羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

原初生命体の発想 5 舐めることそしてイマジネーションという第六の感覚

2006年06月15日 19時16分46秒 | Weblog
 粘土団子をつくるにあたって、多摩川の上流に粘土を取りに出かける話をコメントいただいた。
 
 以前、鉱物標本を主に制作している「ノーベル社」を訪ねて「粘土鉱物」を分けていただいたとき、「専門家ならば自分でとりに行くはず。どういう人が訪ねてくるのかと不思議意思った」と言われてしまった。

 しかし、実際にいくつかの粘土鉱物を手にして、これは相当目利きでないと正確には採取できないものだと思った。
 
 そこで今回いただいたコメントを読んで、なかなか素人には見分けがつかないものだと合点がいった。
 舐めてみて、その舌触りで、粘土鉱物を選り分けるという話に、「なるほど」と頷きつつ、実感を重ねることで感覚は育つものだと改めて思った。

 野口体操の仲間の一人に、なんでも、一応、舐めてみる方がおられる。色が鮮やかに赤過ぎるとか、極彩色の鉱物は避けるらしいが、はじめに「匂いを嗅ぐ」ことで安全性を確認し、その上石を舐めるのである。
 鉱物の場合舐めるといっても、直接舌をつけるのではない。まぁ、彼の場合はぺロッと舐めていることも見かけたが。

 匂いを嗅ぐ、舌で舐める、という行為は、指で触れる・手で触れること以上に、そのものの持つ「質」を鮮明に感じさせてくれるものなのかも知れない。

 感覚とは五感を総動員し、そのうえに「イマジネーション」という名の「第六の感覚」が加わって、さらに鋭敏さを増すものらしいことは、体験の中で知っている方も多いと思える。

 とにかく、粘土団子の「粘土採集」のコメント、ありがとうございます。

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原初生命体の発想 4 「もののサイズ」は存在の基本

2006年06月14日 21時27分17秒 | Weblog
 本日、スメクタイト50グラムと55mlの容器3個をゲット!
 9グラムのスメクタイトではあまり感じなかったことだが、50グラムのスメクタイトの量の少なさにビックリした。
「これだけ?」
 つい口走ってしまった。
「微粒子なのだ!」
 まずそのことを実感した。

 抹茶の粉も微粒子で嵩はない。この大きさは100分の1ミリだといわれている。
 それに比べて、もっと小さいスメクタイトは、0・2㎛以下だとすると、この嵩にも頷ける。
 このサイズは、走査型電子顕微鏡の世界に入るのだという。分子や原子よりは大きさがあるが、私たちの日常の「視覚」のままでは、形や凹凸を見ることはできない「サイズ」だと、5月20日のブログにも書いた。

 ものの大きさというものは、その‘ものが存在する’「場」と「時間」、別の言い方をすれば「ま(空間・時間)」を決定する、重要なファクターなのだと気付かされる。
 
 解説書を読むと注意事項が書かれている。
「スメクタイトは微細な粒状ですので、取り扱いの際は保護マスクをしてください」第一番目の注意である。

 すごいことだと思っている。
 今日のところは蓋を開けずに眺めていることにした。
 時間のある日に、ゆっくり取り扱わないといけないようだから。

(という訳で「もののサイズ」は、存在の基本だということを知りました)
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原初生命体の発想 3 生命の普遍性

2006年06月13日 20時30分30秒 | Weblog
 若い知人にエッセイストがいる。
 彼女は昨年末、自宅が火事に遭い、辛い日々を過された。
 一部焼失だったために、工務店に頼んでリフォームのように改築したらしい。
 
 ところがそのことがもとでシックハウスにかかり、親御さんとの関係も悪化した経緯を東京新聞に載せておられた。
 2006年5月10日(水)22面・掲載記事である。
 エッセーは、「子どもたちへ 大人たちへ」と題してあった。

 彼女の文章を要約してしまうと、思いが伝わらないし、文章の匂いも味もニュアンスも、なにより真意が消えてしまうので、どうしたものかと思い悩むし、ここに書くことも躊躇われるのだが。でも、触れておきたいのだ。

「脈拍も異常に高くなり、気分がジェットコースターのように上下する」彼女は、「遺書を書いて死にたくなった」とある。しかし、思いとどまった。やはり、彼女には、彼女を助けてくれるたくさんの人が周りにいた。

 そして最後に、自分には理解してくれる人がいないと思っている人に、こう呼びかけている。そこだけは、そのまま、ここに記しておきたい。

「あなたが生きている限り、決してなくならないものがある。命だ。あなたがいる限り決してなくならないものがある。命だ…。『離思』より。友人のタオイスト・加島祥造先生の詩、『そう、命はいつも、あなたとともに居る、人は離れ、裏切ることがあっても、命はあなたとともに居る』」。
 家族ぐるみで親交のある私は、この記事を読んで、ご両親の顔が目の前に浮かんで、ドッキとした。ここまで書いてしまったか、……と。

 自殺者数が、年間3万人を超えた日本。
 他者の命をあまりにも簡単に絶つ行為が日常茶飯事でおきている日本。
 そうした現代に「あなたが生きている限り決してなくならないものがある。命だ。」
 この言葉をかみしめている。
 昨日の私のブログに書いた「生命が命のうちに宿す普遍性」とは、まさにこの言葉だと思った。

 エッセイストの名は、三善里沙子。
 もう一度、題名を記す。

「子どもたちへ 大人たちへ 命はあなたとともに」
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原初生命体の発想 2 スメクタイト

2006年06月12日 13時07分52秒 | Weblog
 原初生命体の発想を、どこまで具体化して実感することが、果たしてよいのかは疑問がある。しかし、野口先生が遊んでおられた「スライム」という玩具のことを思うと、そのもとになっていくはずの「スメクタイト」で、遊んでみることは、もしかすると面白いかもしれない。
 
 今朝は、そのスメクタイトを電話で注文し、水曜日に撮りに行く約束をした。
 学校の理科の実験や教材を扱っているところらしいことが、ホームページで推察される。
 歴史も古く大正時代からの会社らしい。
 そしてそこには、いろいろなものがある。たとえば「ホーンパイプ」といって蛇腹になっているプラスティックのホース状のものの端を持って、くるくる回転させると空気がそのなかを通り抜けて、音が出るもで、回転のスピードで音程を変えることができる。つまり早く回転させればピッチは高くなり、ゆっくりすると低くなるものだ。

 そのほかには野外学習用にニコンの「ファーブル」であるとか、頭蓋骨の模型や人体模型、あらゆるものがキットになってそろっているようである。
 花崗岩セットというものもあって、そこには「雲母」も入っているらしい。

 こういった情報は、ホームページで得られるから、とても楽になった。
 とにかく水曜日に直接行ってこようと思っている。

 で、「スメクタイト」は、水中では微細なコロイド粒子(1㎛以下)に分散するらしい。
 土曜日のクラスの方に、この会社の情報と、9グラムのスメクタイトがビニール袋に小分けされたものをいただいて帰ってきた。
 ビニール袋の外側から、スメクタイトを眺めたり、揺すってみて粉の動きをみたりしているのだが、とにかく細かい。「片栗粉」をもっと均質な微粒子にしたようなものだし、粉白粉をケースに移し替えて使っていたときに、手がちょっと滑って粉が飛び散って難儀した記憶などが甦ってくる。その粉白粉よりも微粒子の動きだ。
 そういえば、野口先生も細かな石や鉱物のかけらや砂やベアリングの玉を、こうしたビニール袋に入れて、流れ落ちる動きを見ることをなさっていたことを思い出した。なんだ! なんだ! って感じ。(喜んでいるのです)

 無機界と有機界を結ぶ無機物質としての粘土鉱物。
 これが地球上に‘ありふれたもの’という物質であることが、生命にとって非常に大切な要素だと思っている。
 数や量が多いということ、何処にでもあるということ、つまり気圏・水圏・生物圏の何処にでもあるという「普遍性」が意味することを考えてみたい。
 生命にとって・生物にとって「普遍性」と「個別性」とは何か、ということを粘土鉱物は問いかけてくれるような気がしている。
 
 生命が命のうちに宿す「普遍性」ということは、ものすごく重要なことなのではないだろうか。
 微粒子(美粒子)の動きを見ながら、ふと、そんな思いにかれている。


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原初生命体の発想

2006年06月11日 12時03分34秒 | Weblog
 野口体操は「イメージ体操だ」と称したのは、今は亡き藤岡喜愛氏だった。
 代表的な著書は『イメージと人間』NHK出版である。
 
 70年代後半か80年代初めに、野口先生のご自宅までお訪ねになって、野口体操のことを研究しておられた。
 そのようなこともあって、何冊かの著書を読ませていただいた。
 当時は、正直なところ「野口体操はイメージ体操」という言葉の真意がよく分からなかった。

 しかし、私のなかでは三島由紀夫の告白的エッセー『太陽と鉄』が観念的だというのなら、野口三千三著の『原初生命体としての人間』も、同じくらいに観念的な内容ではないかと思う。では、イメージと観念はどのように違いがあるのか。この点については哲学や心理学を専門としておられる方に説明を乞いたい。

 ひとつだけ理解できることは、これまでにない独自の体操を探り・深め・伝えるとき、実証だけに頼るわけにはいかないことははっきりしている。
 実は、「寝にょろ」と名づけられた動きを説明するときに、野口先生はこの言葉を必ず言っておられた。
「皮膚という伸び縮み自由な生きている袋。その中に液体的なものがいっぱい。骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる」
 はじめてこのことばをレッスンで耳にしたとき、何を言っているのか分からなかった。
 ただし、「寝にょろ」を先生にやっていただいたときに受けたからだの気持ちよさは、はっきりと覚えている。ほとんど眠くなった。意識が飛んでいくような感じだった。言葉は要らない!っていいたかった。

 しかし、実際にはこの言葉を聞くことによって、床の上で行う「やすらぎの動き」「真の動き」といった一連の動き方の質が変わったと思う。
 従来の体操観・従来のからだの動かし方とは、全く異なる野口体操の動きにとって、貴重なひとつのイメージであると思える。それがからだの実感になったとき、瞬時にして、実感が言葉を越えてしまったのだったのではないだろうか。

 今年4月のことだが、「野口三千三を読む」という朝日カルチャーでの講座で、驚かされたフレーズがあった。
 それは、今までにも読んでいたはずだった。しかし、気付かないまま読み流していた。
「皮膚という原初的な脳、今は外側の脳ともいうべき生きているひとつの袋。この袋の中に体液という生きものがいっぱい、その体液にとっぷりつかって生きているのが筋肉・骨・脳・内臓……、この多重構造の生きもの全体が自分なのである」
 つづけて、「人間のからだは固体的でなく液体的である」。

 第二章「原初生命体の発想」の核心部分の文章である。そこから「コロイド学」に話が及ぶ。
 ここの発想は、野口体操の動きの中心核になるところで、ここが理解できないと動きは変わらない。ところがこの説が、野口体操の理解にとって「ネック」になっているところだ。
 そして、私は、今年になってはじめた「野口三千三を読む」の講座の準備で、悪戦苦闘をしながら、ようやくこの第二章が読めるようになってきたと思っている。
 30年という年月は、無駄ではなかった!
 
 からだをやわらかくすること・やわらかな動きができるようになること・動きに軽さが出ること等々、すべてが第二章「原初生命体としての発想」が源になる。
 そのイメージを実感に近づけるために、野口先生は亡くなるまでご心を砕かれた。

 さて、この問題をどのような形で、普遍化できるのだろうか?
 野口体操の逆立ちも・おへそのままたきも・腕立てバウンドも、ここから発想されたものだということが、はじめてつながってきたところだ。とはいえ言葉にするのはとても難しいのが現状だ。
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微粒子は美粒子?

2006年06月10日 20時28分15秒 | Weblog
 ミネラルフェアの後、はじめての朝日カルチャー・土曜日のレッスンが終わった。
 今日は、今までに手に入っていた「雲母」および「雲母を伴う鉱物」をいくつかもっていった。
 無機界と有機界をつなぐ無機物質としての粘土鉱物に関心を持って、その視点から「雲母」をみていると、他の鉱物や宝石といっしょになっていることがよく分かる。関心の強さが逆転してしまったのが、おかしかった。

 4月に読んだ『生命の起源 地球が書いたシナリオ』中沢弘基著からはじまって、粘土鉱物の特徴を学んでいくうちに、野口先生が体操に求められたことの輪郭が次第にはっきりしてきた。

 とくに粘土鉱物の「スメクタイト」の水分散液は、特徴的なチキソトロピー、日本語に訳すと「揺変性・流動特性」といわれるが、振るとゾル状態になり、静置するとゲル状態に可逆的に変化するという、『原初生命体としての人間』第二章をイメージ化するのに、具体的な状態を示すことがわかった。

 粘土鉱物の親水性・膨潤性・揺変性は、無機物を有機物につないでいく鍵になることも頷けそうだ。「スメクタイト」自体は、粘土中に含まれる鉱物の一種だが、これほど細かい物質は見たことなかった。0・2㎛以下の粒子を粘土とするのだから、細かくて当然なのだが、あまりの細かさに驚かされる。
「細かくなればなるほど表面積は大きくなる」
 それが意味するところを、実験して見せたい。

 いよいよ野口体操の真髄へと一歩ずつ忍び込むことになりそうだ。
 難解な『原初生命体としての人間』の言わんとするところを、できるだけ実感で捉えていくには、どうすればよいのか、皆さんのお知恵と知識と技術と、あらゆるもの・ことを動員して深めていきたいと思っている。

 そしてミネラルフェアは、ここまでやってくる足がかりをつけてもらった貴重な「場」だと思っている。
 野口先生が、「粘土鉱物」と中沢氏の本をご存知だったら、慌てふためき突進されたに違いない。
 生きるということは、日々、発見がある。どんなささいなことも大切にしなさい!という先生の言葉が、耳の奥で鳴っている。
 
 今日は、「雲母(きらら)は野口体操を象徴する鉱物だ」と板書してしまった。
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初雪鬘

2006年06月09日 20時10分18秒 | Weblog
 野口先生からいただいた鉢植えの初雪鬘が、我が家にやってきて、かれこれ20年近くが過ぎた。はじめは小さな鉢だった。少しずつ大きくしながら、育てていった。
 この鬘は、入梅を前に勢いが増して、梅雨明けから夏中、美しい葉を楽しませてくれる。
 撫子色と白と淡い緑・濃い緑、そして白と緑の斑入り状のもの、昨秋から冬にかけて紅葉した赤紫の葉が少々という具合に、撫子色と白の花が咲いている風情である。初夏から夏にかけて、白の葉が増えていく様子でおそらく「初雪」という名がついたのではないかと思っている。

 ご近所の方や、通りがかりの方が「花なのかしら」とつぶやきながら目を凝らし、「葉っぱなのね」と驚かれる。

 昨年の初秋に、一陣の風で鉢が落ちて割れてしまったので、慌てて大きめの鉢に植え替えした。そのとき根が鉢の形の丸さにあわせるように、びっしり巻いていたのに驚いていた。空を見上げると真っ暗に雨雲が立ち込めたので、そのまま植え込んでしまっていたのだった。

 ことし4月にもう一度植替えを試みた。驚いたことに、あれほど根がはっていたのが、やせ細っていた。土の量は3倍以上増えていたはずなのに。
 やっぱり根を崩して、ゆったりさせなかったことがいけなかった、と気付いた。そのうえ、鉢が壊れる前は、植えた拍子に鉢に開けられた穴に乗せた網がずれたらしくて、水遣りの際に必ずその穴から水がダーッと流れていた。そこで、夏場の水遣りは夕方になってからも再びたっぷりやっていたのだった。

 今年の4月に植え替えた後、元気がない様子に水はけが悪いのだろうと思いついた。はたと気付いて、5月中旬には鉢をひっくり返して、穴から見える網の一部を鋏でチョキンと切ってみた。
 水遣りの際に、したから水が流れるまで、たっぷりと水をかけることを試みた。
するとどうだろう、葉の量も増えたし、色も美しくなって、元気を取り戻して半月が過ぎたところだ。

 たっぷりの水と、その水はけの良さと風の通り道の具合、そして朝の光を十分に浴びることで、植物が本来の力を発揮する。その結果として名前通りの「初雪」を思わせる葉が伸びてくれるのだ。
 どのくらい根がはってくれているだろうかと想像すると、来年の植替えが楽しみだ。

 先週、ミネラルフェア期間に、新宿の小田急フローリストを何回か覗いた。初雪鬘の鉢植えを見るためだった。この数年来、この時期には、初雪鬘が花屋の店頭に並ぶことを知った。
 立教に通う途中にある池袋の花屋でも、見かけるのは時間の問題だろう。
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ミネラルフェアあれこれ

2006年06月08日 08時06分44秒 | Weblog
 朝日カルチャー土曜日・日曜日・火曜日の3クラスともに、「ミネラルフェア期間中の特別レッスン」と銘打って、石のことをテーマにしてレッスンを行った。
 
 そこでは「地質年代別化石標本100種」(東京サイエンス製)を、「時の塔」スミソニアン自然史博物館の生物の歴史表と一緒に、話をさせていただいた。
 どのクラスも「こんなテーマでいいのかしら」と、話を始める前は恐る恐るの心境だったが、話し始めてみるとそれは杞憂に過ぎなかったことを実感していた。
 関心を示してくださる方がほとんどで、化石標本を手にとって、番号と表を見比べながら、楽しそうにしておられる方が「やめられない」といいながら次々標本に手を添える姿を見ながら、とても嬉しかった。

 因みにこの「地質年代別化石標本」は、30ケース限定だったが、日曜日夕方には完売したそうだ。すごい人気だった。
 実は、この標本のよさを最初に認めたのは、野口体操の仲間で少年時代から「石の世界」にはまっておられる方だった。野口先生の石へのライバル意識を刺激された御仁だ。

「井上君は、子供のころからの石との付き合いだから遠慮がないよね。その点、60歳過ぎて石と仲良くするようになったから、どこか“石様様”って感じあって、一歩ひくのよね」
 野口三千三先生の嘆きだった。

 何事も若いときから接することの大切さを、身をもって感じておられる先生だ。
 ところが、そうおっしゃりながらも、どうして・どうして、野口先生の「石への思い」と行動には並々ならぬものを感じていたのは、私だけではなかっただろう。

 さて、一日置いて、ほっと一息ついたところで、これからのことでも、ぼちぼち考えはじめようと思っている。
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NHKラジオ第一 「星のカーテン」放送 

2006年06月07日 19時58分35秒 | Weblog
 自然音造形制作者・高野昌昭さんは、野口体操の仲間の一人である。
 新作は『光のカーテン』。なんでも音のしない音具だそうだ。
 擬音効果から音具製作。録音から電気音響と、一生を音と共に歩まれてこられた。
「大きな音にイヤ気がさして自然音に転向したんです」
 そんな言葉を始めて伺ってから、何十年、過ぎただろうか。

「ようやく辿りつきました。60年かかってしまった」
 晩年の作に決めたのは、『音のしない音具』ということで「星のカーテン」を作られた。

 銅・真鍮・アルミニウムの板から、キャラメル大の小片を切りだして、ローラーで平らにし、革細工用の糸に吊るすものらしい。その数、なんと1万5千個。

 このカーテンの向うを偶然に通りかかった車のヘッドライトに照らされた瞬間、残光が「星空」になったという。
 ゆらぐ音具を前に呆然と座り続ける高野さん。

 来る6月9日(金)、NHKラジオ第一で、朝の7時45分頃から6分程度、「星のカーテン」制作録音が放送されるそうだ。
「いったい、どんな音がするの? だって、音のしない音具なんでしょ」

 野暮なことはいわないで、お聞きください。
 このほかにも「鉛筆のカーテン」がある。
 これなどは、使い古された鉛筆を吊るして、美術でも音楽でもない不思議な造形物を作り出して、子どもたちと風流な遊びを共有されたらしい。

「どうしようもないクズだと思われている使い古しも、たくさん集まってチームワークでやれば、思いがけない説得力が生まれるのです」
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ミネラルフェア最終日

2006年06月06日 12時47分54秒 | Weblog
 午前中、朝日カルチャーセンターでレッスンを終えて、そそくさと帰宅した。
 これからまたしばらくしたら、ミネラルフェア会場に、出かけようと思っている。
 おかげさまで、無事にフェアを終えることができそうだ。

 アバウトな決め方だったが、ちょうどよく野口三千三記念コーナーに座ってくださる方がいらしてくださった。双眼実体顕微鏡や3Dポストカードを通りかかる方に見ていただいた。立体でものを見る力は、人間にそなわった非常に大切な能力だが、こうして改めて「みる(見・診・観・視)ことをしてみると、気づくことも多い。
 普段は何気なく見てしまっているが、みることはわかることのいちばん重要な手がかりである。

 今日も、午前のクラスで「地質年代別化石標本100種」とご覧にいれた。
 興味をもってくださる方がほとんどで、持っていってよかったとおもっている。
 ミネラルフェア期間中の特別レッスンは、今後、フェア会場で行ったらいいんじゃない! とまでいわれてしまった。

 さて、夕方は片づけだ。
 ほんとうにご苦労様でした、ってニコニコしながらいいたいものです。

 報告はまた明日。
 皆さん コメントください。
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石に咲く華!?

2006年06月05日 08時53分32秒 | Weblog
 野口三千三記念コーナーに座っていて、楽しいことがもうひとつある。
 それは、皆さんが下の階で求めてくる「石」の数々を見せていただけることだ。
 
 昨日は、雲母にルビーが入っている? いやいや ルビーに雲母が板状に何層も挟まっている、というか、どっちの言い方でもいいのだが、素敵な石を目にすることができた。
 雲母はグレーがかった艶やかでシックな色。そこにルビーの深紅の粒が美しい。長年にわたってミネラルフェアに通っておられる方だけに、いい買い物をなさった。しっかり交渉して値引きまでしてもらってゲット! さすがだ。

 混雑のなか、いい店でいいものに出会うのは、勘が働かないとはじまらない。それには年季がいるものだと、その雲母+ルビーを見ながら思った次第。

 中にはミネラルフェアの熱気に舞い上がっておられる方もある。そんな人を見かけると、かつての自分の姿を重ね合わせて、暖かい目で見守ってしまう。
 何を隠そう、野口先生の興奮は覚めやらなかった。最後のミネラルへの興奮は、池袋・サンシャインで行われた12月のミネラルショーだった。このときはさすがにお疲れの色が濃かった。

 隕石・鉱物・化石といった石には、人を魅了してやまない力が内部に潜んでいる。その理由は、論理では説明できない。
 会場に一歩足を踏み入れると、まず、そのエネルギーに圧倒される。はじめのうちは、何が何やら見分けがつかなくて、息苦しくなる。そこで諦めてしまうか、もっと明らかにみようと勇気をだして一歩踏み込むのかが別れ道かもしれない。
 その点、子どもは違う。ストンと石になかにはまり込んでいく。

 先日も、野口コーナーでこんなことが起こった。
 宝石学の近山晶先生がお持ちになった3Dによる「結晶系」87枚のカードを、全部見届けようとした7歳の少年がいた。応対をしてくれた方が、少年期に石に目覚めた男性で、地学への造形が深かったこともあって、安全にその少年を誘導してくださった。そうでないと、のめりこみ過ぎて危ういものがあったのだ。

 人間の集中力は、決してマイナスではない。しかし、ここで大切なことは指導力なのだと、少年とのやり取りを傍から見ながら感じたのだった。
「人が人を育てていくのだなぁ~」
 当たり前のことを思った。
 しかし、このような場を大切にされた野口先生の姿勢を改めて思い返していた。
 
 さて、そうこうしていると、それぞれがその人らしい石を手に嬉しそうに戻ってくる。その逆に、それまで抱いていたその人らしさとは全く正反対の石を携えてくる人もある。予想はつかないところが面白いし、思いがけない「その人らしさ」を発見したりするのも、こうした場に座り続ける面白さでもある。

 今週末、朝日カルチャー土曜クラスは、話に花が咲くに違いない。
 「石の華」がね…、これがまた楽しいのよね!
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石がなかだちに

2006年06月04日 08時14分21秒 | Weblog
 ミネラルフェアの準備は、いろいろな方にお世話になる。
 そして期間中は、野口三千三コーナーの席に、数名の方が常に張り付いていてくださる。
 大変だから止めておこうと、今年は出遅れていたのだが、やっぱりやってよかったと昨日も思った。
 ご無沙汰している方々や、思いがけない知人・友人が訪ねてくださって、旧交を温める場になっているからだ。

 ここにくれば誰かに会えるのでは? と皆さん訪ねてくださる。
 知らない人との出会いもいいが、久しぶりに会える関係もとてもいい。
 それぞれが手に入れた「石」を見せびらかしにくる場としても、楽しいのだ。
 ひとりで楽しむこともいいが、分かってもらえる仲間がいて、ワイワイガヤガヤと話し合えるのは、100倍も楽しみが膨らんでくれる。

 さて、「地質年代別化石標本100種」(東京サイエンス社)は好評で、双眼実体顕微鏡を通してみることで驚きが増し、「私もほしい」と手に入れてくる方が何人かあった。
 化石の大きさをそろえ、標本をつくる手間を考えると、限定30という数に納得できる。

 他には1キロ単位で「アンモナイト」や「水晶」を、毎年手に入れている方もおられる。
「僕が死んだら、墓石にアンモナイトや水晶を埋め込んでくれるって、家の奥さんが約束してくれたの」
「そんなに好きなの! アンモナイトや水晶が」
「いやいや、それだけじゃないけれどね」

 野口先生もアンモナイトはお好きだった。
「ちょっと違うって感じがいいんだよね」
「それはそうでしょ。生きものなんだから」
 そう言っている方の顔もまんざらではない。
 一度、石に取り付かれると、病み付きになりますよ!

 石が取り持つ縁は、知らなかった人同士も親しく会話を弾ませる。
 久しぶりに会う人も時間を飛び越えて話し合う。
 野口先生が残してくださった「場」は貴重だ、と大変さも忘れて喜んでしまう。
 
 今日は、日曜日。
 昨日に引き続き子どもたちがたくさんやってくるに違いない。
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地質年代別化石標本

2006年06月03日 07時35分57秒 | Weblog
 昨日の収穫。
 それは「地質年代別化石標本100種」である。
 東京サイエンス社(テーブル№65~67)特製で、ルーペにピンセットがついている。野口コーナーがある第一生命ビルロビーを入って正面にもおいてあるので必見。
 お値段も、今回のフェアに、30組限定・特価になっている。
 隕石からはじまって各地質年代を網羅して、実物で見る地学史でもある。
 迷わず奮発してしまった。

 さて、初日は、さすがに大勢の人が集まってくる。思い思いにお目当てのブースがあって、私たちの「野口コーナー」に人が寄ってくるのは、午後からになってから、ぐっと増えてくる。しかし、大変なのは、土曜日・日曜日だろう。
 それでも「双眼実体顕微鏡」は、大人から子どもまで楽しんでいただけるようだ。
 数年前までは、生物顕微鏡を見るように、片目をつぶってしまう人が、とくに大人には多くみられたが、昨日は、ほとんど方が「両目」で、しっかり立体を捉えてくださっていたようだ。

「この石、いいでしょ。奥さんに内緒なの。だから押入れに入って、隠れて見てるのよ」
 なんておっしゃる男性との会話は、すっかり影を潜めた。
 子どもも女性も、ミネラルに目覚め、押入れの中でこっそりということもすくなくなっただろう。「ミネラルの世界」は、以前に比べて市民権を得てきたような感じがする。
 新しい価値を一般に根付かせるには、時間がかかるだけでなく、なかなか難しい。

 さて、今日は、どんな出会いがあるのか、楽しみ!
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雲母・雲母・雲母、きりなく雲母

2006年06月02日 07時54分35秒 | Weblog
 さすがにスーパー・ミネラルは、桁違いに美品揃いだ。
 お値段の方も桁違いだが、特別展内の鉱物は、見る目を育てるためにも一見をおすすめする。
 
 で、この特別展会場をしきるパーテーションの外側に、佐治嘉隆さんが撮りおろした「きらら組曲2006」の写真が展示された。
 正面は3D写真と、野口三千三先生の写真である。
「やっぱり、懐かしい」
 そんな思いが湧き上がる。

 ところで雲母は、単体というよりいろいろな鉱物と一緒に見つけることができる。
 ちょうど「きらら組曲2006」の前に展示されている大きな鉱物2点が雲母の集合体で、向かって左には他の鉱物に合わさって産出した雲母を、いくつか見ることができる。
 前をみても後ろを振り向いても雲母に出会う。
 そのくらいありふれた鉱物なのだから。

 ということで会場をくまなく探すと雲母はいたるところから発見できることをすでに昨日体験済みだ。

 さて、さて、だれも関心を寄せないだろう「粘土鉱物」の面白いものに出会いたいものである。
 会場には、雲母・雲母・雲母、きりなく雲母があるはずだ。
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衣替え…そして…ミネラルフェア準備の日

2006年06月01日 10時03分23秒 | Weblog
 今日は衣替え。
 といっても最近は、6月朔日にいっせいに服装が白っぽくなるとか半袖になるとかいうような鮮やかな変化は見られなくなった。
 昔だったら、どんなに暑くても五月いっぱいは冬の延長の服装だったし、どんなに寒くても6月以降は、夏服のままでブルブルしていた。
 ところが真冬でも袖なしの若い女優さんや女性キャスターなどがテレビに出ているのだから、衣替えなどという言葉も近々死語になるのではないだろうか。

 さて、本日は、第19回ミネラルフェアの会場へ、展示物やそのほか必要なものの搬入と展示作業を午後からすることになっている。
 11時には、拙宅に教室の方が荷物をとりに来られる予定になっている。
 佐治さんの「きらら組曲2006」のパネル貼り付け作業は、無事に終わっているらしい。どんな感じの展示なるのか楽しみである。

 今週末から来週にかけて、ミネラルフェア期間中はお天気に恵まれそうな予想が出ている。やっぱり晴れてほしいと祈っているが、こればかりは自然のことなので、そのときに応じるしかない。
 
 実は、昨年は「野口三千三記念コーナー」を出すことができなかった。今年は今年で、忙しさにとりまみれて出遅れてしまった。しかし、なんとか間に合って、今日にこぎつけられたことは嬉しい。そのためにミネラルフェア開催のお知らせの新聞に載せてもらすことができなくて、申し訳なかった。
 この3週間でバタバタと準備に取り掛かっていたので、なんて珍しく言い訳をさせてもらっている。

*****お願い*****

 明日からいよいよフェアがはじまります。
 初日2日は、私(羽鳥)は一日会場におりますので、ぜひ、お訪ねください。
 久しぶりにお目にかかれる方も多いかと思います。お待ちしております。
 ミネラルフェア特別会場のいつもの場所で。
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