花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

マリリン・モンローと君子の交わり

2022-06-19 19:44:10 | Book
 山登りの行き帰りの電車の中で亀井俊介著「アメリカでいちばん美しい人 -マリリン・モンローの文化史-」(岩波書店刊)を読みました。その中に、マリリン・モンローが作家アーサー・ミラーとの結婚生活が破綻した理由を述べた時の言葉がありました。

 「人間って、時々、人から望まれる通りの人になろうと努めることがあるわね。友人が私に無邪気で内気であってほしいと思っていると、私は知らぬ間に彼らに対してそうなっているのよ。反対にもし彼らが私の中に怪物を見ていたら、たぶんもう私に話しかけてもこないわね。私はアーサーとの結婚でも、その通りのことが起こったんだと思います。結婚当初、彼は私を、ハリウッドの狼どもの中では美しくて無邪気な生き物だと思ってくれました。(中略)けれども、怪物が姿を現した時には、アーサーは信じられませんでした。その時、彼は私に失望しちゃったんだわ。」

 自分が見ている姿だけがその人のすべてではない、そのことを心に留めているかいないかは大きな違いだと思います。この人はこういう人だと決めつけ、違う部分を見せられると失望する。それを避けるには、心に遊びの部分を作っておく必要があるような気がします。

 「君子の交わりは淡きこと水の如し」と言いますが、「水の如し」の「水」とは、相手を色眼鏡で見ない、色付けなしでありのままに受け止めることを指しているのではないか、そのような解釈をしてみたくなるマリリンの言葉でした。

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