ヘミクセムの博物館を見学させて頂いた後、アネリーさんご夫妻のご自宅へお招き頂き、コレクションを拝見させて頂くことになっていた。
そのコレクションがただならぬもので、あまりの凄さに感極まる。
とても一度に消化し切れる量ではなく、放心状態に・・・
玄関を入ると、早速タイルに迎えられる。
船がモチーフのマジョリカの組みタイル。
博物館で見たものと色違い。ブラウンがベースのこちらの雰囲気も素敵だなあ。
玄関ホールだけでも、多くのタイルがあちこちにディスプレイされていて目移りしながらも、可愛くカラフルなキッチンを通り抜けてリビングルームへ。
(撮影&SNS了承済み)
リビングルームでまず目を惹いたのは、こちらのディスプレイ。
鳥と自然の風景が美しい、落ち着いた色彩のマジョリカの組みタイル。
gillioto&cieのもの。
下段には、魚をモチーフとしたさまざまなマジョリカタイルが並ぶ。
美しすぎるコーディネイト。
波間に魚が整列するデザインは、なんと面白いのか!
こんなデザイン、初めて見た。
(ビレロイ・ボッホ)
2枚のタイルを合わせて、鯉の間に蓮の花。
(ビレロイ・ボッホ)
こちらのサンゴと魚のマジョリカは、チェコのラコ社のもの。
そして、全面マジョリカタイル貼りのストーブ。
やわらかで透明感のあるミントグリーンが上品。
更に・・ブルーコーデが最高に美しいアール・ヌーヴォーのマジョリカタイルのコーナー。
お隣の部屋には、ドイツの希少なユーゲントシュティールデザインのタイルがずらりと並ぶ。(右のピンクの花のタイルはチェコのラコ社の希少タイル)
デザイン、色合い共にかっこいい~
素敵すぎて、全てが自分のツボに入る。
タイルだけでなく、インテリアのセンスがすばらしくて、本当に素敵なのだ。
しかし、まだまだこれだけではなかった・・
時々、ディスプレイは入れ替えられるとのことで、ストックルームにもご案内頂けた。
ストックルームは、四方をタイルが並べられた棚に囲まれ、何段もある引き出しもいくつかあって、一段、一段、拝見させて頂く。
深いグリーンやブラウンの色彩がヨーロッパならではなマジョリカタイル。
水辺に浮かぶ蓮の花のマジョリカタイルのコレクション。
白鳥も泳いでる。水の色合いが美しい。
アール・ヌーヴォーの曲線を描くお花たち。
引き出し毎にテーマがあるようで、収納兼ディスプレイというのか・・
引き出しを開けてもらう度に、感嘆の雄叫びを上げそうになる。
唯一、見たことのあるデザインのタイルが出てきたが、
この色合わせがまた素晴らしい。
4枚繋げると模様が浮かび上がるマジョリカタイル。
こちらも縦に、横につながるマジョリカの組みタイル。
こんな風に横に三枚一組で、図案が浮かび上がるものもあるんだなあ。
一番下のアール・デコデザインのものも色のバリエーションが豊富。
子供たちの遊びを表したマジョリカタイルも色合い共にめちゃくちゃ可愛い。
縦長の風車や木、ヨット、建物など風景が描かれたものも。
リスのタイルもかわいいな。
落ち着いた色合いのアール・ヌーヴォータイルも好き。
1枚を4分割したデザインのタイルも。
写真はコレクションのほんの一部であり、ほとんどのものが未だ見たことのないタイルばかり。
ヨーロッパのタイルの世界のとんでもない奥深さと広さを
こちらのコレクションを拝見させて頂いただけでもよくわかり、
こんな世界があったのだ~と感動と共に衝撃を受けるばかりだった。
コレクション拝見後は、お茶を頂き、息子さんも交えてルーベンの旧市街へ繰り出す。
こちらの建物、教会とばかり思ったが、なんと市庁舎だそう。
ルーベンはベルギーでもそれほど大きな町ではない、と言われていたが、
建物を見る限り、相当な歴史があり、古い町並みが美しく維持されているように思える。
そして夕飯にレストランへ連れてきて頂いた。
なんと、ちょうどタイル画のある前の席へお通し頂ける。
BFKのサインがあり、Boch freres Keramis製のタイルだそう。
ステーキやビーフシチューなどがおすすめと伺い、
ビーフシチューに。やわらかい塊肉がごろごろ入って美味しかった。
ベルギービールで乾杯!
アネリーさんのご家族は、皆本当に優しくて、私はロクに英語ができないにもかかわらず、分かりやすい英語で話し、理解できているか確認してくださる。
食後は、更に旧市街の町歩きへ。
こちらは、ルーベン大学図書館。
先ほどの市庁舎といい、図書館といい、建物の重厚感が半端ない。
息子さんもこちらの大学へ通われてるとのこと。
すごい大学なのでは?!
タイル好きの私の為に、タイルスポットなどへもご案内頂く。
こちらの建物の窓の上のアーチにも組み絵タイルが見られる。
けしの花?赤い花と実が美しいタイル。
同じくアーチの中にデザイン違いのもの。
こちらはマジョリカタイルで、紫の花の濃淡も美しい。
モザイク風に模様が入ったセメントタイルが敷かれたポーチ。
こちらもポーチのセメントタイル。
タイル貼りの外壁にレリーフタイルがポイント的に貼られていた。
入口周りの両脇につく鳳凰?の羽や尾の優雅なライン。
扉のアイアンワークもいいな。
ブリュッセルでもよく建物の前に見かけたこの鋳物の透かし彫り。
マンホールでもなく、何だろう?と思っていたのだが、
伺ってみると、昔、石炭を直接外から貯蔵庫へ入れるための入口だったとか。
よく玄関前にガラスブロックも見かけたこともあったのだが、昔は、使用人を地下に住まわせていたとのこと。キッチンも地下にあったという。
他にも、学生の下宿に使われているアパートには、
このようなKのマークのある表示板が建物に付けられているとのこと。
ルーベンは大学が多くあるようなので、この通り一帯は、下宿用のアパートが多かった。
アール・デコっぽい建物も。
渦がモチーフの装飾。
最後に駅前でのお茶もとても楽しいひとときだった。
知り合って半日という短い時間だったけど、あたたかいご家族にすっかり癒されてしまい、最後はお別れするのも辛いほどに。
素晴らしいタイルコレクションに出会えたことも奇跡だけど、
この素敵なご家族に出会えたことも奇跡だなあ。
至れり尽くせりのおもてなしを受けた上に、大事なコレクションの中から
タイルのお土産まで、、タイル研究者マリオ・バック氏の今では書店でも入手できない本も用意してくださっていた。
本当にありがとうございました。
後日、私がお贈りした手作りのタイルも飾って頂いているお写真も送ってくださった。
うれしい~。