花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

「ネット敗戦」への小さな違和感

2023-09-07 20:24:00 | Weblog
 本日の朝日新聞朝刊オピニオン面に、『「ネット敗戦」の理由』と題するインタビュー記事が載っていました。インタビューに答えているのは、日本初のインターネット・プロバイダー、インターネットイニシアティブ(IIJ)会長の鈴木幸一さんです。GAFAのような巨大IT企業が日本に生まれなかった点について、鈴木さんは次のような理由を挙げています。

・政府にネットを軍事技術、国家戦略とする視点がなく、大規模な予算を当てなかった。
・著作権法などでネットには法的グレーゾーンがあるため、開発に慎重となった。
・日本はプライバシーに神経質で、またIT弱者に優しかったことから、既存の仕組みを残してITと二本立てになった。

 要はお金とスピード感が欠けていたわけです。こう分析したうえで、鈴木さんの話は日本の未来に及びます。「どんな希望を抱くかによります。平穏でつつましく快適に暮らすなら、日本はとてもいい国です。ただ、志や野心を持って何かを実現しようとしたら難しい。日本では、みんな競争が嫌いになっちゃったからね」

 そして、「日本では、みな小さくまとまりすぎています。もっと変わった子を許容する社会や教育システムが必要です」と語り、インタビューを締め括っています。

 実際、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも日本にはいないので、鈴木さんのおっしゃることはもっともだと思います。大昔に遡れば、エジソンはアメリカの人で日本人ではありませんでした。でも、電球や蓄音機があればそれでいいじゃないかという気がします。それから、このグローバルな時代に「国単位での勝った負けたを言うのもなぁ」とも思います。

 鈴木さんのインタビュー記事の隣の面は、読者からの投書欄でした。神奈川県の笠原博明さん(73歳)の近所のスーパーは、セルフレジが32台あるのに従来型は1台だそうです。スマホなどによる決済が苦手な高齢者は、従来型の1台に並ぶしかない。セルフレジのために買い物が出来ない高齢者はどうなるのだろうと、問題提起されています。

 電子マネーについていけない人にも、計算が難しい人にも、親切に接してくれる店員さんのような、そんなセルフレジの開発に取り組む技術者が出てきたらいいのにと、自分は思います。ネット戦勝国でありながら、カメラで監視したり、お金を使えなくしたりして、個人情報を徹底的に管理する国より、住みよい敗戦国の方がずっとましではないでしょうか。


(インタビュー)「ネット敗戦」の理由 インターネットイニシアティブ会長・鈴木幸一さん:朝日新聞デジタル

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朝日新聞デジタル

 

(声)セルフレジ、高齢者はどうする:朝日新聞デジタル

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朝日新聞デジタル

 


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