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占いという もう一つの眼

歴史現場

2021年08月29日 | 日記・エッセイ・コラム

荒っぽいバイデンのやり方で、アフガニスタンは大混乱に陥ったが、その中で、すべての「実体」が露わになった。
形だけの政権が、何の実体も持っていなかったこと、タリバンとISの関係、中国やロシアの本音、その他諸々の関係国の立場や資質・・・
英語では、軍事作戦も外科手術も「operation」だが、たいていは、「やってみなければ分からない」。どんなに万全の想定と準備をしていても、何が飛び出すか、一つとして同じものはない。問われるのは、「対応力」だ。

アメリカが撤退を決めたのは、ラチのあかない腐敗政権に業を煮やしたからで、始めから解っていたが、誰も怖くて手がつけられなかった。
実際、撤退を始めると大混乱が起こった。作戦上、撤退が一番難しいとされる。勇気と能力がなければ、「しんがり」は務まらない。バイデンがこの事態をどこまで織り込んでいたか解らないが、反バイデンが騒ぐほどの想定外ではないだろう。
一方で、またも日本は極楽トンボぶりを晒すことになった。予定通りのことしか出来ない日本は、今回も間に合わなかった。タリバンが動き出した途端、現地も政府も動くべきだった。コロナ同様、後手後手だ。これは国民性だから、政権が変わったところで変わらない。

歴史の現場
アメリカがアフガンを離れ始めると、傀儡政権は一瞬で消滅し、残ったタリバンに中露が秋波を送り、タリバンと勢力争いをするテロリスト集団が結果的におびき出された。
過去のタリバンの行状を記憶する世界は信じようとしないが、少なくとも現在の代表の言っていることは嘘ではないだろう。ただ、アフガニスタンは暴走族のようなものだから、組織的統制力があるわけではない。現代の国家のように、一つの政権と話をすれば、約束が守られるというものではない。

20年の学習を経て、現在のタリバン代表は、アフガニスタンを現代国家にしたいと願っていることだけは確かで、その本音と、アフガニスタンの実体を直視して関わる者が、真に影響力を持てることになる。
アフガニスタンは、今まさに、歴史が生まれる現場だ。
アジアの交差点に中露が関心を持つのは当然だが、ここにクサビを打てれば、域外国にも損な話ではない。
消耗から手を引くことにしたアメリカだが、健全な国家と交流するのはむしろ望むところだ。一夜にして消滅した傀儡政権より、タリバンを相手にする方がよほど手応えがある。少なくとも現在の代表は、国家として世界の一員になることを望んでいる。しかも、アメリカにとっての本来の敵、ISテロ集団をともに敵に回した。
ここで、タリバンと手を結び、許容の範囲で健全な国家となる後押しをすることになれば、アメリカは実益を得ることが出来る。

歴史は動いている。バイデンがタリバンを抱き込むことが出来れば、途方もない大手柄だ。
ただし、アフガニスタンは統一不能な土地であり、政権との連携には意味がない。全域的な地元の民心をつかんでこそ、交流の実態が生まれる。
政権に金をつぎ込むのではなく。地元のリーダーを直接支援することを政権に協力させることが重要だろう。
日本の政治で言えば奈良時代以前であり、井戸や、ため池や橋を掛けて回った人が崇められた時代だ。
今回日本が撤退できなかったことは、官民による日本の出方次第では、怪我の功名になるかも知れない。


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