弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

川口マーン惠美氏「原発事故の憂鬱と空疎な議論に関心を奪われて、いまの日本にいると外が見えなくなる」

2011-07-04 22:18:08 | 知的財産権
現代ビジネスでの川口マーン惠美さんの記事「原発事故の憂鬱と空疎な議論に関心を奪われて、いまの日本にいると外が見えなくなる」は、全くそのとおりと思うのですが、しかし自分の関心の向く方向をどうしても変えることができません。

まずは川口さんのコメントです。
『ドイツへ戻って来た。日本に4週間いたが、今、日本が抱えている一番大きな問題は、原発以外のニュースが、全部飛んでしまっていることだと思う。もちろん福島は、未だに収拾の目途さえ付かないのだから、皆の関心が集まることはわかる。しかし、それにしても、どこを見ても原発の話ばかりになり過ぎている。』
『さて、日本人の目が原発にくぎ付けになっている間に、世界では毎日いろいろなことが起こっている。たとえばリビアでは、NATOがカダフィ大佐を倒すために毎日激しい空爆をしているし、シリアではアサド大統領が、自分に逆らう自国民を容赦なく撃ち殺している。』
『また、何と言っても、この4週間、ヨーロッパで常に大ニュースになっていたのは、ギリシャの金融危機だった。ギリシャが破産すると、災厄はヨーロッパ全体、さらにアメリカにまで飛び火する。しかし、困るのはヨーロッパとアメリカだけではない。日本も大いに困る。それなのに、日本は、ここでもやけに無関心だ。』
『それに比して、ヨーロッパ外遊を終えたばかりの温家宝首相は、世界の動向に大いに関心を持っている。
26日にはハンガリーを訪問し、借金にあえいでいる同国の国債を大量に買い、12の経済協定を成立させ、さらに、中国開発銀行が10億ユーロを投資する。ハンガリー政府は、「歴史的規模の援助」と大喜びだ。と、こういう温家宝首相の動向を追う報道が、ドイツでも逐一行われる。日本の首相なら絶対にあり得ないことだ。』
『そして、すでにここまで水を開けられているというのに、日本の政治家はそれにも関心なし。原発に気を取られて、というならまだ許せるが、内部抗争に明け暮れているのだから許しがたい。国益を損なうこと、まことに甚だしい。ちなみに温家宝首相は、28日、ドイツとも100億ユーロ(1兆2000億円)の大型商談を契約した。』

私のブログ記事も、振り返ってみると原発事故関係に席巻されています。

日本の政治の惨状について、書けばいろいろあるのですが、まずは書く気がしません。
民主党政権の政治について、最初のうちは「心配もいろいろある」、次いで「これじゃがっかりだよ」でしたが、いつの頃からか「悪い夢を見ているような気がする」まで落ち込みました。
最近でいうと、一度は退陣を口にしたのに居座り続けている管総理も管総理ですが、それと同じ程度に民主党執行部も国政を担っている意識がなさ過ぎます。また、この機に乗じて人気を回復することができない自民党にも腹が立ちます。

現在、古賀茂明氏の「日本中枢の崩壊」を読んでいまして、それによると、民主党政権は政権運用能力に欠けているため、特に財務省の力に頼らざるを得ず、半ば財務省の言いなりにならざるを得ない、という状況にあるようです。そのため、消費税増税路線をひた走り、増税とセットで実行しなければならない公務員制度改革についてはもう自民党政権時代よりも大きく後退しています。
古賀茂明氏の著書や発言に接すると、頭脳明晰・理路整然・改革の意思に燃えています。そのような官僚を霞が関がクビにしようとしているようです。民主党政権は、この古賀氏を政権の中枢スタッフとして活用しないどころか、霞が関がクビにするのを黙認するもののようです。

そんな状況ですから、管首相が辞任したからといって、民主党政権が急によくなるとはとても思えません。
しかし、管首相は怒鳴りすぎる。管首相は人気取り政策にしか興味がない。震災・原発事故という、官僚の力を120%発揮させなければならない事象が発生しているのに、官僚の力を削ぐような政策を採っている。責任を下に押し付ける。以上のような特質が見えています。従って、民主党政権という制限の範囲ではありますが、菅さんのマイナスポイントを持たない人に変われば、少しは良くなるかもしれない、という期待に頼らざるを得ません。

本当のところ期待しているのは、自民党の改革勢力、民主党の改革勢力、それにみんなの党が結集して、新しい党派を結成してくれないだろうか、という方向です。
コメント (1)
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