弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

対談:古賀茂明×長谷川幸洋

2011-07-12 21:58:57 | 歴史・社会
経産省の改革派官僚である古賀茂明氏と、ジャーナリストの長谷川幸洋氏との対談「改革派官僚はなぜ民主党政権からクビにされるのか (録画日時 : 2011/06/29 18:03 JST )」を、ライブで視聴するとともに、再度視聴してメモを取りました。
対談のテキスト化記事第一弾として退職勧奨を受けた改革派官僚を直撃VOL.1がすでに公開されていますが、せっかくですので、私が取ったメモをアップしておきます。

古賀氏と長谷川氏の関係について私の知識は、この4月に遡ります。4月19日の当ブログ記事東電の再生計画は、長谷川氏の記事「経産省幹部が公表をストップさせた「東京電力解体」案」に基づきますが、ここで長谷川氏が紹介した「東京電力解体」案を作成したのが実に古賀氏だったのです。
その詳細については、いずれ古賀氏の著書「日本中枢の崩壊」に基づいて紹介します。

古賀さんは、渡辺喜美行革相のもとで公務員制度改革に取り組んでいましたが、政権交代後の2009年12月に任を解かれ、そのまま官房付に1年半以上も塩漬けになっています。その古賀さんに対して対談の直前、経産次官が退職勧奨したそうです。7月15日までに辞めてもらう、ということのようです。

それでは、対談における古賀氏の発言をメモします。
《突然の退職勧奨について》
古賀さんは退職勧奨に応じるつもりはありません。それでもクビにするとしたら、海江田経産大臣の決裁が必要になります。大臣のためを思うと、なぜ今そのような案件を大臣に上げるのかが解せないと古賀さんは言います。
原発推進のために邪魔になるからかもしれない、という推測です。

《原発事故問題》
これは技術の問題というより組織のガバナンスの問題。
東電は競争がないので規律が働かない。
公務員制度改革が必要であることと同じである。
次官からは、東電を守れと指示が出ている。

《再生可能エネルギー全量買い取り法案》
法案には“全量買い取る”と書いていない。もし全量買い取らないなら、看板に偽りありだ。
条文には“安定供給に支障があるときは買い取りをやめられる”と書いてある。買い取り量が増えたときに恣意的にカットできる法律である。
法案には、最終的にマーケットに委ねる道筋が示されていない。

《原子力損害賠償支援機構法案》
東電を永久に塩漬けにする法案であり、東電社員にとっても不幸である。
損害賠償を東電が背負えないことは明らか。そのことを明確にすれば、全体の絵がガラッと変わる。しかし管政権は、消費税では不人気でも推進すると言っているが、東電問題では不人気な政策を言わない。

まず政権は、「電力業界に天下りした元役人を全員退職させてほしい」と言うべき。

《原子力の安全対策》
役人のメンバーチェンジをし、若手を抜擢して安全管理対策を立案すべきである。
もともと素人がやっているから、メンバーチェンジしても問題は起こらない。
経産省は保安院の切り離しをなかなか認めない。これは、“保安院をなるべく高く売りたい”がための作戦だろう。

《原発はすでに核燃料が地下に漏れ出しているか》
京大の小出助教が最近そのように発言している。今までの経緯では、小出助教の推測が、結局は“あのときはその通りだった”と後から認められているので、今回もその通りかもしれない。
核燃料が格納容器の底を突き破って地下に露出しているのであれば、地下水を通しての汚染を防止するために地下ダムを建設する必要がある。東電はそのような計画を立案しているが、その費用を公表しない。
現時点で費用を公表すると、東電救済法案がまだ成立していないので、この4/6月期の決算で織り込む必要が生じ、債務超過になる恐れがあるからだ。
なお、東電救済法案には、“大変なときはただでお金をあげます”という条文が含まれている。条文に「資金を交付する」とあるので記者は交付国債のことだと誤解するかもしれないが、別物である。

《次の総選挙での争点》
○脱原発、東電賠償
○公務員制度改革
○増税

公務員制度改革の肝は幹部の身分保障を撤廃できるかどうか。今回、経産省が古賀氏をクビにしたとしたら、クビにできることが明確になる。

民主党も自民党も、改革派とそうでない人をあぶり出す必要がある。
電力問題と公務員改革問題とは波長があう。電力を改革すべきと考えている人は公務員制度も改革すべきと考えている。
自民党であれば、河野太郎、塩崎恭久、中川秀直氏ら
民主党はなかなか表に出てこない。長妻昭厚、細野豪志氏がそうだ。

《管降ろし》
民主党の6人組は、内閣不信任案に反対したのだから、管辞めろというのならまず自分が辞めるべきだ。
幹事長は、会期延長幅で総理にちゃぶ台返しをされたが、そもそも総理の意に沿わない野党との合意をしたのだから、(党総裁の部下である)幹事長が腹を切るのが筋である。
自民党は議員を一本釣りされて怒っているがおかしい。総選挙で退場させられ、再入場するに際して“このように生まれ変わりました”と国民に説明しなければならないのに、何にも変わっていない。そのような自民党から一本釣りされる議員が出てもそれは自民党に問題があるのだ。
管降ろしの大儀が掲げられない。

《管総理の脱原発の旗》
管総理が東電を残す法案を出した。東電を残す限り、脱原発の旗は真っ赤な嘘だ。
(長谷川氏)国民は騙されている。
(古賀氏)今までも思いつき発言を行ってはすぐにやめている。国民は管総理の本質をわかっていると思う。

以上
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