野口三千三先生がご存命の頃、朝日カルチャーの「野口体操講座」に参加されていた女医さんから、二十年ぶりに電話をいただいた。
キッカケは岩波現代文庫『野口体操入門』を読まれたことだった。
第一章にいたく感銘、とのこと。
嬉しい限りである。
「なんとなく想像していたことが、文章になって、野口三千三と野口体操の由来が、非常によくわかったわ」
しばらく旧交を温める内容で会話をかわした。
なんでもお母様の介護からようやく解放されたら、何もする気が起こらなくなって、鬱に近い状態に陥るとは思いもしなかった、とおっしゃる。
「自分が支えなければ、と気が張っていたのね」
今は清里に暮らしているお母様は、妹さんが半分ほど面倒をみておられるという。あとの半分は介護保険を使うようになってデイケアサービスを利用してくれるようになったとか。
「私が医者なのに、母は病院に行くことをずっと嫌がって結局4年ほど私が一人で介護していたの。医者の診察を受けないと介護認定がおりないといくら説明しても首を縦にふらなかったのよ。とうとう困って、妹とふたりで母をようやく病院に連れて行き、今の暮らしができるようになったわけなの」
とにかく介護はやってみなければわからない、でお互い同感し合った。
何事も体験が大事だ、と。
さらに精神科医として野口先生が常に強調していた「実感」「体験」、それが大事だと。
机上の論や、医者がかかわれる範囲のキュア・ケアというものの限界もわかった、とおっしゃる。
それでも鬱を患っている方には、グループで支えることで、回復していく可能性は強調しておきたい、とのお話だった。
昭和20年生まれの優秀な精神科医としての話と、ご自身の親御さんの介護の話は、野口体操のことも含めて貴重なおしゃべり電話だった。
キッカケは岩波現代文庫『野口体操入門』を読まれたことだった。
第一章にいたく感銘、とのこと。
嬉しい限りである。
「なんとなく想像していたことが、文章になって、野口三千三と野口体操の由来が、非常によくわかったわ」
しばらく旧交を温める内容で会話をかわした。
なんでもお母様の介護からようやく解放されたら、何もする気が起こらなくなって、鬱に近い状態に陥るとは思いもしなかった、とおっしゃる。
「自分が支えなければ、と気が張っていたのね」
今は清里に暮らしているお母様は、妹さんが半分ほど面倒をみておられるという。あとの半分は介護保険を使うようになってデイケアサービスを利用してくれるようになったとか。
「私が医者なのに、母は病院に行くことをずっと嫌がって結局4年ほど私が一人で介護していたの。医者の診察を受けないと介護認定がおりないといくら説明しても首を縦にふらなかったのよ。とうとう困って、妹とふたりで母をようやく病院に連れて行き、今の暮らしができるようになったわけなの」
とにかく介護はやってみなければわからない、でお互い同感し合った。
何事も体験が大事だ、と。
さらに精神科医として野口先生が常に強調していた「実感」「体験」、それが大事だと。
机上の論や、医者がかかわれる範囲のキュア・ケアというものの限界もわかった、とおっしゃる。
それでも鬱を患っている方には、グループで支えることで、回復していく可能性は強調しておきたい、とのお話だった。
昭和20年生まれの優秀な精神科医としての話と、ご自身の親御さんの介護の話は、野口体操のことも含めて貴重なおしゃべり電話だった。