東京多摩借地借家人組合

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身寄りがないとアパート契約できない!?「身寄りなし問題」とは

2023年04月14日 | 賃貸借契約
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/424027?display=1

アパートなどの賃貸契約をしたくても家族や親族がいないためできない…。そんな実態があることをご存じでしょうか?
こうした身寄りがない人を支えている団体が新潟にいます。「身寄りがない人の居住支援」その実態を取材しました。
新潟市のアパートに引っ越してきた1人の若者。木村真さん19歳です。
新居となる部屋に次々と荷物が運ばれてきます。
【木村真さん】
「これ何だろう?洗濯機の線なんだ。洗濯機置けるんだ。へーすげー」
木村さんは、頼れる家族や親族がいません。
【木村真さん】
「俺は里親に育てられて、3か月くらいかな。俺が生まれてから。そのときに里親さんが拾ってくれて育てられて17歳まで。一応身寄
りはないという感じになっています」
里親には良くしてもらっていたという木村さんですが、17歳で一人暮らしをするために家を出て、児童相談所の一時保護所で過ごすこ
とに。その後出会ったのが、新潟県内で身寄りがない人を支える団体、「身寄りなし問題研究会」です。
「身寄りなし問題研究会」の須貝秀昭代表です。
木村さんが住み始めたアパートは研究会が所有しているもので、身寄りのない人が集まっています。

実態が分からない…身寄りのない人の存在

身寄りなし問題研究会の須貝さんらが取り組んでいる、「身寄りなし問題」。“身寄りがない”とは家族や親族がいなかったり、いて
も疎遠だったり、遠方にいて頼れなかったりするという状態です。
高齢者に多い『身寄りなし問題』ですが、実態は分かっていません。
厚生労働省の高齢社会白書では、65歳以上の世帯は全国でおよそ2600万世帯。このうち、およそ3割が一人暮らしですが、頼れる親族
などがいるかどうかは調査されていません。また、若くして身寄りがない人もいるとみられています。
身寄りがない人たちは様々な壁にぶつかることがあります。
【須貝代表】
「身寄りなしの問題は、要するに身元保証というところかな。身元保証がないとなかなか社会的に不都合なところが今の日本はかなり
多いところに集約される」
第三者による身元保証がないことで起こる問題の一つが、アパートなどの賃貸契約です。
国土交通省が公開している賃貸住宅の契約書のひな形です。多くは契約の際に連帯保証人の氏名や緊急時の連絡先の記載を求めていま
す。連帯保証人は契約者が家賃を滞納した場合に代わりに家賃を支払います。
この連帯保証人がいない場合の対応について不動産仲介業を行っている業者が私たちの取材に応じてくれました。
【不動産仲介業者】
「申し込み時に緊急連絡先の方がいて、あとは保証会社申し込んでもらいますからこれだけ保証料かかりますよ、みたいな話を最低で
も申し込み時には確認すると思う」
実は新潟市では、多くの物件で連帯保証人が不要となっています。「家賃保証会社」を利用しているからです。
入居者は賃貸契約の際、家賃に応じた保証料を保証会社に支払います。もし入居者が家賃を支払えなくなった場合、保証会社が入居者
に代わって大家に家賃を支払う仕組みです。大家にとってもメリットが大きいため、ここ数年、保証会社を使うことを入居の条件とす
るケースが増えています。
ただ、この保証会社に申し込みをする際には「緊急連絡先」が必要です。
【不動産仲介業者】
「緊急連絡先をそもそも立てられないという場合は保証会社に申し込みすらできないことになるので、連帯保証人が立てられるのであ
れば、そちらで契約するということもできる場合もあると思うが、連帯保証人も駄目、緊急連絡先も駄目ということになると、ちょっ
と契約は無理ですねということでお断りするケースがほとんどだと思う」
身寄りがない人にとって、賃貸契約には高いハードルがあるのです。最近では身元保証を代行するサービスも増えてきていますが、問
題となるのは『お金』です。
【須貝代表】
「今、身元保証会社もあるのでお金があるとある程度解決できる部分もあるがお金がなかったり、ちょっと生きづらい、障害があった
りすると、なかなか入居・入所・入院できないということが現状」

身元保証を求める大家側の事情とは…

一方、大家側にとっては身元保証を必要とする切実な理由があります。
例えば、入居者が家賃を滞納したとしても法律上、簡単には追い出すことはできません。
【不動産仲介業者】
「入居者側の都合による退去の場合は30日前予告ということで通知をして退去をすることが簡単にできるが、大家さん側から家賃を滞
納したから出ていけというのがなかなか簡単にできない。判例とかで3か月分以上の滞納であることプラス入居者との連絡がまったく
できないとか」
さらに別の不動産関係者はこんな問題も指摘します。
【不動産関係者】
「本当に身軽な人って2、3日住んで『飛んで行った』とか、解約しますと言ってくれればいいけど、解約しますと言わずに飛ばれてし
まうとアパートの中の荷物ってまだ所有者の物なんですよ。所有権がその人の物なので勝手に処分もできないし」
ある日突然、入居者が出ていって部屋に物が残されていた場合、大家が勝手に処分すると訴えられるリスクもあります。
【不動産関係者】
「トラブルがあって退去してくださいということがなかなかできないとなると、保証人の方にお願いするというのが通常。でも、それ
すらないということは何も担保されるものがないということになってしまうので、今の法律だとやむを得ないところもあるよねという
風な認識」
身寄りなし問題研究会の須貝さんはこうした背景もあり、「大家や不動産会社の考え方は分かる」と理解を示しています。
【須貝代表】
「家賃滞納した時、じゃあどうすればいいのか。孤独死したときとか、遺体は、葬儀はどうすればいいのか。残ったものをどうやって
処分すればいいのかっていう現実的な問題があるわけなので、やっぱり身元保証というところ連帯保証を求めるところは致し方ないと
ころなのかなとは思う」

NPO法人化 「身寄りなし問題研究会」の更なる一歩

2月26日。この日開かれたのは、身寄りなし問題研究会がNPO法人になるのを記念した会です。この団体はもともと介護や福祉の関係
者、弁護士らが定期的に集まって「身寄りなし問題」を学ぶ任意団体でした。代表を務める須貝さんの本業は、高齢者の相談窓口であ
る包括支援センターの職員です。
【須貝代表】
「身寄りがないから施設入所ができないアパート契約できない。へたすると病院も断る場合があるというそういう相談が結構ある」
須貝さんは研究会がNPO法人になるのに合わせ3月末で包括支援センターの仕事を辞めることにしました。これまでの経験を踏まえ、身
寄りがない人の居住支援により力を入れていきたいと考えています。
【須貝代表】
「区切りがついたというか、今まで任意団体だったのでこれからNPOとしてまい進できるかなと思っている」
身寄りがなく研究会を頼った木村真さん(19)。木村さんは身寄りなし問題研究会が所有するアパートで、住まいがあることのありがた
さを実感しています。
【木村さん】
「俺も今、身寄りなし問題研究会がいなかったらたぶん(身元保証問題に)悩まされていましたね。もしくは路上でくたばってました
ね。本当にそれはあると思います」
実は木村さんはアーティストとして活動していて今は作品作りに力を入れています。
【木村さん】
「俺は別に特には身寄りあってもなくても、たぶんこの性格なんで今できることはいくら頑張っても保護者作れないので、だから今で
きることを最低限やろうかなというかんじですね」
身寄りがない人も安心して暮らせる世の中へ…。居住支援の現実を見つめながらセーフ

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