山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ウグイス君たちの鳴き声

2010-05-26 05:56:10 | 宵宵妄話

守谷市は緑の多い所です。そもそもその名称からして、大昔にヤマトタケルノミコトが東征に際してここを通った時に、その緑が多いことに感動して「おお、森哉!」と叫んだことに発するというのですから、驚きです。その時代の日本は、恐らくどこへ行ったってコンクリートの建物などなかった筈ですから、この話はかなり眉唾ものです。しかし、内海が入り組んで残っている時代だったでしょうから、緑が多かったのは事実だったと思いますし、現在でもその名残りはかなり感じられる地形です。

緑が多ければ、その森に住む動物も多いわけで、今頃の季節になると、小鳥たちの鳴き声の喧(かまびす)しいことといったら、それはもう夜明けから大へんなものす。様々な小鳥(中には中鳥レベルも混ざっていますが)たちが、それぞれの鳴き方で春を謳歌しています。一番大声で、辺りを憚らず鳴き騒ぐのはコジュケイで、「コッチャコイ、コッチャコイ」と、もう大騒動です。子連れのこの鳥が家族の温かさのイメージにつながるというので、この鳥は守谷の市の鳥となっています。つくばエクスプレスが開通してよりこのところ、少しずつ森が伐り開かれており、心なしかコジュケイ君たちの鳴き声も少なくなり出した感がします。

コジュケイは中型の鳥ですが、同じレベルではキジが目につきます。キジは農家の屋敷林の中などにも住んでおり、時々道路に出たりして歩いています。「キジも鳴かずば撃たれまい」といわれるように、この鳥もまたけたたましく「ケ~ン!」と鳴きますが、守谷のキジは人に馴れていてあまり驚かないのか、殆ど鳴き声を聞いたことがありません。今の時代は、道路を歩いて油断をして、交通事故などに遭わないようにと願っています。

畑で仕事をしていると、まあ、賑やかなのは、ヒバリ君たちです。ヒバリは漢字では雲雀と書きますが、文字通り空中に浮いて、絶え間なく囀(さえず)り続けます。子供の頃、麦畑でその最初から最後までを見届け、舞い降りた地点の近くを探すと、そこに巣が見つかって、可愛い雛たちが一斉に口を開けて餌をねだるのを、そっと観察したことなどを思い出します。守谷のヒバリは、もう麦畑などは殆ど見当たらないので、耕作放棄の畑の草叢の中に巣を作っているのかもしれません。

時々遠くから聞こえてくるのはホトトギスの鳴き声です。この鳥も特徴のある鳴き方をしますので直ぐに判ります。「トッキョ、キョカキョク」という大声です。ホトトギスといえば、托卵を思い出し、あまり愉快な気分にはなれません。大事な子育の仕事を、最初から最後まで他の鳥を騙して任せて、その任された子が一緒に雛になった本来のその鳥の子を巣から蹴落として、自分だけ餌を一人占めにして生き残るというのですから、これは真に悪魔のような性質の鳥です。鳴き声を聞くと、ああ、又あの悪魔の仕業(しわざ)をするために獲物の巣を探しているのかと、気が滅入ります。ま、最近は、人間にだって、もっと酷い子殺しをする親が発生していますから、ホトトギスのことを悪くいうのは、控えなければならないのかも知れません。

この他にも、どうしてこんなに絶え間なく騒ぎまくっているのかと思うほどの狂乱の囀りのヨシキリやオオヨシキリも数多く棲んでいます。勿論雀たちも賑やかだし、ムクドリやヒヨドリ、シジュウカラやメジロなども常連ですし、憎たらしいカラスも下品な声で鳴き喚(わめ)いています

その中で今日取り上げるのは、ウグイス君たちです。以前、このブログで、この地方の訛(なまり)で鳴く「ホケキョケ」の話を取り上げましたが、今年も略同じ場所で、このウグイス君は同じ鳴き方で健在を証明してくれていました。もう、気がついて彼の声を聞くのは3年目となりました。まだその姿を見たことはないのですが、春の今頃になって、彼の声を聞くと、やあ、今年も元気で居てくれたのかと、妙に嬉しくなります。

ちょっとした疑問があったときの会話として、「そうケ?↑」(=本当にそうなの?)と尻上がりのトーンで会話をするのが茨城県県南の地元の普通の話し方なのですが、この地のウグイスまでもが同じようなトーンで鳴くのを知って、可笑しいやら珍しいやらと、妙に嬉しがってはしゃいだのが3年前でした。その後この1羽だけではなく、親戚らしき仲間が違う場所でも鳴いているのを聞いて、これは地元の鳴き方に違いないと、確信を持った次第です。

散歩をしていると、森や近郊には、真にウグイスが多く住んでいるのが判ります。特に小貝川や鬼怒川の堤防には、洪水避けのためか樹木や竹などが植えられ、ちょっとした森や藪の風景が連なっています。ここがウグイス君たちの絶好の住環境となっているようで、今頃の季節ともなると、どこへ行ったって囀りの競演です。

よく聴いていると、鳴き方にも様々な流儀があるようで、以前まではウグイスといえば「ホー、ホケキョ」に決まっていると思ったのですが、これはとんでもない安易な決め付けだったということに気がつきました。鳥というのは、結構他の種類の鳥たちの声を真似るようで、どう考えてもこれはコジュケイの鳴き方を真似ているな、と思われる、変な鳴き方のウグイスもおりました。「ホー、ホッチャコイ」などと鳴いているのです。これには思わず笑っちゃいました。

それらの中で、最近一番印象的だった鳴き声は、先日苗木の幼木の支柱用にと、小貝川の土手に篠竹を採りに行った時に、その藪の直ぐ近くで鳴いていた、ウグイス君の鳴き声でした。汗を流しながら、藪の中で篠竹を採っていると、近くで一羽のウグイスがやたらに大きな声で「ホー、ゴインキョ」鳴きまくるのです。近くに巣でもあって騒いでいるのかなとは思ったのですが,気にもしないで作業を続けていました。

ところがそのうちにその鳴き声が気になり出しました。というのも、妙な鳴き方で、どうやら、「ホー、ゴインキョヨ」と聞こえるのです。ゴインキョというのはご隠居ということであり、これはもしかしたら俺のことを言っているのかな、と思ったのでした。

そう思って聞いていると、確かに「ご隠居よ」と言われているような感じとなってきました。毎日が日曜日の身では、ご隠居と呼ばれても仕方がありません。このウグイス君は、そこのところを見抜いていて、俺に語りかけているのかなと、まあ、勝手に解釈したわけです。その呼びかけの次に、どのようなセリフが続くのかは判らず、ただ只「ご隠居よ」の連続ばかりなのですから、これには結構参ります。人間、何度も何度も繰り返して同じ言葉を掛けられ続けると、腹立ちを通り越して、何だか妙な気持ちとなるようです。少なくともこのウグイス君には参りました。

「ご隠居よ、もういい加減にして家に帰んなよ」と言われているような気分となり、その日はそこで作業を止めて帰ることにしました。そして、翌日は別の場所で、煩わされることなく篠竹の採取に励んだのでした。守谷市近郊の今頃の季節は、このような鳥たちとの変な出会いもあって、旅に出ないで居ても、さほど退屈は覚えないのです。という、退屈紛れの話でした。

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