ASEAN外相会議開幕
共同体実現・経済危機など協議
(写真)ASEAN外相会議開催を前に記者会見場を視察する議長国タイのカシット外相=19日、プーケットのラグーナ・ビーチ・リゾートホテル(井上歩撮影) |
【プーケット(タイ南部)=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は19日、当地で非公式外相夕食会などを開き、一連の閣僚級会議をスタートさせました。
20日にASEAN外相会議、23日に安全保障についてのASEAN地域フォーラム(ARF)外相会議を開きます。一連の会議では、2015年の ASEAN共同体実現に向けた取り組み強化を図るほか、経済危機など世界的課題での国際協力強化、北朝鮮の核問題やミャンマーなどの地域情勢について協議 します。
外相会議共同声明案によると、ASEAN外相は「包括的な政治、統合された経済、社会的責任のある」共同体実現へ改めて決意を表明し、加盟国間の発展格差解消を促進することなどを宣言します。
共同体の三つの柱の一つであるASEAN社会・文化共同体に関連し、外相会議は「人間を中心とし、社会的責任のあるASEAN共同体」を目指す方向を表明。教育・人間開発や貧困削減、住民の生活向上、福祉の増進と人権擁護に取り組んでいくことを確認します。
経済危機について外相会議は、域内の貿易や経済発展に与えている影響への懸念を改めて表明。中小企業支援や国内需要刺激策などの措置を継続するこ とを確認します。また、食料・エネルギー安全保障が「地域の持続可能な経済成長にとって最も重要」だとし、安定的な食料・エネルギー供給のため、投機に左 右されない「正常に機能するエネルギー市場」の重要性を指摘。農業生産に配慮しながらの代替エネルギー資源の利用開始に向け、協力を強めることで合意しま す。
今回の会議ではARF参加国の米国が東南アジア友好協力条約(TAC)に加入します。ASEAN外相はこれを「東南アジアでの平和と安全保障促進 における米国の新たな関心」と歓迎し、米国との協力関係についても「ASEAN共同体構築に積極的な貢献をする」ものだとして、関係の再活性化を図りま す。
ASEAN外相会議では、自然災害、環境問題、インフルエンザなどの感染症などについても議論し、これらの世界的課題への対応でARF参加国など対話国との協力強化を進めます。