<90> 落 葉
落葉して 梢 あっけら かんとあり
サクラの山。サクラはソメイヨシノ。成木盛んの由、春にはみごとな花を咲かせる。が、今は葉の散り敷く時期。 今日から師走である。すっかり葉を落とした木々の間からは空が透けて見え、梢は空中(そらなか)にあっけらかんとして感じられ、周辺に生えるネズミモチなどの常緑樹に比べ鬱陶しさがなく、明るい雰囲気である。
この点、ほかの木でも冬場の落葉樹は気分が明るくなって いい。もちろん、寒中も進み、もっと寒さが厳しくなって、雪に被われるなどするようになれば、 また気分も違って来るが、初冬のころの落葉樹はいい。
散り敷いた落葉はみごと、 散ったばかりでまだ色艶が失われず、 瑞々しさが感じられ、 踏んで歩くのがもったいないような弾力のある感触である。 落葉敷く 騒ぐものなく ありにけり