魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

ご大層な

2011年12月27日 | 兄弟関係

金正日の葬儀で、ご大層なことだ。
北は先ず、一切の弔問を拒否すると言っておきながら、韓国がお参りしないと、今度は「義理に反する、これからどうなっても知らんぞ」と脅しを掛ける。

北の揺さぶりとは言え、弔問そのものが、まるで政治の核心だ。
世界でも「弔問外交」は重要だが、葬儀そのものが重要なのではなく、その場を好機として、トップ同士が感触を探ったり意見交換をするのが目的だ。一般でも、葬式をきっかけに疎遠にしている親戚が会ったり、日頃は、話すきっかけがない問題を話せたりすることがある。

ところが、葬儀という儀式の形そのものが、葬儀の目的だと思い込んでいる人がいる。こういう人は、どういう形式かにこだわり、やり方が間違っているとか、誰かの態度や言葉が悪かったとか言いだし、喧嘩まで始める。これは、慎ましい気持ちで「喪に服す」ことを、「喪服を着る」ことだと思っているからだ。

この典型例が、若貴葬儀事件で、貴乃花は部屋を継いだことで喪主になるとがんばり、葬儀の心とはほど遠い「形」を固守しようとした。
あえて常識的な形を言うなら、家族の長幼の序で、長男の若乃花に分があると思うのだが、師弟関係の「形」しか見ていない貴乃花は譲る気がなかった。

こういう、「形から入る」人は、誰の葬儀であれ真っ先に駆けつけ、至れり尽くせりの礼節をつくし、時には大泣きをする。
遠方で大変だからと気を遣い、後で知らせたりしようものなら、「何で知らさなかった」と、喪主に怒鳴り込んだり、恨んだりする。

気を遣わせてはと、死んだことを黙っていた後輩に
「何で、知らせないんだ、お前の親が死んだんだぞ、水くさいじゃないか」などと怒るが、
結局の所、「お前」の気持が心配なのではなく、自分が葬儀に関与できない、無視されたことを怒っている。また、逆に、目上の人が自分に知らさなければ、「オレのことを嫌いなんだ」とヒガんだり恨んだりする。さらに高じると、気に入らない人には知らせなかったりする。

見せ場
今現在、弔問をめぐって朝鮮半島の南北でやりとりしている、弔いの駆け引きも、これと同じで、儀式の形式にのみとらわれているから、葬儀そのものが脅しの道具になるほど、双方に価値を持っている。

もし葬儀の本質が、真に死者を弔う心であるなら、儀式は二次的に付随するものだから、哀悼とは別に、儀式はむしろ外交の口実になる。
哀悼と儀式の区別が付かない感覚にとっては、儀式をどう扱うかが最優先の重大問題になる。

俗を離れた亡者の金正日を弔うことと、歴史的政治的存在の金正日という「機能」に哀悼の意を示すこととは全く別問題だ。
これを区別できない人々が、葬儀に関わるか関わらないかで悩み、もめるのであり、北は弔えと言い、南は弔えるかと感情の争いをする。
世界が「機能金正日」を認めない中。中国は逆に、「機能」を明確に認識して、利用している。

アジアの隠蔽タテ型の権力構造に対し、欧米諸国は儀式参列の序列で権力バランスを読み解こうとする。
旧ソ連にせよ中国にせよ、序列を知ってもらおうと見せているのではない。実際の権力構造の結果として表れただけだ。

しかし、北朝鮮は内外に示すために並んで見せている。
これが、独力で立っている者と、根本的に人頼みで立っている者との大きな意識の違いだ。


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引田天功さんが訪朝取りやめ―【私の論評】北朝鮮は... (yutakarlson)
2011-12-28 09:37:36
引田天功さんが訪朝取りやめ―【私の論評】北朝鮮は、一触即発の状態!!正しい判断か?
こんにちは。引田天巧さんが、金正日の葬儀参列のための訪朝を取りやめました。やはり、公演活動と、葬儀参列とは全く意味合いが異なるということもあるでしょう。しかし、一番は、北朝鮮の状況にあると思います。北朝鮮の現在の状況を知れば、政府要人などではない一般人が今のタイミングで訪朝して、何かの事変に巻きこまれた場合、無事に日本に帰ってこれるような保障はないでしょう。私のブログでは、引田さんの訪朝をためらわせた、現在の北朝鮮の状況を複数の筋から掲載してまとめてみました。あくまで「今のところは」平静に見える北朝鮮。しかし、この冬の食糧難をきっかけに、長らく続いた“金王朝”の崩壊が始まるかもしれません。詳細は是非私のブログを御覧になってください。
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