転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



姑は、こちらが話しかけても
きちんとした返事ができないことが多いので、
ちょっと見た感じでは「耳が遠い」と思われがちだが、
私の観察によると、彼女の聴力に特に異常はないと思う。
音は聞こえている。
ただ、その聞こえた音の示す意味合いが、
正しく分析できていないだけだ。

きょうも、ヘルパーさんが来られてベッドを直して下さっているとき、
ベッドの柵がちょっと壁にぶつかってしまい、
くゎ~んと金属音が響いたら、姑は途端にふり返って、
「は~い。いらっしゃ~い」
と愛想良く言った。
また、夕食のあと、主人が
「ひっ」
としゃっくりをひとつしたら、姑はすかさず、
「はぁい。ちょっと待ってねえ」
と返事をした。
いずれも、誰かお客さんが来た音だと思ったらしい。

夕食後の片づけで、私が食器棚の扉を閉めたときには、
ぎぃぃ~と鈍い音がしたのだが、
姑は隣の部屋に居ながらそれを聞きとがめて、
「よしこさん?どしたん!?」
と真剣な顔で訊いて来た。
「え。どうもしませんよ?」
と私が姑の部屋を覗いたら、
「だって、あんた、今『へえ~』って言うたじゃろ」

私は食器棚の前で、ひとりトリビアをやっていたらしい。

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