういった意味合いを見いだしたのでしょうか。

映画の舞台は、1960年頃の西ドイツ、冒頭の舞台はライン川のほとり、そして移動してフランクフルトが後半の舞台になります。
町はきれいで、戦争の爪痕は出てきません。もっとも、小学校6年の頃(1960年頃)の私の記憶(東京在住)でも、もう戦争の爪痕は残っていませんでしたが。

次に、GIたちが付き合うドイツ人娘について。駐留軍GI(Occupation G.I.)と被占領国ドイツ(Occupied West Germany)の娘たちは対等で、「被占領国の住民」という卑下したところは感じられません。
同じ時期の被占領国日本(Occupied Japan)ではどうだったろうか。当時の東京の状況を思い出してみると、東京の市街で進駐軍兵士に遭遇することはまれだった、と記憶します。ですから、進駐軍兵士と日本人女性とのつきあい、という観点では実態を知らない、というのが私の記憶です。
(講和条約発効後ですから、Occupied Japanは正しくないですね。)

映画の中でプレスリーが歌うムーディーな歌も、とても良かったです。映画GIプルース、さらにブルーハワイが出たあと、エルヴィス・オン・ステージまでの長い間、プレスリーの魅力が封じられていたのは残念なことでした。
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