梅雨入りの少し前の今の時期が、この守谷市辺りの竹の子採りの最適期です。普通竹の子採りといえば、孟宗竹の方を言うようですが、もうその時期はとっくに過ぎて、孟宗竹は立派な若竹が先輩に伍して、初めての初夏の風を味わっています。私にとっては孟宗竹の竹の子には殆ど関心がありません。京都や山陰・九州ならともかく、このあたりの孟宗竹は、ホンの少しでも時期を逸れて収穫したならば、味覚的には大味の、エグ味の多い竹の子となってしまい、つまらないのです。
私にとっての竹の子といえば、それは真竹か淡竹(ハチク)のことです。真竹よりも淡竹の方がより上等な味がしますが、真竹も孟宗竹と比べれば、より繊細さを備えた味だと思います。守谷市近郊では、大半は孟宗竹の竹林で、それに付随して真竹を植えているところが多いようです。淡竹の竹林は殆ど見当たらず、店でも売っているのを手に入れることは困難です。殆どの竹林は、民家の屋敷林のようなケースが多く、勝手に採ることはできません。断り無しに民家の敷地に入って竹の子を採れば、これはドロボーとなってしまいます。とかく窮屈な竹の子採り環境にあります。
以前九州に住んでいた時には、竹の子採りの環境には恵まれていました。関東周辺とは違って、九州には国有林の中にも無造作に竹林が含まれていました。竹は南方系の植物ですから、九州エリアでは育ちやすいのだろうと思います。市街地からちょっと離れた山に入ってゆけば、幾らでも竹の子を採ることができました。興奮して採っているのは私くらいのもので、一緒に山に入っている人を見かけたことは一度もありませんでした。あの頃はまだ熊君たちも山奥に納まっていたようでしたから、竹の子採りの者にも幸いでした。
守谷に住むようになって、毎日歩き続けていますので、大方の地形とどこに何があるのかということは自然と判ってきています。私は自然に在るものをそのまま身体に取り入れたいという本能的願望を持っており、その獲物がどこにあるかについては、歩きながらの観察でかなりの情報を収集しているのです。今頃は桑の実の熟れる季節ですが、それはどこに行けばゲットできるか、木苺はどこへ行けば味わえるのか、ヤマモモの実はどこに行けば手に入るのか等々、マップを作る自信もあるほどです。いやはや。
さて、その竹の子ですが、合法的(?)に手に入るのは、小貝川の堤防にある竹林だと見当をつけました。小貝川には堤防の地盤保護・強化のために、竹を植えてある場所が何箇所かあります。この竹林が小さな規模の場合は、竹の子を採るのは犯罪行為になってしまうのかもしれませんが、毎年本来の竹藪を乗り越えて、何十本もの竹の子が堤防の土手に侵入して生え、それを後で伐採しているという状況では、多少竹の子を採ったとしても犯罪にはならないだろうと勝手に判断して、それらを頂戴しているというわけです。
川岸に植えられている竹林の場合は、真竹が多いようです。土地の所為なのか、川岸の真竹はあまり大きくならないものが多いようで、竹の子採りには真に好都合です。あまり太くない方がエグ味が少ないので、わざわざ糠などを入れて茹でなくても大丈夫だからです。糠や米汁などを必要とするような竹の子は、私の場合は基準外です。
さて、その竹の子を数日前採ってきました。まだ少し早い時期だったのか、今年は気候不全で遅れているのか、小さめのものばかりで、皮をむくとホンの少ししか本体がありませんでしたが、その分味の方は保証付でした。早速茹でて貰い、竹の子ご飯を作ってもらいました。酒と醤油で味をつけた久しぶりの竹の子ご飯は、美味でした。又残った分は、我が家の定番であるカツオ節をまぶした素朴なしょうゆ味の煮付けにしてもらい、これは酒の肴に最高でした。
竹の子は、繊維ばかりの食べ物ですから、あまり消化はよくないようです。しかしカロリーは少ないので、多少多めに食べても、ダイエットの人には影響が少ないのではないかと思います。九州に住んでいた頃、焼酎ブームが沸き起こり、様々な焼酎が造られ、中にはコーヒー焼酎だのわかめ焼酎などというのまで店頭に並んでいました。その道の専門家の話では、その原材料となるものに僅かでもデンプンが含まれておれば焼酎を造ることが可能なのだそうです。ということはデンプンの含まれていない植物からは焼酎は出来ないということで、その例として竹の子が挙げられるのだそうです。そういえば、竹の子焼酎というのは見当たらず、耳にしたこともありませんでした。竹の子は繊維ばかりでデンプンは含まれていないため、製造不能ということなのでした。そのようなことを聞いていたものですから、竹の子は糖尿病持ちには好都合の食べ物であると信じ込むようになっています。
美味かった竹の子に味を占め、一昨日もう一度竹の子を採りに行き、今度は自分で一工夫して何かを作ってみようと思い立ち、メンマ風の食べ物ができないか、トライしてみることにしました。結構うまくいったので、それをちょいと紹介します。
茹でた竹の子を3~4センチの長さに切り、それを繊維に沿って1~2ミリ幅に薄く切ります。要するにシナチク風に切るわけです。この切ったものは、まだ水分が多すぎますので、フライパンに入れで熱し、水分を飛ばします。これをお皿などに入れておき、今度はフライパンにサラダ油を入れ、熱した中に入れて万遍なく火を通して炒めます。十分に火が通った頃を見計らって、予め用意しておいたタレ(醤油:みりん:酒=ほぼ1:1:1 数量は竹の子の量に見合うレベルで決める)をその中に入れ、再度強火で炒めます。時間は適当ですが、3~4分ほどでしょう。竹の子が美味そうに見えてきたら火を止めて出来上がりです。食べるときには、そのままでも十分OKですが、これにラー油を2~3滴落とすと、これはもう酒の肴には最高の食べ物となりました。
今年の竹の子採りは、この新メニューのおかげで、あと何回か出かけることになりそうです。ヒマに任せた、真に他愛ない日常なのであります。
※ 今日から2~3日間、クラブキャンプへの参加を兼ねて小さな旅に出かけます。よってブログは休みます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます