転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



気にしなければ済んでしまうほどのことなのだが、
我が家の真上の住人について、私は実は、僅かばかり、
不審に思っていることがある。
ひとつは、ピアノの音に関して。
もうひとつは、足音か何かわからない物音に関して、だ。

まず、上の家にピアノがあることは、入居したときからわかっていた。
ブルグミューラーの『やさしい花』『清い流れ』などが
とぎれとぎれに上から聞こえて来たことがあったので、
感じからして、小学生くらいのお子さんがお稽古している、
というところだろうと私は思っていた。

・・・のだが、夏くらいから気づいたのだけれど、
普通のお稽古の気配とは別に、午後になると決まって、
ひどく単調な、ゆっくりした、D音(レの音)の連続が聞こえてくるのだ。
私は音感が不確かなので、本当にD音かどうかは、
実際に我が家のピアノで私自身が出してみて確かめた。
たとえていうなら、まるで調律みたいに、上の家ではD音が鳴っている。
だが調律と違うのは、D音以外の音に移ることは決してなく、
また、他の音とのハーモニーもつくらないという点だ。
一度始まると小一時間くらい、これが続く。

もうひとつは、子供の足音のような、パタパタとした音だ。
D音の聞こえるあたりと、近い場所からしているように思うのだが、
ピアノの音と同時にこの音が聞こえてきたことはないし、
音のする時間も割と、まちまちだ。
ただ、昼間、パタパタ・・・という、何かわからない音が、
上から軽く響いて来ることが結構あるのだ。
これも、小一時間くらい続くが、耐え難いような騒音には程遠く、
気がついたら止んでいる。
実はきょうも、つい先ほどまで、このパタパタは聞こえていた。
今は、すっかり静かになっているのだけれど。

最初は、上の家に、幼稚園にも行っていないくらいの
小さい子がいて、昼間から家の中を走っているのかと思っていた。
だが、しばらく観察していて、子供かどうかはともかくとして、
少なくとも、駆け回っているのではない、ということが、わかった。
だって、この音は移動することがないのだから。
同じ場所で、ただ、パタパタ・・・パタパタ・・・と音がしている。
階下である我が家には、かなりくぐもった音になって聞こえているが、
実際には、もしかしたら、ピアノのダンパーペダルを
乱暴に踏んでいる音なのかもしれない、という気もする。

最も合理的な解釈は、やっぱり上の家には幼い子がいて
その子は、ブルグミューラーの練習の子の弟か妹で、
ピアノがあいているときに遊んでいるのだ、ということだ。
鍵盤ではおよそ真ん中あたりにあるDを叩いてふざけて、
それに飽きると、でたらめにダンパーペダルを踏んでいる、という。
しかし、ペダルだけ踏んでも、本当は面白くもなんともないのだ。
座ったらペダルを踏めない小さい子でも、遊ぶときは、
ピアノの前に立って、ペダルを踏みながら、鍵盤を触るものだ。
鍵盤だって、普通なら、もっとあちこち、鳴らしてみるものではないか。


・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・(^_^;)。
もしかして、盛り塩でもすれば、音がしなくなるかな(爆)。

いや、冗談ではなく。
例によって、娘の読んでいる怪談本に、似たような話が、あったのだ。
日本に来たばかりのカナダ人の男性が、古いアパートに入居したら、
となりの部屋から壁を叩かれるわ、呪文みたいな声が夜中にするわで、
意味がわからず、やかましくて困り果て、日本人の友人に相談したら、
その日本人は、どんな声がするか等々と彼にしばらく話を聞いたのち、
音のする側の壁際に、塩を盛った小皿を置き、柏手を打ったのだという。
そうしたら、音はその晩からピタリと止んだ。

カナダ人は、感心して思ったそうだ。
『日本では、塩を盛って手を叩くだけで、
近隣の騒々しい住人を黙らせることができるらしい。
日本には素晴らしい文化がある。
カナダに帰ったら友人たちにこの習慣を広めよう』

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