花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

利益予算の陥穽

2024-10-07 20:20:00 | Weblog
<ケーススタディ>
 A社は商品力低下によりこのところ業績低迷、売上は前年割れが続いている。それに加えて、昨今の諸物価高騰の影響で材料費等の仕入れ価格が上昇し、利益水準が下がってきている。そこで、営業社員に収支をより意識させるために、利益予算を導入した。これまでは、例えば売上高100億円と売上予算だったのが、売上高100億円・利益10億円と二本立てになる。これにより利益志向が浸透しⅤ字回復を図ることが出来ると思うか?

<回答私案>
 利益予算を導入しただけでⅤ字回復すると考えるのは早計。売上予算と利益予算の二本立てになったとしても、営業現場からすればどちらも足し算であることには変わらない。100億円を目指した足し算に10億円を目指す足し算が追加されただけではないか。予算未達の部署では、たとえ利益が1万円の案件でも積み上げになるなら取りにいくだろう。
 商品力が強ければ、より効率良く、より収益性を高く、と考えるだろうが、そもそもニーズが低い商品を扱っていれば、背に腹は代えられず、薄い利益でも無いよりはましと、足し算思考から抜けられない。結局、売上予算と支出予算から営業利益予算を出していた頃と何も変わらない。
 先ず取り組むべきは、魅力ある商品やサービスの開発であって、その実現があってはじめて利益を意識したセールスが構築されるのであろう。利益予算を導入すれば即ビジネスが変わるとするのは、単なる幻想に終わる可能性が高い。売上が伸びない、支出(投資を含む)をカットする、新しい商品が生み出せない、のマイナストレンドのスパイラルに陥る危険性すらはらんでいる。