<1308> チューリップ
チューリップ 咲く花園へ 乳母車
私がよく訪れる奈良県立の馬見丘陵公園(河合町、広陵町)では「馬見チューリップフェア」が開かれており、色とりどりの花が見ごろを迎えている。フェアは今年二回目で、昨年よりも十万球増やし、花の道エリアを中心に三十万球が植えられているという。
チューリップはユリ科チューリップ属の球根植物で、トルコの辺りが原産地とされる。草丈は三十センチほどで、四、五月ごろ中央から花梗を伸ばし、その先端に六弁花を開く。花色が種々に及ぶので、園芸品として好まれ、唱歌の「チューリップ」のように咲き出すのが待たれる花である。和名は漢名と同じく、鬱金香(うこんこう)と呼ばれ、この名は黄色の染料植物であるウコン(鬱金)から来ていると言われるなどしているが、その由来ははっきりしていない。別名には蓮花水仙、百合牡丹、牡丹百合などがある。
栽培は十六世紀中ごろオーストリアのトルコ大使によって発見され、大使がウイ―ンに持ち帰ったのが始まりと言われ、その後、全欧に広がった。殊に十七世紀中ごろ栽培に適したオランダで盛んに栽培されるようになり、チューリップの愛好者が増え、大流行するに至った。そのピーク時は、投機の対象となって、チューリップ狂を生み出すほどの人気を博し、オランダでは、チューリップが一大産業化し、世界第一の生産国になり、世界に輸出されるようになった。
我が国には江戸時代に渡来したが、愛好家の一部に止まり、その魅力が発揮されるのは近年、大正時代に入ってからだと言われる。最初、新潟県で生産され、富山県などに広がった。現在では富山県が第一の生産県としてその名を馳せている。なお、多くの花の中で、チューリップはカーネーションとともに世界で屈指の生産量を誇る花になっている。 写真は馬見チューリップフェアで見ごろになったチューリップ(奈良県北葛城郡河合町の馬見丘陵公園で)。 では、今一句。 チューリップ 絵本にまづは 出会ふ花