大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2011年12月13日 | 写詩・写歌・写俳

<102> 葉 牡 丹
      葉牡丹の 出番待ちゐる 色のよさ
  奈良市の郊外を歩くと、ときに葉ボタンを植えた田んぼに行き会うことがある。 この時期の葉ボタンは一段と色を増し、整列して出番を待つといった感じに見える。 葉ボタンは昔から門松などに用いられ、正月の彩に欠かせない。最近は、ほとんどの家で門松を立てる風景を見ないが、 葉ボタンは正月の景物で、玄関先などでよく見かける。
  我が家では二人暮しになって久しく、 生活を縮小し、Simple is bestを心がけるようにしているが、 妻は殊にそのことに気を配っていて、このところ、 あれはどうしようとか、これはどうしようとかということが多くなった。 何も焦ることはないと思うのであるが、気分が落ち着かないようである。

                    
  正月が近づくと、 それなりの準備が必要なことはどこの家でも言えることであろうが、生活の縮小を一つの目標に掲げている我が家では、 正月が 来るたびに、「あれは もうやめる」 とか、「これもそろそろいいのでは」とか、 いろいろと妻の方から意見が出る。
  おせちは毎年二段の重箱入りを買い求め、 最近は煮しめとごまめと黒まめとたたきごぼうくらいを 妻がこしらえているが、 私のケアで、 塩分控えめの食生活をしていることもあって、 今年はおせちを買うのを止めようかという話も出た。 正月におせちを欠くことは楽しみがなく 寂しいかぎりなので、 お客もあることだし、 正月くらい気にかけずに食べてもいいのではないかということで、今年もまた予約したのであった。
  万事が こういう具合で、 物を増やさないことにシフトして生活しているので、 葉ボタンなどにもその関わりが及ぶ次第で、妻から「今年は買わない」というような言葉が出る。 しかし、何だかんだと言いながら、 小さくてもいい、 なくては寂しいという結論になって、結局、 これまで正月に葉ボタンを欠かしたことはない。果たして今年はどうであろうか。Simple is bestではあるが、正月が寂しいのは侘しいからこれまでと変わりなくとなろうか。