<3774>奈良県のレッドデータブックの花たち(219)ヒキヨモギ(引蓬) ハマウツボ科(旧ゴマノハグサ科)
[学名] Siphonostegia chinensis
[奈良県のカテゴリー] 絶滅危惧種
[特徴] 日当たりのよい明るい草地や林縁の斜面などやや乾燥気味なところに他の草木とともに生える半寄生の1年草で、ヨモギに似た切れ込みのある葉を有するが、ヨモギの仲間ではなく、ヨモギの根に寄生することが多く、この名はこれに由来する。
高さは30~70センチで、茎には細かい毛が見られる。葉は卵形で、深く広線形に切れ込み、葉柄に翼があって、茎の下部で互生する。上部の葉は対生。これらの葉によって光合成が行なわれるが、十分でなく、宿主を求めて半寄生に及ぶ。
花期は8~9月で、葉腋に細長い筒状の萼をともなった鮮やかな黄色の唇形花をつける。萼は先が5裂し、花のように開く。萼から突き出す唇形の花冠は上唇と下唇からなり、上唇は1個、下唇は3裂して、花を上から見ると、翼を広げたジット機のような対称形に見える。
[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国、ロシア東部。
[県内分布] 御所市、宇陀市、曽爾村。
[記事] ヒキヨモギの漢名は陰行草(いんぎょうそう)。生薬名は鈴茵陳(れいいんちん)で、全草を日干しにし、煎じて服用すれば、利尿、黄疸に効くという。所謂、薬用植物である。同属のオオヒキヨモギ(大引蓬)に似るが、オオヒキヨモギは葉の切れ込みが浅く、筒状の長い萼に濃い緑色の隆起した肋があり、花冠が灰黄色で、下唇の一方が変形し、対称形に見えない特徴がある。 写真は花の黄色が鮮やかなヒキヨモギ(左・中・ともに曽爾高原)とオオヒキヨモギ(右・平群町の里山の林縁)。
涙には感動の涙と
無感動の涙がある
人間でいうならば
どちらの涙も流す
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