<513> カ ラ ス
鴉とて 生きゐるところ 寒の空
このところカラスがやたら増えているように思われる。つい最近も三百羽ほどの群を見た。スズメのような小鳥と違って、黒くて大きいカラスが群をなしている光景は何か威圧される感じがあって、近くで見ていると恐ろしいようなところもある。集まって鳴く声が結構やかましく、これも異様に感じられる。
最近、殊に多く見かけるのは大和郡山市から生駒郡斑鳩町付近で、今日も半端ではない群を見た。カラスの増えているのは大和の地だけではないようで、都会でも出没しているとニュースにも取り上げられたのを見たことがある。増えているということは、カラスにとって環境がよいからで、まず、餌が季節を問わず十分にあるということ。それに、ねぐらが確保されているということがある。
カラスのねぐらは高木が繁る森のようなところで、大和郡山市から斑鳩町には山も近く、そのような場所がいくらもある。餌については、小鳥と違いカラスは雑食性で、どんなものでも食べる。我が家の近くにはカキの木が何本かあり、みな渋ガキで、最近は誰も採らないので、木に生ったまま熟すが、熟すころになると鳥たちがやって来て饗宴の場となり、ほかの鳥たちとともにカラスもやって来る。鳥たちは熟した先から食べ、正月を迎えるころにはカキの実を綺麗に平らげる。
ヘビやカエルも食べるようで、人間が出す食べ残しのゴミでも漁る。最近、草叢にヘビが少なくなったのはカラスがヘビを襲って食べるからで、ヘビの中では夜行性のマムシだけが生き残っているという話を聞いたことがある。ゴミの収集は最近ネットなどを被せて出すようになっているので、カラスには人間の出すゴミに期待は出来ないはずであるが、空の上から虎視耽々と狙っている。
多分カラスによる被害は出ているに違いないが、生類憐みというか、生きものを処分することにはどうしても心情の上で消極的にならざるを得ず、防衛の方が先になる。ゴミ置き場のネットがその例で、自治会などで管理使用しているところが多く見られる。