転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



Ivo Pogorelich – The great piano recital
というものが、2010年1月4日に発売されるらしい。

私は一応コレクターではあるので、出るなら買うが、
しかし、これだけ長年ファンして来た私にとっては、
こういうのは、もういいかな、という感じがする。
86~87年収録のLD用映像(当時)だから、どれも繰り返し観たし
ClassicaJapanでも、DVD未発売分のLD用映像はすべて放映済み)、
ショパンなんかは多分、以前出たDVDに入っていたのと
同じ演奏だとしか思えないし、新鮮味は皆無だ。
誰かわからないような(殴)大昔のジャケット写真も、
今更だなあと思うし。

以前と同じ曲目だが別バージョンを今までお蔵入りにしていた、
というのなら、古文書みたいな価値はあるような気がするが、
そんな可能性は、まあ無いだろう。
唯一の楽しみは、誰がどういう解説を書いているか、だろうか。
三カ国語ブックレット入りとあるので、
ケジュラッゼ女史の弟子だったピエール・ジャスマン先生あたりが、
面白い文章を書いて下さっていたら嬉しいのだけれど。

Beethoven:
Piano Sonata No. 27 in E minor, Op. 90
Piano Sonata No. 32 in C minor, Op. 111

Chopin:
Piano Sonata No. 2 in B flat minor, Op. 35 'Marche funèbre'
Polonaise No. 5 in F sharp minor, Op. 44
Prelude Op. 28 No. 21 in B flat major

Scriabin:
Étude Op. 8 No. 2 in F sharp minor
Deux poèmes, Op. 32

しかし80年代限定でポゴレリチが好きな人、
あるいは、最近彼を知ったばかりで、
彼に関するものなら、いつのものでも全部観たい聞きたい人、
にとっては、大変価値のあるDVDであろうとも思う。
どれも、単純にピアノ演奏という観点から見れば、
非常に質の高いものだし、CDには収録していない曲目もあるから、
初期のポゴレリチがどういうピアニストだったかを知るために
よく出来た内容であることは確かだ。

せっかくDVDが出るのに否定的なコメントで申し訳ないのだが、
私はポゴレリチの熱烈なファンであるがゆえに、
「今」「現在」の彼に猛烈に飢えているのだ。
ここ十年ばかり録音活動をしていないことも、
ファンとして決して満足とは言えない状況だし、
もう大昔の復習を「新発売」にカウントするようなことは必要ないから、
現在進行形の彼を記録したディスクこそが欲しいのだ。

グラモフォン側は、やる気のあるようなことを数年前に言っていたし、
ポゴレリチも自宅スタジオでレコーディングする計画があると
インタビューで四年前に話していたが、あれからどうなったのだろう。
ベートーヴェンをCDにしたいとか、
マスタークラスを映像収録してもいいとか、いろいろありましたよね。
私は「しつこい」のが身上なんで、一度聞いたことは容易に忘れず、
こうやって、ずっと待ってるんですが。

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