高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

泉佐野漁港見学と花祥さん その1

2006-11-11 | オススメなお店

 10月29日に浪速魚菜のイベントで、泉佐野漁港の見学と以前にもご紹介した花祥さんでの会食を頂きました。

 泉佐野漁港到着後、大阪府漁連の方と地元の漁師さんから、大阪湾での漁業についてお話を聞かせてもらいました。

 大阪湾の海水は北に播磨灘、南に紀伊水道に通じ、海流は湾内を時計周りに流れているそうです。また。淀川・大和川の河川水が流れ込んできます。実は、これがとても重要で、河川水に含まれるプランクトンは海の魚に多くの恵みを与えてくれます。そして、外洋に直接接していなくて、河川から流れ込む水が多い大阪湾は塩分濃度が比較的低く、特に中型までの魚が育つ絶好の環境になるそうです。

 昔は「チヌの海」と呼ばれ、チヌだけでなく・イワシ類や甲殻類が豊富に獲れて、なにわという呼び名は魚庭(魚の豊かな海)から始まったといわれる説があるほどです。(これは江戸前と呼ばれる東京湾でも同じことが言えるようです。)

 戦後の環境汚染のため、今では汚いイメージの大阪湾。しかし、近年の環境保護の成果が少しずつ現れて、昔のように網にヘドロやゴミがかるようなことはほとんど無くなったそうです。それは水質検査においても改善しているそうです。それでもイメージが先行していて、蛸なら明石産、魚類も播磨灘・紀伊水道産の方が高値で取引されるそうです。でも、実際は同じような場所で漁を行い、船が帰る港やセリ落とされる所が変わるだけで卸値が変わってしまうそうです。「海は繋がっているし、魚も漁船も移動しているから、大きな違いは無いよ。」とは、地元の漁師さんのコメントです。

 大阪湾全体の漁獲高は減少傾向にあります。また、漁師さんの後継者問題も農業と同様に深刻な問題です。週休2日制や勤務時間の短縮により人にも漁獲にも配慮した対策をとっているそうです。また、稚魚の放流や幼魚の再放流などにも取り組まれているそうです。

 泉佐野の漁港は、昼にセリが行われます。14時半過ぎに漁船が港に戻り、そこから順にセリが始まっていくそうです。すぐ脇にある市場では、そのセリで落とされたばかりの地元ならでは魚が多く並んでいました。ガザミやイヌノシタ、エイや泳ぎの蝦蛄、トビアラやシラサエビ、コウイカなどなど。どれも市価よりも安いし、もちろん新鮮極まりないです。(実際、私もエイとナゴヤフグを購入しました。エイはスッポン仕立てのお吸い物に、フグは薄造りにしましたが、どちらもとても美味でしたよ。)

 実際に、泉佐野で漁師さんにいろいろと現状を聞く事が出来て、私自身も大阪湾の魚への見方が変わりました。ただ、残念なのは昼網や知名度や需要が少ないために、市内への流通量が少ないこと。折角、大阪産の良質な魚を食べる機会を失っているのは、本当に残念なことです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本産原木乾しいたけを使っ... | トップ | 花祥さんのお料理 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿