宅配運転手に労組設立申告証を発給…特殊雇用労働者の権利への一歩
文大統領の「労働3権保障」公約より
雇用部「労組法の労働者に該当」
団体交渉の締結権行使が可能に…労組は「歓迎」
政府「他の業種の申告の際には個別判断」
CJ大韓通運の宅配労働者が4月4日午前、ソウル市鍾路区の参与連帯ヌティナムホールでブラックリスト存在疑惑告発記者会見をしている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社
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雇用労働部が特殊雇用労働者(特雇労働者)に分類される宅配運転手が設立した「全国宅配連帯労働組合」(宅配連帯労組)の設立申告証を発給した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「特雇労働者の労働3権保障」公約にともなう最初の設立申告証発給だ。これまで法と判例を消極的に解釈し、特雇労働者の労組設立を阻んできた政府方針の変化の信号弾と分析される。
雇用部は8月31日に労組設立申告書を提出した宅配連帯労組の設立申告証を発給したと3日明らかにした。雇用部は設立申告書を受付けた後、5回にわたる補完要求と使用者団体開陳などを総合して、2カ月目に申告証を発行した。これに伴い、宅配連帯労組は「法内労組」として活動し「労働組合および労働関係調整法」(労組法)により使用者との団体協約締結権および団体行動権を行使できるようになった。
雇用部関係者は「設立申告内容と使用者側意見を基に検討した結果、宅配運転手が労組法の労働者に該当すると判断した」と話した。宅配連帯労組は声明を出し「5万の宅配労働者にとって恵みの雨のようなうれしい便り」とし「今後、日常的な契約解除の威嚇、過度な代理店手数料、一日13時間に及ぶ長時間労働など、不当な労働条件を改善するために闘争する」と明らかにした。
これまで宅配運転手をはじめとし、代行運転手・ゴルフ場競技補助員・保険設計士など230万人余りと推算される特雇労働者は、勤労基準法上の「労働者」に該当しないという理由で、労働権の死角地帯に置かれてきた。特に勤労基準法の労働者と労組法の労働者の定義が異なっているために、特雇労働者が勤労基準法の労働者ではなくとも労組の設立は可能だということが裁判所の判例だったが、政府の消極的な法・判例解釈のせいで特雇労働者の労組設立は「空の星を取ること」のように困難だった。
こうした状況が変わったのは、19代大統領選挙で特雇労働者の労働3権保障を公約に掲げた文在寅大統領の就任からだ。新政府スタート後、雇用部は特雇労働者の労働3権が保障されるように法を制改定せよとの国家人権委員会の勧告を受け入れるなど前向きな態度を見せた。
だが、雇用部が宅配連帯労組に続き、他の業種の特雇労働者の労組設立申告を一括受け入れはしないと見られる。雇用部関係者は「特雇労働者の業種別勤労形態や使用者への従属程度などがそれぞれ異なるため、設立申告がなされれば個別に判断することになるだろう」と話した。民主社会のための弁護士会のキム・ジン労働委員長は「労組法の“労働者”の定義に特雇労働者を包括させるなどの法改正を通じて、特雇労働者の労組設立申告を選別受理する問題を根本から解決する必要がある」と指摘した。
パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )