花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

レントゲン検査

2016-12-04 15:22:31 | Weblog
 先日、会社の健康診断でレントゲン検査を受けた際、「肌着だけになってください」と言われました。「肌着だけ? 丸首シャツだけになるのだろうか」、どういうわけか、そんなことが頭をよぎりました。ワイシャツはもちろん、ズボンもパンツも脱いでお尻丸出しになって、丸首シャツだけでレントゲン撮影の機械に胸を押し当てている姿は相当に滑稽です。
 さて、イギリスの評論家であるテリー・イーグルトンは、「文学とは何か」(岩波文庫)の序章でロシアのフォルマリストによる文学の定義を紹介しています。フォルマリストは日常言語の異化を文学の要素と見ていて、イーグルトンはそれに対してロンドンの地下鉄の注意書きを持ち出し次のように述べています。‘Dogs must be carried on the escalator.’「犬はエスカレーターでは抱きかかえなければなりません。」この文に曖昧なところはなさそうだが、「犬を抱きかかえていなければエスカレーターに乗ってはならない」と読めなくもない。そうすると、ロンドンの地下鉄の注意書きは、言語の日常性の異化により文学ということになる。イーグルトンはロシア・フォルマリストに与しているわけではもちろんありませんが、フォルマリストの言い分に従えば、「肌着だけになってください」も文学になるのかもしれません。かなり悪趣味な文学ですが。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿