揺れる 維新政治
赤バス消え 代替も危機
今年4月、大阪市の街角から「赤バス」の姿が消えました。地域の隅々を走り、市民が日常生活の頼りにしていた低床式のコミュニティーバスです。 「市民は非常にぜいたくな住民サービスを受けている」と言う橋下徹市長の意向でした。代替の交通サービスを実施する区もありますが、十分とはいえません。
「2段の段差のために、1カ月で乗るのを諦めました」。港区の女性(75)は同区の代替バスについて無念そうに語ります。膝に人工骨が入っていて、歩くには手押し車が欠かせません。
港区が4月から運行する代替バス「青バス」には、乗降口に2段の階段があります。
バス通院できぬ
女性は乗り降りの際、手押し車を自力で持ち上げようとして腰を2度、圧迫骨折しました。「運転手さんに手伝ってもらうのが心苦しかった。介助のた めにバスの時間が遅れるのを気にして、乗りたくても乗れない人が他にもいます」と話します。総合病院へのバス通院もできなくなったといいます。
利便性が後退
区は「コストの問題で低床のバスが実現できなかった」と言い訳しています。
赤バス廃止後、代わりの交通サービスがあるのは15区です。▽週3回の運行(城東区)▽定員10人(東淀川区)▽利用者を制限(此花区など7区)と、どの区でも利便性が後退しています。
これらも来年度以降、存続の危機にあります。各区が今年度だけの暫定措置としているためです。橋下市長が狙う地下鉄・市バスの民営化・廃止と一体の対応です。
赤バスの発想をもった公営バスの復活と地下鉄・バスの民営化撤回を訴える「赤バスの存続を求める市民連絡会」は、署名や宣伝、行政への要請行動を展開。「買い物や病院に行けなくなる」とバス利用者の切実な声が寄せられています。
3度の継続審議
12月の市議会で民営化は3度目の継続審議になりました。橋下市長がもくろんでいた来年4月からの市バス民営化はできなくなっています。
交通政策に詳しい立命館大学の土居靖範教授は、赤バス全廃について「高齢化社会をみすえ、コミュニティーバスの導入が進む全国的な流れに逆行している。まちづくりの総合的な観点が重要で採算性のみを追求するのは間違い」と指摘します。
前出の女性はいいます。「赤バスがあったときは出かけるのが楽しかった。友だちと『おはよう』と声をかけあったりしてね。またみんなが乗れるバスを走らせてほしい」
(前田美咲)
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