高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

とあるスタッフの物語。

2011-10-27 | 筆者の徒然なるままに

 彼は30代半ばで、今まで飲食店での勤務無し。日本酒がとてもとても好きで、いずれ自分で独立して、夫婦で小さなお店をしたいという。なぜか私は経験のは無いけれど、彼の真っ直ぐな思いにかけてみようと思った。

 お店にはいろいろと個性がある。私の店にも支えてくれる生産者の思いを伝えるというコンセプトがあって、彼はそのコンセプトを理解するために私のブログを随分昔の方から熟読していたようで、よく私の活動のことを理解し、共感してくれていました。

 研修がはじまって暫くは私と彼と片原の3人体制。ちょうどお店もゆっくりの日もあり、それなりに順調なスタート。が、ちょうど一か月を経つ頃に片原が大怪我して入院することになり、私自身も経験もない2人体制に。。夜は週に何度かアルバイトスタッフが手伝ってくれるけれど、一気に過酷な状況に。。。

 そんな状態の中で彼は本当に懸命に頑張ったけれど、なかなか進歩しない。結果が残せないといくら努力したとしても、やはり準備不足ということになってしまう。勤務中に指示はもちろん、営業終了後も何度も何度も話し合いをしました。

 どの仕事も同じかもしれませんが、飲食業というのは本当に人間力を試される仕事だと良く思います。

 技術だけでもだめ、やる気だけでもだめ。上辺だけでもだめ。この仕事に携わっている間、必死の努力をずっと続けていかないといけない。時間も長く、体力的にもハード、給与が良い訳でもない。独立しても、ずっとお店を維持するのは本当に大変なこと。

 そんな過酷な仕事だけれど、最後自分を支えてくれるのはやりがいであったり、お客様の笑顔であったり。私自身、何度もこの仕事を辞めようと思ったけれど、自分の可能性を自分だけは信じ続けようと思った。いろいろな方の励ましの言葉に救われた。

 4か月頑張ってくれた彼は、飲食の世界をあきらめることになりました。

 経営者とはいえ、スタッフの進路を決めるのはスタッフ自身。そのスタッフの可能性を誰も否定することは出来ない。ただ、一歩いや半歩前に進む先輩として助言することはとても大切だと思うし、真剣にスタッフと向き合えば向き合うほど、いろいろと叱咤激励したくなる。

 いつでも自分がオーナーのつもりで行動しているか、ちゃんと考えをもって行動しているか 作業になってないか、ちゃんと目的意識をもっているか。。。

 私だってまだまだ発展途上。いろいろと学ばないこと・成長しないといけないことは山ほどある。それでも、スタッフにはちゃんと指示・指導をしないといけない。スタッフの可能性や目標達成を考えつつ、目の前にある課題を乗り越えることが出来るように・目標が到達出来るように。

 小さな結果を残し続けることが信頼につながり、それが次のステージにつながる。仕事は勝ち取っていかないと本当に自分の実力にはならないし、日々緊張感をもって仕事することが自分を成長させてくれると思う。だから、私は人の指導を褒めることから始めたくないのです。

 残念ながら彼は自分の夢には届かなかったかもしれないけど、彼にとってこの数か月は決して無駄ではなかったと思う。それまでの風景と今見える風景は決して違うと思う。それは自分自身が一生懸命に取り組んだからこそであり、ひたむきに頑張ったからだと思う。

Photo_2  再就職が決まり、また新たな道を歩み始めた彼。

 2人体制の厳しい環境をともに乗り越えたこと、一生懸命私の思いに応えてくれようとしてくれた努力。私自身、彼に本当にいろいろなことを学び、勇気をもらいました。

 今でも「大将 ラブです」と言い切る彼。本当にキモイけど、本当に素晴らしい人物と出会えたことに感謝。お互いにが真剣に向き合えたからこそ生まれる縁があると私は信じてます。

 彼にとって桜花はホームです。彼が誇れるホームであり続けることが出来るように、これからも私も桜花も成長し続けていきたいと思います。

 本当にありがとう。そしてお疲れ様。そして、おめでとう!!!

 

 

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