津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■子飼の渡しと船着場

2021-10-08 09:31:35 | 歴史

 過日のブログ「徒然なか話」に伝統工芸館裏の坪井川船着場調査があった。管理者様はフットワークが良い方で、博物館の方と後日調査に出られるという。
どの様な結果になるのか、ご報告を楽しみに待ちたい。

この記事を読んでふと気になる事があった。それは子飼町にあった旧細川刑部邸の近くにあった船着場の事だ。
この辺りにはかって、渡し場があった。大江方面から府中に入るためには重要な役目を担ってきた。
グーグルアースで眺めてみると、当該地はすっかり白川の護岸工事により整備されて船着場はきえてなくなっている。
この近くには私が幼い頃、私の親族が旧藩時代からの家に住んでいて、祖母に手を引かれて遊びに行き、この船着場も訪れたことがある。
歴史に目覚めてからは残念ながら訪れる機会がなく、気が付いてみるとそのものが消滅していて、写真記録でも取っておけば良かったとおおいに悔やまれる。
直ぐお隣は「九州整備局熊本河川国道事務所白川出張所」がある。何かしら記録が残されていないものかと思っている。
少々厚さが和らいだら、出かけてお尋ねしてみたいと思っている。
そして、高田先生の「平成肥後国誌(上)」に貴重な写真が残されている。(p923)
先生の遺品である大量のネガを管理している史談会の中村君にお願いして、探し出してほしいと願っている。

追記:偶然だが夕刻にはブログ「徒然なか話」で「伝統工芸館裏の坪井川船着場調査」についての報告がなされていた。
      考古学講座の現地学習に参加
 

 

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■地震お見舞い

2021-10-08 08:41:44 | 徒然

 東京・埼玉などの都市圏で震度5強の地震があった。お見舞いを申し上げる。
先日の青森地震も5強だったし、また日本各地で地震の報道が見えて、まだ活動期の真中にある事を実感する。

熊本でも少々前に3の地震があった。
熊本大地震の際は毎日のように、それも一日に何回もの揺れにさらされ、最近では震度3位の地震には驚かなくなった。
慣れというものは恐ろしいものだ。4位になるとさすがに椅子から腰を浮かせ、本棚からはなれたりするが、やはり5以上は避難を考えねばならぬ。
余震の恐れもあり、お気を付けいただきたい。

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■川田順著「幽齋大居士」八、安土城

2021-10-08 06:53:52 | 書籍・読書

       八、安土城

 安土城の造營も略々完了し、朱塗の七層天守が漣波に投影する天正九年の暮、信長
に召されて丹後から出頭した細川藤孝は、城中に越年し、明けて元旦の賀宴に呼び出
された。佐々成政、滝川一益、徳川家康。前田利家、柴田勝家、堀秀政、蒲生氏郷、
明智光秀等々の傑豪ずらりと居並び、變り種には妙心寺の沙門南化の姿も見え、見え
ぬは中國在陣の羽柴秀吉たけであつた。浪に日出の金屏風を背にして胡座かいた信長
は、藤孝に呼びかけて、一色義道の最後はどうだつたか、海賊船は皆退治したか、田
邊城の櫓の數は幾つか、天橋立の長さはどれ程か、鰤の味はどうか、忠興夫妻は息災
か等々立續けに質問し、一々返答を廳きながら美酒の杯を嘗めた。やれやれ一安心
した藤孝の耳に、また信長の甲走つた聲で、
「和歌の所望じや。」
 同時に小姓がすべつて來て、硯料紙を藤孝の膝の前におく。藤孝沈思少時ののち、
筆を執つて書きしたため、小姓に渡さうとすると、またもや甲走つた聲で、
「蘭丸、読み上げろ。」
 列座の諸豪しんとした中に涼しく讀み上げられた一首の和歌、
 見るごとく仰げ神代の鏡山けふあらたまの春の光を
 賀宴果てて解放された藤孝は、ほろ酔の足を踏みしめながら、天下一の大天守閣、
七層の上に登りたち、観音寺山の松、伊吹山の雪、竹生島の澳島のうす霞と東から西
へ眼を移して行つたが、比良山に眼がとまつた瞬間、思ひ出したやうに膝を打つて、
「恩齋。」
 と從者をかへりみた。
「何御用で。」
「朽木谷まで使に行け。届けものだ。西裏の水門に船が用意してある。」
「殿様のお届けものといふのは。」
「薦被りの樽だよ。」
 と船頭は艫の方を指した。雪からおろす伊吹おろしを帆に孕ませ、小舟は對岸の大
溝へと漣を切つて走る。
「船頭さん、丹後も冷えるが、湖水は格別だな。」
「あの一めんに浮いた鴨を御覧。あいつの來てゐる間は、江州人は風の引きどほしで
す。」
「寒いな。船頭さん左は利くか。」
「艪も利けば、左も利くよ。」
「お毒見で温まるとしようか。」
 恩齋はうすぎたない掌を猪口の形にくぼめて受けると、船頭は薦被りの栓を抜い
た。いやにどろどろと粘つた赤黒い液體が滴りおちて、ぷんと燈油の臭ひがした。

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