羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

2023年4月29日 昭和の日 日経新聞朝刊「春秋」

2023年04月29日 09時49分44秒 | Weblog
日銀マンだった金子兜太さんは、海軍を志し主計中尉としてトラック諸島に送られた。

曰く『笑ってしまうほど軽薄な決断』
地獄の戦地で「この戦争はダメだ」と確信したという。

無謀な国家運営はなぜ止まらなかったのか。
本日の「春秋」は、この話から始まっている。

《一端にあったのが、日銀による戦時国債の巨額引き受けだ》
と話は続く。



これを読んでなるほどと思った。
父の実家のすぐ隣に郵便局があって、有無を言いわせず、無理やりに戦時国債を大量に買わされた。
敗戦と同時に、紙の束は焼けこげた残滓となった、と聞く。
父方も母方の家族も「この戦争は負ける」と早くから気づいていたという。
それでも戦時国債を買うことで戦争に加担した、と亡くなる間際に父は言った。

「春秋」の話はこう続く。
《本来は無理筋の戦費支出が、国債で賄えてしまった。異次元緩和が政府の大盤振る舞いを許す現状も、時にダブって映る。(中略)財政規律を無視すれば行く末を誤る。功罪は冷静に見極めたい》

金子兜太さんは復員後、生活のために日銀に復職し定年までつとめ上げたそうだ。しかし、金子さんといえば、命を懸けた「俳句」である。

『朝はじまる海へ突込む鴎(かもめ)の死』兜太

昭和は まだ 終わらない。
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最後の片付け

2023年04月28日 12時33分04秒 | Weblog
普段使用していない座布団を、昨日と今日の午前、2回干して座敷に取り込んだ。そのくらい乾かさないと、しばらく使わないものをしまうことはできない。



座敷に広げて熱を覚まし、大風呂敷に包んでしまうのは夕方になってからになる。これですべて片付くことになる。

日曜日の慰労会が終わって、すでに5日が経った。
祭りの後の寂しさはこれからしみじみ味わうのかしら。
ほぼ一ヶ月の準備期間から当日の終了時まで、お手伝いいただいた方々に感謝です。
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いい日旅立ち! 

2023年04月27日 13時06分26秒 | Weblog
2月に亡くなった母の諸々、先週のうちにすべて終わった。

3月末に出来上がった会報「早蕨」『特別号「野口三千三先生を偲ぶ」』を会員やゆかりの方々へ、200冊余を郵送!終了。

東京新聞に掲載された「生きる」ー「野口体操ファーストの人生」コラムを読まれた女性たちが、朝日カルチャー新宿・4月期講座に受講されている。
キャンセル待ちをされている方もおられるという。

そして4月23日には、特にお世話になった方々をお迎えして「ごくろうさま会」をお蔵スタジオで開くことができたが、お呼びできなかった方には申し訳ない思いでいっぱい。

野口三千三先生没後、それぞれに才能をお持ちの方々に助けられてここまで来られた25年を振り返ると、なんと言っていいのか言葉が見つからない。

とはいえ昨日で片付け・整理をほぼ終えてみると、今までに味わったことがない心の軽さが得られていることに気づいた。
窓を開けて深呼吸。
そのまま清々しい空気に誘われて散歩に出かけた。

   青空に木々の緑が映える


公園を抜けていつもの住宅地を歩く。
家々の庭には、薔薇をはじめとして何種類もの植物が花を咲かせている。

河津桜・可愛らしい“さくらんぼ”


いつものコースの半分を歩いて、早々に帰宅した。
                   慰労会で飾った芍薬が満開に
                 
                   一区切りの朝 いい日旅立ち!
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かるやき カルメラ

2023年04月21日 08時19分25秒 | Weblog
今朝のNHK朝ドラ「らんまん」の途中で、わたしは あぁっ!と声を上げた。
主人公の妻になる和菓子屋の娘がおたまに乗せて差し出した菓子“かるやき”は、別名「カルカン」だと気づいたからだ。


「野口体操の会」会報 Vol.04 私家版「野口三千三伝」ー4「師範学校での生活・父に対する悔恨の情」の冒頭で、野口三千三と長兄との思い出のシーンとしてカルカン作りの話を書いた。

             

この話を書く前に、野口から教わった作り方を思い出して、試しに作ってみた。2つ3つ作るうちに、コツがわかってきたのだが、火から下ろして重曹を入れるタイミングは難しかった。

《ザラメ砂糖に少量の水をくわえて炭火にかける。大きい泡と小さい泡がフツフツと音をたてて煮立ってきたら、火から下ろして泡が少し静まるのを待って、重曹を投入、一気にかけ混ぜる。全体がフワーッと膨らみはじめたら、かき混ぜる手を止める》

はじめて食べたカルメラの味に野口は
「うんまいなぁ」
甘党の野口にとって一生忘れられない甘いものとの出会いだった。
尊敬する兄との数少ない思い出の話でもある。

「らんまん」を見ながら、群馬総社駅をおりて吉岡町を訪ねた時の記憶が蘇ってきた。
利根川大橋に立って前橋方面を見ながら赤城・榛名を背に胸いっぱいに吸い込んだ空気の匂いとカルメラの匂いが混ざりあう。

「三千三伝」から離れてどれほどの月日が流れただろう。
ふと、我に返った。
熱に浮かされていたわけではないのに、身体からスーッ潮が引いて行くのを感じた。

私は、ここ数年 何を見ていたのだろう。
私は、これから どこへ行こうとしているのだろう。
そっと自分に語りかけた。
74歳 春爛漫!

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おぉー、10数年ぶり

2023年04月18日 09時43分42秒 | Weblog
今朝、お日様に誘われて、鉢植えの木の枝落としをした。
密になっていた葉がなくなって、姿を現したのが「カリンの実」。
春一番に花を咲かせていたが、最近は実がなったことはなかった。
10数年ぶりのことだろうか。
以前は、2、3つ実をつけることはあったのだが。

これで色づくまで持ってくれることを祈って写真を撮った。
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東京新聞(中日新聞)羽鳥の記事 

2023年04月09日 09時40分12秒 | Weblog
3月21日(火)、28日(火)に、中日新聞・東京新聞に掲載された記事が、担当の記者さんから添付ファイルいただきました。

文字が小さいの読みにくいかもしれませんが、ここに貼り付けます。

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朝日新聞 be はじまりを歩く 声を出して読む

2023年04月08日 10時51分49秒 | Weblog
毎週、土曜日には、朝日新聞 be 「はじまりを歩く」で、朗読の練習をしている。
その時の題材で、噛みっぱなしのときもある。
読むのが面倒なときもある。
それでも欠かさず読むことにしている。

興味を持たなかったことが多く、知らない世界を知る面白さを、声に乗せることで味わうことができるからだ。
そして、取り上げられた場所に、行ってみたくなる。

もともと旅は好きだ。
それもひとり旅が好き!

さて、本日は、ルビを頼りに3回も繰り返した。
少しずつ噛む回数が減っていく。



大野城 おおのじょう
宇美町 うみまち
水城  みずき
基肄城 きいじょう  「肄」の文字はなかなか出てこなかった。
洲本城 すもとじょう
穴太衆 あのうしゅう PCで簡単に出てきた!
三熊山 みくまやま
etc
たまたま読み方を知っているところもある。
でも、わからない読みの古い町には、心が誘われる。

市立淡路文化資料館は、地元で新たに発見された恐竜「ヤマトサウルス・イザナギイ」。恐竜名ににっこり!

本日は、知らないところを尋ねる歩く旅気分をたっぷり味わった。
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追悼 坂本龍一さん

2023年04月07日 09時25分08秒 | Weblog
明日の朝日カルチャー野口体操講座では、坂本龍一さんの追悼をレッスンの中で行うレジュメを考えた。

坂本さんとの対談が載っている『野口体操マッサージから始める』
  ちくま文庫 2012年刊


実は、どこの出版社でも、文庫本には解説を載せることが慣例となっている。
この本の解説は誰に依頼するのか、と話し合った。
たまたま編集者の方が、坂本龍一さんとの連絡ルートを持っているということで、解説の代わりに坂本龍一さんとの対談を載せる交渉を先方にしてくれた。
「野口先生のことならば、お話ししたいです!」
あまり時間をおかずに快諾をいただき、坂本さんとの対談が実現した。

はじめはニューヨークと東京間の電話対談という話だったが、たまたま坂本さんが広島に来られることになって、急遽、場所が変更になった。

当日は、筑摩書房の会議室に電話とレコーダーが用意され、昼の12時ちょうどにホテルへ電話をかけた。

約束時間は15分ということだったが、私が是非とも伺いたかった「揺らぎとデジタル」の話に坂本さんがのってくださって、45分間の対談となった。

                

明日は、この本をテキストにしようと思っている。
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終わりの見えない片付け・・・・捨てすぎるわたし!

2023年04月05日 04時48分54秒 | Weblog
特別号の発送は予定通り進んだ。

早々に、メール、メッセンジャー、手紙等々、感想をいただいている。
もう一冊「わたしの野口三千三先生」が編めそう。

97歳の方からは、昨日、電話をもらった。
字が細かいけど、目を凝らして読んでますよ!
若い方でも細かすぎるに違いない。
根気よく読ませてもらいます、という声も。

さて、と。
この3月末で、昨年の晩秋から取り組んできたことすべて一段落ついた。
今週から片付けと掃除を始めた。
終わりは見えないが、それもまた愉し。
ものを捨てすぎて困ることがあるんですがー!
そうそう 母が元気な時は拾ってきてくれたな〜 苦笑。
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『百の家族の物語』紹介

2023年04月04日 05時35分22秒 | Weblog
送ってよわたしひとりで帰れない
  妻は夫を恋人と思う    今岡善次郎

ありがとう そして時にはお父さん
  失語の妻のそれは宝石   三谷彰

むなしいよ一人の生活もういやだ
  病む友の電話相手をありがとう

春の日に彼の形見の黄の花に
  癒され鼻歌穏やかな時    F・S
              

『百の家族の物語ー若年性認知症本人と共に歩んだ家族の手記』
若年性認知症家族会 彩星の会 編より


先日、母の最後にいちばん世話になった親戚に、形見分けを届けに出かけた。
その後、従兄からこの本が郵送された。

会の副会長をしている従兄は、“本文”『アルツハイマー病となった妻の4年間の介護と工夫の記録』と“あとがき”を書いている。
彼の妻が認知症と診断されるまでの混乱。そして診断されてから介護の日々。
今は施設に入所して、こうした本を編んだことなど、なんとなく知っていたことではあったが一気に事情がのみこめた。

そして従兄が「彩星の会」に入会して、同じ悩みを持つ家族に出会い助けられたことがよく理解できた。

読みながら思うことは、医者や専門家の話も大切ではあるけれど、日常の言葉で、やさしい言葉で、綴られた百の家族の物語は、悩み迷い、死にたくなるような窮地に追い込まれた時、希望の光を見出す一助になるに違いない。その大切さが伝わる一冊である。

「お祝いにかえて」の最後にこのような言葉が綴られていた。
《家族会に新しく入会されたご家族の話を伺っていると、診察を受けてから多くの時間が経っていること、介護家族が一人悩んでいることなど、さまざまですが、現時点では治療薬がなく、進行してしまうことが根本の原因であることは自明のことなのです。》宮永和夫(南魚沼市立ゆきぐに大和病院 精神科)

私は、この言葉を身につまされる思いで読んだ。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患した新井英夫さんとおつれあいの女性のことを思ったからである。

『お母様はこれからもずっと操さんの傍におられます。
 一人ではありません。いつでも連絡をください』
送られた本に添えられた従兄の言葉に、からだの中にある小さな塊がほろりと解けるのを感じつつ、本のページをめくった昨晩のこと。


           


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