魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

実は(2)

2009年10月18日 | 動物

何時も通る横町の家に、大型の雑種の日本犬がつながれている。
箱のように大きな四角い口で、怖い顔なのに泣いたような目をしていて、ハンサムとは言い難いが、愛嬌がある。人間で言えば、楽天のマー君、田中将大選手のような顔をしている。

知らない家だし、近くに寄ると、「何者!」と、緊張した顔で出てきて吠え始めるから、通り過ぎながら見ているだけだが、面相から勝手に「ゴンちゃん」と名前を付けて楽しみにして見ている。

先日、隣の家の庭で、塗装工事に来ている人が吹きつけのスプレーガンの調整をしているので、2mぐらい離れた柵から、ゴンちゃんが顔を突き出して覗いていた。塗装屋さんは、後ろから覗かれていることに気づいてない。

プ、シュ、シュ、シュ、シュ・・・と断続的に甲高い音が出ると、
「見たいけど怖い」ゴンちゃんが、
「わっ、わっ、わっ、わっ・・・」と、しかめっ面をケイレンさせて音に合わせて、小刻みに首を振っているので、笑ってしまった。
カメラがあったらYouTubeで人気しただろうに、残念だ。

ゴンちゃんのご主人は昔流の人らしく、外の犬小屋にゴンちゃんをつないでいる。あまり散歩にも連れて行ってもらえないらしい。
時々、大きなウンコを小屋の横にしている。
昔、犬は放し飼いだったから、散歩は必要なかった。そういう時代の飼い方だ。

それでもゴンちゃんは、自分が家を守る。俺がやらなきゃ誰がやる!
と強い責任感を持っている。常に外を見張って、挙動不審な者が通ると強力に吠える。ちゃんと見極めてのことだ。
初めての、ゴンちゃんとの出会いが悪かったので、必ず吠えられる。
バイクで通りがかって、止まって呼んだのが良くなかった。
エンジン音で怒ってしまった。以後、鼻を付けられた。

いつもは寝ているゴンちゃんだが、ご主人が帰る頃には、ちゃんと座って待っている。誰もいない時でも、ゴンちゃんが正座しているので、『ああ、ご主人が家に向かっているのだな』とわかる。
雪の降る、冬の寒い夜中でも、ゴンちゃんは小屋から出て正座している。
どれほど大切にされているようでもないのに、涙ぐましい。
犬はやはり、犬らしく飼わなければいけない。

ところで、
例の、大仕事をしてくれた居候のコーギーだが、預かってくる時、初めて聞いた名前が「ゴンタ」だった。

けったくそ悪いから、時々は「Mr.ゴーン」とか、「権現様」とか呼ぶが、「ゴン助」と呼んでいる。ゴンちゃんに申し訳ないからだ。