核密約:複数の元次官ら「認識」
有識者委調査に回答
ヤフー毎日 2009年12月30日 2時32分
外務省の日米密約に関する有識者委員会(座長・北岡伸一東大大学院教授、6人)による聞き取り調査に対し、複数の同省事務次官経験者らが「核搭載 米艦船の寄港などを認めた密約の存在を認識していた」と証言していたことが29日、分かった。核密約については、既に関連文書が外務省内に保管されていた ことが明らかになっている。文書を扱った当事者らが密約の存在を認めたことで、有識者委は来年1月下旬にもまとめる報告書で「密約はあった」と結論づける 見通しとなった。
今年6月、村田良平元事務次官が前任次官から密約の引き継ぎを受けたことを毎日新聞などに明らかにしているが、今回の調査では、より詳細な文書の 管理実態などが裏付けられたとみられる。有識者委は、政府内でどこまで認識を共有していたかなど、検証を深める手がかりになるとして証言を重視している。
調査に応じたのは、次官経験者ら4人で、村田氏は含まれていない。密約の解釈や交渉経過、背景などをまとめた関連文書の有無や保管状況を証言した という。日本の政権交代に加え、冷戦終結など、密約を結んだ当時と時代背景が異なることから、「密約はない」としていた従来の外務省の公式見解を覆して も、今後の日米関係に与える影響は小さいと判断したとみられる。
また有識者委は、69年11月に当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が署名した、沖縄への核再持ち込みを認める密約について、文書を保管していた次男の佐藤信二元通産相に調査協力を要請する。
岡田克也外相は29日の記者会見で、信二氏が外務省OBに、保管していた文書を同省の外交史料館などに預ける相談をした際、OBが「私文書にあたる」と指摘していたことについて、「外務省関係者の『(文書が後に)出てきては困る』という反応だ」と述べた。【中澤雄大】