(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「唯一決まっていたのは、南方物資を還送するという『方針』だけだった」
日中戦争継続のための資源を南方に求め、戦線は拡大し太平洋戦争に至る。陸軍は占領目標に対する戦術を入念に練り上げたが、兵站はナントカナルと軽視した。輸送体制の重要性を訴えた田尻中将は、トップの怒りを買い罷免。その後、輸送船はアメリカの攻撃で次々と沈められ、日本と南方を結ぶ海運は壊滅的な状況になる。戦争遂行のための南方進出の結果、目論見とは逆に戦地への補給が滞り、戦力の疲弊を招いた。国内では産業への供給物資が不足し、国力は急速に衰えていった。著者はあとがきで、「狭窄的な軍事的視点でのみ正論を掲げ、全力を投じて闘っても、戦そのものに勝利することはできなかった」と述べている。
堀川恵子著 「暁の宇品」(講談社刊)から
「唯一決まっていたのは、南方物資を還送するという『方針』だけ
日中戦争継続のための資源を南方に求め、戦線は拡大し太平洋戦争
堀川恵子著 「暁の宇品」(講談社刊)から
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