弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

なぜ突然「ストレステスト」か

2011-07-07 22:27:23 | 知的財産権
原発のストレステストの話が突如持ち上がりました。

実はこのブログでは、ストレステストについて2回、取り上げています。大前研一氏の提言に基づくものです。
私が週刊ポスト2011年6月24日号に掲載された大前氏の提言を読んだのは、6月20日頃でしょうか。6月23日に「大前研一氏の提言」として記事にしました。
大前氏は、原発関連で首相が最重要課題として取り組むべき2つの課題のうちの一つとして、定期点検あけの原発再稼働問題を挙げています。
『第二に、13ヶ月毎に定期点検で停止される原子炉が住民感情などで再起動できなくなっている問題を解決することだ。・・・たとえ政府が安全だ、と宣言しても信頼性がない。いかに国民の納得を得ながらストレステストに合格したものについては再起動するか』『今やこの二つが最優先で取り組むべき刻下の喫緊時であるということを、政治家もマスコミも理解しなければならない。』

原子力安全保安院が「安全だ」と太鼓判を押しても、国民は信用しないから、国民が納得できるストレステストを大至急計画し、そのテストで安全が確認された原発については、首相が政治力を発揮して地元を説得し、再稼働させていかなければならない、という提言と理解しました。

ネットで調べてみると、例えば6月6日付けの『大前研一:「原発オールアウト」の危機をどう乗り切るのか』などで提言されています。

それに対して政府はどのような態度を取っていたでしょうか。
6月18日に海江田経産相が安全宣言を出し、翌19日には管総理がその方針を追認する発言をしました。あくまで追認であり、管総理が前面に出て指導する態度ではありません。本来首相が取り組むべき課題なのに、部下任せにしている、という危惧を感じました。6月23日に私が「大前研一氏の提言」として記事にしたのも、そのような危機感を感じたからです。
その後、海江田経産相は自ら玄海の町長を説得し、佐賀県の知事を説得し、再開直前までこぎ着けました。
ここで佐賀県知事が、最近の管総理の態度から危惧したのでしょう、古川知事は「菅首相の考えを確認したい」と述べ、菅首相との会談を要望していました。
そしてその次に飛び出したのが、管総理による突然のストレステスト命令です。

日本中の人が、「なぜ今突然にストレステスト命令が出たのか?」と疑問を感じていることでしょう。

私の想像では、もし佐賀県知事が「菅首相の考えを確認したい」と発信しなかったら、管総理はすべての責任を海江田経産相に押し付け、自分は関与しなかったことにしようとしていたのではないか。もしそうだとしたら、佐賀県知事から問いかけがなかったら、ストレステストも言い出さなかった可能性が高いです。

このまま全国の原発が次々と13ヶ月毎の定期点検に入り、点検後に再稼働ができない状況が続けば、日本は全国的に電力不足に陥り、産業の衰退、産業の海外移転による空洞化に加速がかかることでしょう。日本国総理であれば、そのような事態から脱却すべく、ストレステストが必要だと思うのであれば一刻も早く指示を出して進捗させるべきでした。

今の私の感想は、「日本国が日本国総理に人質に取られた」といったところでしょうか。

なお、私がストレステストについて触れた2回目は6日0時(玄海原発・復興大臣・尖閣諸島)、報道ではストレステストのスの字も有りませんでした。それから一夜明けたら日本中がストレステストに振り回されようとは、夢にも思いませんでした。
コメント (2)
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