三連休の中日の土曜日、家族で日比谷公園へ遊びに行きました。あいにく草地広場は整備中で、小さい子供が遊べる遊具はブランコくらいしかありませんでしたが、それでも売店でシャボン玉を買って噴水の前で遊びました。噴水が高くあがると水しぶきに虹がかかり、その虹の中に漂うシャボン玉を見ながら、アサヒスーパードライを飲んでいました。子供がシャボン玉を飛ばしたり、噴水のまわりを走ったりしているのを眺めていてふと気がついたのですが、公園内のあちこちに「おじさん」、「お父さん」、「パパ」、「ご主人」、「ご亭主」といった言葉で呼ばれているであろう風体の、と言うことはひどい身なりでは決してない、そういう中年男性が結構いました。皆さん、ipodのようなポータブルオーディオで音楽を聴いているか、本を読んでいるか、あるいはその両方のようでありました。電車などで見掛ける、携帯電話の画面に向かって指をひたすら動かしている方はいなさそうでした。心字池の横にある日比谷見附の石垣跡にも中年の男性の姿がありました。ここでも、音楽を聴いているか、本を読んでいるかの御仁が、ベンチひとつにひとりずつ、あたかも鮎の縄張りのように微妙な間隔を保って座っていました。「あー、きっとこの御仁たちは家に居られないか居たくないかで、時間を潰してるんだろうなぁ。奥さんに晩ご飯まで帰って来ちゃダメよと言われているのかも」と思いながら通り過ぎましたが、もし私の勝手な想像が当たっているとして、家に居られないか居たくない人たちが聴く音楽はいったい何なんだろう、読んでいる本はいったい何なんだろう、と猛烈に興味が沸きました。でも、そんなことは聞ける訳もないので、ただただ素知らぬ顔で通り過ぎて行くだけでした。最近、「暴走老人」という言葉を目にすることがあります。「暴走老人」とは「キレる老人」と言い換えても良いですが、老人がキレたり暴走したりするのは、人間関係や変化する社会から取り残されて孤立感を深めているからなのだそうです。孤立感からくる鬱屈が、何かのきっかけで爆発してキレてしまうようです。日比谷公園で見掛けたHoliday難民とおぼしき中年の方々が、将来暴走老人にならなければ良いがと思いながら公園を後にしました。
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