大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年06月29日 | 植物

<3451> 奈良県のレッドデータブックの花たち(72)  カワゼンゴ(川前胡)                         セリ科

               

[学名] Angelica tenuisecta

[奈良県のカテゴリー]  絶滅寸前種(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)

[特徴] 川岸の岩場に生える多年草で、岩の隙間に丈夫な根を下ろし、川の増水による濁流にも耐える強靭な茎を伸ばし、下部で枝を分け、高さ40センチ~1メートルになる。葉は1~3回3出複葉で、小葉は長卵形。先は尖り、縁には不揃いの鋸歯が見られる。イヌトウキに似るが、葉の表面は緑色で光沢があり、裏面は淡緑色。小葉の中肋上に毛がある。花期は9~10月で、枝先に複散形花序を出し、放射状に花柄を広げ、白い小さな5弁花を多数つける。実は楕円形で2個の分果からなる。

[分布] 日本の固有種。紀伊半島南部、奈良、三重、和歌山3県境の北山川(熊野川水系)の瀞八丁一帯の川岸。

[県内分布] 十津川村の南端部、瀞八丁付近。既知の産地は2カ所の報告がある。

[記事] カワゼンゴ(川前胡)の名は、解熱や鎮痛、鎮咳などに用いられる中国の薬草前胡に似て、川岸に生えることによる。奈良県では特定希少野生動植物に指定している。近年シカの食害によって姿を消し、シカの近寄れない岩場に残存する傾向が見られる。 写真はカワゼンゴ。左から白い小さな花を多数つけた花序、果期の姿、シカの食害に遭った個体。

   自力と他力によって

   生は成り立っている

 


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