羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

石綿(アスベスト)を手に入れて・・・・

2023年05月29日 05時26分00秒 | Weblog
東京国際ミネラルフェア二日目。
朝カル土曜日講座の前に、再び訪ねた。
前日に辰砂を分けてもらった鉱物標本開発の浅田さんのブースで、しばらくおしゃべりタイムを過ごしていた。

そこへ恰幅のいい中年の女性が現れた。
「ようやく見つけたわ!」
手にもっているのは、細い繊維のようなもの。
「それって石なんですか」
「そうよ、アスベストよ」
浅田さんが鉱石を探し出す。
「それならもっているの。ほぐしてあるのが欲しかったの。話をするときに見せるためにね」

手にとって見せてもらうと、極細繊維であることがわかる。
「繊維一本は、0.02μm 髪の毛の5000分の1ですからね」
浅田さんの説明を聞いて、石綿・アスベストの現物と、飛散した繊維を大量に吸入すると肺がんになるという話が一致した。

その女性は、アスべスト解体作業で管理監督する国家資格をもっている、建設関係の仕事をしていると話の端々から伝わってきた。

  繊維状に変形した鉱石


「耐熱性に優れていて、燃えない素材なのよ。だから建築材料として使われたの。安価だったしね」
「他にも、電気製品や自動車、家庭用品に広く使われているんです」
浅田さんが補足してくれ。

私も、角閃石のアスベスト鉱石と繊維状になっているケースに密封されているアスベスト繊維を分けてもらった。
3時半からの朝カル講座に持参した「辰砂+ノジュールの中に水晶+アメシスト」に加えて、聞いたばかりのアスベストの話を受け売りしようと思いたった。

話の内容をイメージしながら、住友ビルのエレベーターで、教室のある11階に向かう。
レッスンがはじまって、次々と石を提示する。
「へー、これがアスベストの元の鉱石ですか」
思った通り、アスベストへの関心は高かった。

さて、今朝のいなって、ようやくWikiを調べる時間が取れた。

《アスベストの語源は、ギリシャ語で「しない(ない)」という意味の「a」と「消火しない」という意味の「sbestos」とからなる言葉》

フェアで聞いた話の裏付けが続く。
長期に大量に吸入すると肺がんや中皮腫の誘因になるとことが指摘されて
「静かなる時限爆弾」
そう呼ばれるようになった、と知る。
それ以後、代替え品としてグラスウール(ファイバーグラス)、セラミックファイバーがもちいられるようになったという。

さらに読み進むと、歴史におけるアスベストと人の関わりの記述には興味をそそられた。
例えば
古代エジプト:ミイラを包む布。
古代ローマ:ランプの芯。
中国:周の時代、火に投じると汚れだけが燃えて綺麗になることから「火浣布(火で洗える布)」として貢物であった。
日本:『竹取物語』火に焚べても燃えない「火鼠の皮衣」。1764年平賀源内が秩父山中で石綿を発見し、中国にならい「火浣布」として江戸幕府に献上した布が京都大学図書館に保存されていると書かれていた。

人の行為に、想いを馳せてみる。
縄を「綯う」行為、紐や糸を「撚る」行為、繊維から布を「織る」行為、水に浮かした繊維を「掬う」行為、すべて人の暮らしの必需品を作り出す行為だ。

その素材には、植物の繊維、昆虫(蚕)吐く糸、蛇紋岩や角閃石といった鉱石の繊維を利用してきた文明(技術)だ。

その中で、アスベストは廃棄物処理法で「特別管理産業廃棄物」に指定するというところまで行き着いたわけだ。

このように、アスベストは人体に悪影響を起こす鉱石だが、辰砂の水銀もまた有害な物質である。
身近なところでは、化石(石油・石炭)を燃料として利用する行為そのものが問われる時代となった。

中でも危険極まりないものは「ウラン鉱」の利用だ。
原子力発電や兵器利用は、一歩間違うと破滅への道を進む。
もっとおそろいしいことは、その危険を知っていても止められないことだ。

今朝も、アスベスト鉱石と繊維状のアスベストを手元に置きながら、文明の行方を想像していていた。
時間は巻き戻すことができない。
これからどうする、それが一人ひとりに問われている。

 アスベストを繊維状にほぐしたもの
 蓋が開けられなくて・・・・

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ミネラルフェア物語 1 野口三千三先生落下の石〜辰砂へ

2023年05月27日 05時02分04秒 | Weblog
東京国際ミネラルフェアの顧問をしておられた野口三千三先生のお供で、第1回から通いはじめてなんと36年。
うら若き乙女の頃、とまでは言えませんが、私は40歳前だった。
当初は、化石や原石を中心として、キラキラ系の石よりも、マニアックなものが展示即売されていた。

その話は別の機会にするとして、かれこれ36年目にして「辰砂(母岩・苦灰石)」を、鉱物標本開発(テーブル・ブース198)で手に入れた。
このブースの主人・浅田さんとは浅からぬ縁がある。
遡ること30年余り前のこと。
「東京藝大名誉教授・野口三千三氏落下の石!」
注意を促したラベルを体操の弟子が見つけて先生に報告。
驚いた野口先生は謝りに。
「夢中になりすぎて、落として割ってしまったことに気づかなかった。申し訳ない」
つづいて
「ぜひ、その石を買わせてくださいッ!」
頭を下げた。
「いえ、非売品です。これは記念ですし、みなさんに注意を促します」
何回目のフェアだったか年月日は失念してしまった。
それが縁で、浅田さんとの交流が始まったのだった。

野口先生が亡くなってしばらくした頃、浅田さんから宅配便が送られた。
丁寧に梱包された箱を開ける。
「落下の石」
長文の手紙が添えられていた。
読みながら、先生が亡くなった哀しみが身体の底から湧き上がってくる。
思わず、私は、電話をかけてしまった。

**********

昨日、浅田さんのブースで見つけたのが、この「辰砂」中国産である。
これほど綺麗な辰砂にはじめて出会った。
購入に、微塵もためらいはなかった。


ライトを当てると、ルビーよりも赤く輝く。
生命の象徴・生命の具現化とも言える鮮やかな色に変容するのだが、写真には撮れなかったのが残念。(本日の朝カルレッスンに持参予定)

「辰砂」について少しだけご披露しておこう。
まず名前の由来から。
古来から産出した中国「辰州(現・湖南省)」の「辰」にちなんでそう呼ばれるようになった。
殊にこの地方では、豊富に産出することから、昔から不老長寿の薬として服用されていたという言い伝えがある。
服用した筆頭の方は、始皇帝であるという。
それほど、辰砂の赤は霊力に満ち満ちた色なのだ。

翻って、日本の辰砂の利用は、中国・朝鮮からの渡来人によってもたらされた技術によって、弥生時代から始っているという。
例えば、高松塚の古墳にある壁画の赤は辰砂による顔料で描かれている。
奈良や和歌山、中央構造線沿には辰砂は豊富に採掘されていた。

鉱物調査から鉱物応用の技術に長けた渡来人の力を借りて、金属精錬技術は古代国家にとっての「国家的一代プロジェクト」だった。

手にとって辰砂を見続けていると、古代人でなくても輝く赤の色は魅力に溢れ次第にその色に染まっていくようだ。

そういえば、中国からのお土産にもらった辰砂の「朱肉」で押印した赤の色が鮮やかだったことを思い出した。
最近ではほとんど見られなくなって久しい色だ。
高価だものね!
つづく
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第36回 東京国際ミネラルフェア TIMA

2023年05月26日 15時11分34秒 | Weblog
本日 5/26〜29(月)10時〜6時(最終日は4時まで)
会場 新宿住友ビル 三角広場


今年はゆっくり会場を見て回った。
知り合いの業者さんと、話することもできた。
3年のコロナ自粛があけて、喜ばしい今年のフェアである。


外国の参加も多く楽しい会場

金の美しい結晶も


母岩付き辰砂(中華人民共和国)

晶洞の水晶

アマゾナイト(ブラジル)と辰砂

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ホームパーティーで「ごくろうさま」

2023年05月23日 13時55分42秒 | Weblog
さる4月23日のこと、「早蕨」特別号「野口三千三先生を偲ぶ」の制作に携わってくださった皆様にお蔵スタジオに集ってもらいました。

   手作りでおもてなし

           

      
      3段お重つめ フルーツカッティング
以前、クリスマスパーティーを開いていた時の食器を出して、それに盛り付けてもらいました。
引き受けてくれたのは、動画でナレーションを担当した宮守乙十葉さん。
宮守さんには、朝カルオンライン講座の生徒役で出演してもらっています。


     自己紹介の途中で
『中島みゆき「ヘッドライト テールライト」』を近藤早利さんの歌+ギターに羽鳥がピアノで伴奏。
みなさんにも、さびを一緒に歌っていただきました!

締めは、おにぎり🍙とお味噌汁(豆腐・揚げ・青ネギの小口切り)。
最後に日本茶で、お開き。
大いに楽しんでいただけたようです。

パーティー準備・終わってからの片付け、何人もの方にお手伝いいだき大助かりでした。
ありがとうございました!
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レッスンが力をくれる!

2023年05月21日 10時02分29秒 | Weblog
土曜日の朝、いつものように朝日新聞be「はじまりを歩く」を声を出して読み始めた。
声が出ない。
まったく出ないわけではない。
読み続けていくと、椅子の背もたれに寄りかかりたくなっていった。

5日間、体操も散歩もせずに、安静に過ごしてきた。
何もしなかったわけではないことは、前のブログにも書いた通りだが、筋力も落ちているような実感があった。


午後からの朝日カルチャーがあるわけだから、このままではいけない、とばかりに時間をおいて「はじまりを歩く せっけん」を繰り返し声を出して読んだ。

その甲斐あってのことか、午後3時半になって第一声を上げた時には、無理なく声が出た。

2時間、一緒に動きたくなる思いをグッと抑えて、話と号令だけにとどめた。
無事に終えて帰宅した時には、わずかな疲労を感じたが、夕食の支度をしているうちに普段と変わらない状態に戻っていった。

さて、今朝のこと。
本日午後からの朝カル日曜クラスの準備を整えた。
その後、読み上げる予定の文を声に出した。
昨日とはまったく違う。
ちゃんと声が出てくれる。
嬉しい!

休講にしないで、出かけていったことが、いい薬となったようだ。
それにはいくつかの良きことに恵まれたことがある。

受講してくださっている方々が、優しく接してくれたこと。
長年にわたってお付き合いのある気心の知れたお友達感覚をお持ちの方々だったこと。

後を託したいと思っているSさんは、レッスンを見守りながら必要なところで積極的に声を出し、邪魔にならないように個別指導をしてくれた。

みなさん、お一人おひとりがさりげない気遣いをしてくださったこと。
大腸内視鏡検査の顛末を親身になって聞いてくださったこと。
上げたらキリがない。

さて、今朝は、からだも気持ちも楽になっている。
午後からは、しっかりした足取りで出かけることも夢ではなさそう。
そんな気がしている。
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猫 Movement グループ展 佐治良太郎さん

2023年05月18日 12時49分43秒 | Weblog
佐治さんというと嘉隆さん。
弟さんが良太郎さんです。
7人の方とグループ展を開きます。



2023.5/19(金)〜28(日)
11:00〜18:00(最終日16:00)

猫にちなむ作品だけを展示するギャラリーです。
20日(土)、24日(水)に、良太郎さん在廊予定だそうです。


   一番下の作品が佐治さん
場所↓
            


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つくる楽しみ たべる楽しみ・・・・これもマインドフルネス?

2023年05月18日 08時31分05秒 | Weblog
昨晩は、鶏のささみを茹でて透明なスープに仕立て、それをベースにカボチャのポタージュをつくった。塩は少々加えたが、バターや生クリームといった乳製品と香辛料はなし。飾りに柔らかく茹でたカリフラワーを少々。

今朝は、味噌汁の出汁に使った昆布を入れてジャガイモを茹でて、マッシュポテトに仕立てる。マッシュポテトと言っても、乳製品はなし。その代わりに、コクを出すためにお粥に散らす溶き卵を少しもらって投入。塩は少々。卵の臭みを消すために醤油を数滴垂らして完成。

口に含んで、舌にのせ、鼻に香りが抜けて、ゆっくり飲み込む。
野菜の味ってこんなだったんだ。

つくる楽しさが沸々と湧いてきた。
たべる楽しさをじっくり味わう。

朝から、食に、これほど感覚を集中させたことなんて、なかったなぁー。
今流行りのマインドフルネスかもって、思ったりして。
良い一日のはじまりはじまりー。

        向かって右が大きくなった花梨の実
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腸の内視鏡検査

2023年05月17日 15時29分51秒 | Weblog
5月15日(月)、大変に評判のいい、と鍼灸院の先生に紹介された「胃腸内視鏡専門クリニック」で、腸の検査を受けた。

4月に初診。
約1ヶ月後の検査予約ができた。2、3ヶ月待つことになると告げられていたが早々に決まった。

問診の日に渡された前日の3食用レトルトがこれ↓
           
5月14日(日)、おそるおそる朝食用から食べ始めた。
夕食のハンバーグもデミグラスソースの味は本格的だった。

検査当日は、下剤を使うので3時には目が覚めた。
5時から10分おきに飲み始める。
1800mlの薬入り水を飲むのは、なかなかの体験。
前日の晩に沸かしておいた湯冷ましを使った。

自宅で腸の中のものを全て出し切って、9時半に出立。
10時少し過ぎにクリニックに到着。

問診と注意事項を聞いて、10時40分過ぎから内視鏡検査が始まった。
水の点滴の中に麻酔薬が入っているらしい。
全身麻酔ではないので、ドクターの話を聞きながら、画像を見ることもできる。
「はい、息を止めてください」
指定通りに呼吸を止めることができるくらいの覚醒感は残されている。
それでも痛みは感じない。
どれくらいの時間が経ったのかは、全くわからなかった。

全て終わってしばらくベットで休む。
着替えをしてからもしばらく椅子で休息をとっていると次第に覚醒してくる。
なんと、お腹がすいていることに気づく。

診察室に呼ばれて、画像を見ながら話を伺う。
3箇所あったポリープを切除したという。

いざ、帰宅。
2時前には、タクシーで自宅に戻ることができた。
その日から食事はとっていいとのこと。
渡されたリーフレット見ながら、お粥と豆腐の夕食から食べ始めた。
翌日から、お粥と豆腐に大根と馬鈴薯を柔らかく煮たものを足した。
翌々日・本日は、豆腐の味噌汁に林檎をすって晒しふきんで絞ったもの、ごく少量のチーズを食した。
今夜は、お粥、鶏のささみ+南瓜+カリフラワーのスープ、林檎をすって晒しふきんで搾ったものを考えている。
先ほど食材を買いにスーパーに出かけた。

手術後の注意:
腹に力を入れてはいけないということで、散歩と体操も禁。
そこで思いついたこと。
昨日から指の練習とバッハのインベンションを弾く。
午前・午後とピアノの練習に時間をかけている。

音楽って心身に効く良薬だ!

以上、腸の内視鏡検査を受けた報告でした。

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5月13日(土)朝の楽しみ 「Dear 日本」再放送 朝日be「はじまりを歩く 特急」

2023年05月13日 09時25分02秒 | Weblog
早朝、NHK・ GTV「Dear にっぽん」再放送を見る。
人生の最後に行きたいところへ案内するサービス「希望のドライブ」
残された時間が少なくなった何組かの紹介だった。

余命3ヶ月を言い渡された膵臓がん患者さんは妻にお花畑を見せたいために千葉まで出かけることなどがリポートされていた。

番組を見ながら、自然に涙が私の頬を伝った。
こうしたサービス始まる前だが、施設に入所した母を父の十七回忌法要とお斎きに連れ出したことがあった。
元気なうちに母が会いたい親戚の方々をお呼びして催した。
その際、一日だけの介護士さんをお願いしたのだが、男性介護士さんは、母に付き添って至れり尽くせりの振る舞い。

自動車での車椅子の移動はもちろんのこと、お寺さんの本堂までもそのまま入ることができる時世に合わせた寺の設備が整っていたことも幸いした。

このことに自信をつけた私は、品川プリンスの水族館へも母を連れ出した。
ここでは、魚が泳ぐ姿に惚れ惚れするだけでなく、そこにいた赤ちゃんから若い方々まで、人との気持ちのいい触れ合いも経験できた。
法事の日と同様に、終始ご満悦の母であった。

「希望のドライブ」を見ながら元気だった母を思い出した。
最後の時を充実して過ごす時間をプレゼントすることができる時代になったのだ!

本日の朗読は朝日新聞beはじまりを歩く「特急」

新橋から欧州へつながる特急の話は、旅情というより平和の尊さを噛みしめながら読む記事となっている。
『欧州とアジアの間を各国の鉄道で乗り継ぎ連絡する国際連絡運輸への日本の加入が1910年に認められたことで、鉄道が欧州と最短経路の移動手段となりました』鉄道博物館 奥原哲志・主幹学芸員

最後に、「東京ー下関ー藩陽ーハルピンー満洲里ーイルクーツクーモスクワ」
さらに「パリ ロンドン」までつながった地図がついている。

歴史の中で、第一次世界大戦、ロシア革命で中断したそうだ。
そして今現在はウクライナ情勢のあおりで切符は手に入ってもロシアへの渡航中止勧告でお勧めできない、とも書かれたいた。

「希望のドライブ」にしろ、国際列車に乗って旅をする人はいないとしても国際連絡網の話にしろ、どちらも平和であることの大切さを思わずにはいられない。
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坂本龍一さん 最後のアルバム「12」

2023年05月09日 12時25分50秒 | Weblog
朝日新聞23/5・4 朝刊「SOUND for LIFE」坂本龍一から生まれたもの
 4️ 音楽と地球環境の意識 一つに連動  人類学者・中沢新一さん

この記事は1970年代、世界中に「脱西洋」の潮流が生まれた、ことから話が始まる。

1970年代、坂本さん 中沢さんと、同年代の自分を並べるのはいささかおこがましいが、この時代に青春期を生きたものたちは、これまでの西洋的価値観一辺倒から脱して、相対的な文化・芸術への視点を持った世代だ。
文化人類学、哲学は「感覚の哲学」「身体哲学」など、そうした傾向の大きなうねりが、日本にももたらされた時代だった。

東洋的身体術、ホリスティック医療も含めて、近代化のあり方に疑問を投げかけ、脱西洋の新しい視点の中で、野口三千三の体操と自然哲学も注目された。

中沢氏はいう。
『坂本さんの中では、音楽と地球環境への意識は、一つに連動していた。高度産業文明が自然との回路を失い、内向きに閉ざされすぎていることは、発達しすぎた西洋音楽の場合とよく似ている。彼はそんな現実を批判的に見つめ、発達しすぎたシステムを解体し、自然の力と自由に通行できる音楽や文化を作らないといけないという考えを、環境問題でも音楽でも一貫して持っていた』と。

坂本さんが亡くなる間際まで、神宮外苑の再開発に伴う樹木の伐採に反対の意思表明をし続けていたことは、記憶に新しい。

この記事に触発された私は、5月7日のレッスンの冒頭で、坂本さんの最後のアルバム CD「12」から「sarabande」の一部を聞いてもらった。
仰向けに横になってもらい、からだの重さを床にゆったりと預ける。
音楽に浸って、からだの重さが床に・地球に、すいこまれるようなイメージを持ってもらう。

静まった昼下がりの教室。
身じろぎの音すらしない。

“日記を書くようにスケッチした”という坂本さんが奏でるピアノの音が響く静謐で荘厳な音空間に包まれる。

8番目の曲は、「sarabande」と名付けられている。それだけに、ところどころに解体された「長3度の和音」らしき音が挿入される。バッハのフランス組曲の短調の幻影を忍ばせる。その和音は、あたかも西洋音楽の残滓のように響く。
死を間近に見ている作曲家のいたたまれない面持ちが、聞くもののからだにも深い傷を負わせるかもしれない。

前日、私は、灯りを消したお蔵スタジオで「12」の全曲を聴いていた。
シンセサイザーとピアノ、きっぱりと二分された作品群は、『今後の体力が尽きるまで、このような「日記」を続けていくだろう』
そうした思いからスケッチされた音の辞世である。

音楽が鳴り続ける中、私は、鉄格子がはまった北の窓から差し込む日にCDが梱包されていた袋をかざした。
極小の文字に、目がひきよせられる。
読んでいくうちに、坂本さんの遺志をしっかり反映したCDであることを知らされ目頭が熱くなった。

1970年代、東京藝大に小泉文夫、三木成夫、野口三千三の三氏が存在したことの意義がこの一枚のCDに集約されているように思うのは私だけだろうか。
音楽思想家・坂本龍一が解体した音楽は、解体するがゆえに時空を超えて「人間とは何ぞや」と今を生きる・生き残っている者たちに、問いかけている音のスケッチである。

注:CDに添えられている言葉
『この商品は“カーボンオフセット”CDです。この商品が生産・流通・廃棄のプロセスで排出する/したと推定されるCO 2(=1枚あたり0.81kg)は、more treesがフィリピン・キリノ州で取り組む植林プロジェクトによって相殺(オフセット)しています。オフセットについてwww.commmons/carbonoffset.htmlに掲載しております』
*森づくりとカーボンオフセット
more treesは、森づくりによってCO2が吸収される量をもとに植林・森づくりによる「カーボンオフセット」という概念とアクションをさまざまな仕掛けとともに一般に浸透させる、というミッションを掲げています。
※カーボンオフセットとは?
カーボンオフセットとは、私たち人間の活動によって排出される二酸化炭素(カーボン)をオフセット(相殺)するために森づくりや自然エネルギーを導入することをいいます。

1、日本の森林の再生
2、熱帯林の再生
3、砂漠の緑化の再生
4、「海の森」の再生

                 

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夢想!メタバースと実写による野口体操動画

2023年05月06日 09時46分18秒 | Weblog
先週の木曜日から腰の調子がよろしくない。
ほとんどの動きはできるのだが、いくつかの動きでは痛みがあって受け付けない。筆頭は「上体のぶら下げ」
それでもできる動きは練習している。

痛くなくできる「やすらぎ動き」


本日は午後から朝カルオンライン講座がある。
できる動きを丁寧に取り上げたいと、からだに相談しながらレジュメを考えている。

先日、5月4日NHK放送「これから」稀勢の里・二所ノ関親方インタビューでを見ていた。
そこで話されていた相撲の基礎・基本について参考になった。
科学的身体技法を大学院で研究した親方だが、実際の指導では伝統的に基礎としている「四股」「腰割り」「すり足」「てっぽう」だという。
この番組を見ながら、本日のテーマにしたいと案を練った。

久々に『野口体操 感覚こそ力』の「地球に立つー相撲と野口体操」を読み返した。
過去の自分を褒めるのは、ある意味で情けないのだが
「よく書けている!」
1996年出版だから、47歳の頃。

野口三千三先生が亡くなる2年前のことだ。
この原稿は、野口先生にも目を通していただいた。
初版を出してくれた柏樹社の中岡さんには、大変にお世話になった。
説明的にならない凝った写真は佐治さんの手によるもの。

当時は、デジタルはなかったので、今ではすっかり姿消した「青焼」という校正用の印刷物だったことも懐かしく思い出しながら『感覚こそ力』の相撲と野口体操を、声に出して読んでいた。



ふと、思いついたことがある。
この本を中心に脚本化し、実写とメタバースを組み合わせた野口体操動画を作る。アバターの野口三千三+羽鳥+参加の皆さんで仮想空間で体操を体験。
今朝、5時15分からのNHK「Dear にっぽん ーデジタル村民とつくる未来〜旧山古志村」再放送を見ていてヒントをもらった。

あぁ〜夢想に過ぎないかー。
思わず天を仰いだ。

それはそれとして、本日の朝カルオンライン講座のテーマは「やすらぎの動き(腰割り)」と「四股」、相撲と野口体操で決まり。
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「ヘッドライト テールライト」 中島みゆき

2023年05月04日 12時45分30秒 | Weblog
  いちばん好きな花・芍薬を飾る

数十年ぶりに歌とギターの伴奏を楽しんだ。

「ヘッドライト テールライト 旅はまだ終わらない」詞・曲 中島みゆき(2020/ドキュメンタリー「プロジェクトX〜挑戦者たち」エンデイングテーマ)

知らない曲だった。
4月に入ってWebで楽譜を手に入れた。

伴奏譜通りに弾いてみると、軍歌のようだ。
まずい!
困った!
近藤早利さんにメールを出す。
即座にストリートピアノでソロで演奏されている「ヘッドライト テールライト」の YouTube が添付されてきた。

大いに参考にさせてもらって1週間。
動かなくなった指を恨みつつも歌とギター用にアレンジする。


                

当日は、過ぎし日にアンサンブルを楽しんだ頃に引き戻された。
参加された皆さんにも「ヘッドライト テールライト」の部分を歌っていただいた。



近藤さんから「私も久しぶりに真摯に楽曲に向き合い人前で演奏できてとても楽しかったです。機会がありましたら、またお手合わせお願いします」
同じ言葉をお返ししたい。
手の親指第一関節症が少し改善した喜びと共に。
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母を見守ったぬいぐるみ・・・・月命日

2023年05月03日 19時06分15秒 | Weblog
明日、5月4日は母の月命日である。
2月に亡くなって3ヶ月経つなんて、少しも思えない。

歩いて10数分のところで、まだ生きているような気がしてならない。
母が亡くなった実感が持てないでいる。
理屈ではない感覚なのだ。

毎朝、いちばん最初にお茶をあげる仏壇の中には、父と二人分の位牌が左右におさまっている。
それを見ても現実感が持てない。



このアザラシのぬいぐるみは、母が施設に入所して間もない頃、Nさんからもらった。
呼吸が最後の段階に入ってから息を引きとるまでの6日間、枕元で母を見守ってくれていた。

理由はわからないが、棺に入れることが出来なくて、早々に自宅に連れて帰っていた。

今度は私を見守ってくれているようだ。

朝は「おはよう」
夜は「おやすみ」
抱き上げて印象的な目を見て、挨拶している。

明日はお墓参りに出かけよう。
アザラシちゃんを連れて行こう。
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野口体操の動きについて・・・・Zoomとリアル

2023年05月03日 08時43分39秒 | Weblog
最近のこと、朝カル日曜クラスのレッスンで驚いたことがある。
それはオンライン講座から対面講座に戻られたYさんの動きを見た時だった。
Yさんは、野口三千三先生の時代に体操を始められていて、没後は羽鳥の講座を継続して受講されている。通算すると30年以上の体操経験を持った女性だ。

コロナ禍で、仕事の性質上、朝カルのオンライン講座に移行され、この講座が始まった当初から休むことなく参加されている。

毎回、モニターを通してYさんの動きを見ながら、いつもいい感じで体操されている、と嬉しく思っていた。
時にはお手本を示していただいたこともあった。

さて、2023年4月、久しぶりに対面講座に復帰されたYさんのリアルな「上体のぶら下げ」を見た。
素晴らしい!
野口体操が目指す、からだの内側から生まれる液体的な揺れが、ありありと私の目の前に映し出された。
「モニターでは伝わらなかった!」
「こんなに素晴らしい“上体のぶら下げ”だったのか!」

それからといいうもの、私の目はYさんから離せなくなった。

腕回し、尻叩き、腿の胸付け、無限記号を描く動き、3回しゃがんで立つ動き・・・etc.

どれをとってもすごくいい!
モニターを通した時も良かったのだが、それをはるかに超えているのだ。


「上体のぶら下げ」で示した金属の帯 ゆすることで穴として見える

大きな『?』が私の中にむくむくと湧いてきた。
モニターを通して私は何を見ていたのだろう?
モニターを通して受け手の皆さんは何を見ているだろう?

実際に、オンラインで動く時は、リアルのレッスン以上に、ゆっくり動くことを心がけていた。
その理由は、Zoom画像のコマの連続には、人間の目とは異なる質の粗さがある。そこで動く時には、テンポを遅くすることで、動きの本質が伝わるのではないかと考えていたからだ。

一方、リアルな動きを見たとしても、動きの全部を見ているわけではない。
だとしても、モニターで見たYさんの動きと、目の前でリアルなYさんの動きを見るのとでは雲泥の違いがあることに衝撃を受けた。

この現実をどう受け止めるのか?
遠方の人たちを繋ぐ会議用としてのZoom映像の特性について調べる必要がありそうだ。

『「野口体操」の動きを伝える』という条件の中で、Zoom映像の限界を理解して、そこで何ができるのか?
どのように注意を払ったらよいのか?

実践しながら探っていくとしよう。
まずは、今週末5月6日のオンライン講座を前に大切な課題をもらった。
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朝カルオンライン「野口体操」講座 5月6日(土)Zoom 撮影準備完了

2023年05月02日 13時22分18秒 | Weblog
5月6日の朝カルオンライン講座の準備を行った。

2020年3月にコロナ自粛要請が出された時、ZoomでのやりとりやYouTubeで野口体操chを発信するために準備を行なった。

まず、反射板の作り方を、亡くなった写真家の佐治嘉隆さんから教えられた。
一旦アルミホイルを皺くちゃにする。それを剥がすように丁寧に伸ばす。伸ばしたホイルをカレンダーに貼り付けるだけ、という超簡単作業だ。

一代目は3年間使っているうちに剥がれてきたので、先ほど新しくホイルを貼りなおした。二度目の作業は楽で綺麗に出来上がった。
     それが☟です!
  顔に照らす光を柔らかくする

    光源は階段に設置

   パラフィン紙でカバー 

  パソコンはMacBook Air 

 画面が小さいのでモニターに接続
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