ミャンマー 20年ぶり きょう総選挙
軍政が反対勢力排除
最大野党はボイコット
【ハノイ=面川誠】ミャンマーで7日、20年ぶりとなる総選挙が投票されます。反軍政勢力がほぼ排除されたもとで、軍政系の連邦団結発展党(USDP)の勝利が確実視されています。最大野党、国民民主連盟(NLD)は棄権を呼び掛けています。
同国では1962年のクーデター以来、軍政が続いています。民主化運動の高揚を受けて1990年に実施された総選挙で、アウン・サン・スー・チー 氏率いるNLDが議席の8割を得て圧勝。しかし、軍政は政権移譲を拒否したまま、2008年に、軍が「国家の国政指導の役割に参加できる」と明記した憲法 を制定しました。
今回の選挙で有権者は、上院(224議席)、下院(440議席)、14の地域議会(計665議席)の各選挙に計3票を投じます。議席の4分の1は無投票で軍人に割り当てられます。
約3000人の候補者のうち、3分の2はUSDPと国民統一党(NUP)が擁立。USDPは現職閣僚27人を、NUPは前回総選挙で当選した元軍人らを擁立しています。USDPは「有権者2800万人のうち1800万人が党員」だとしています。
NLDは、スー・チー氏が選挙ボイコットを決めたため政党登録を取り消されました。「ボイコットは非生産的」と主張する勢力が国民民主勢力(NDF)を結成しましたが、準備不足と資金難で候補者は166人にとどまっています。
USDPのテー・ウ事務局長は「複数政党制による民主主義」を公約していますが、旧NLD幹部は政治囚が2000人を超える事実を指摘し、有権者に「憲法に保障された国民の権利を行使して棄権しよう」と訴えています。
ロイター通信は、「ヤンゴンで声を聞いた市民の多くは、投票するかどうか悩んでいる。豊かな地下資源と農地があるにもかかわらず、西側諸国による制裁と経済政策の失敗にあえぐ国民にとって、この選挙が生活の改善につながるとは思えないからだ」と伝えました。