みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

欺瞞の国策

2020-12-26 14:09:02 | 社会
ベラルーシの記録文学作家、スヴェチラーナ・アレクシエーヴィチは、ウクライナの『チェルノブイリの祈り』の著者でもある。かって来日して北海道の泊原発を見学した折、「日本ではすべてがきちんと計算されているので、チェルノブイリみたいなことは起こりません。あんな事故を起こすのはだらしないロシア人だけですよ」という説明を聞かされたそうだ。その8年後に福島の原発事故は起きた。(岩波書店「図書」863号 沼野充義氏の巻頭文より)

危機に置かれた人間が、「自分だけは大丈夫」という欺瞞によって自からの精神の安定を図るのは、抗しがたい現実だろう。しかし、そうした欺瞞が国策になってしまったら、まさに無防備の国だ。

かって、「神国日本」は敗ける筈が無いのだ、という欺瞞によって勝算なき侵略戦争へ人々は駆り立てられた。

今、コロナ禍で日本も医療崩壊が始まり、医師会のトップ等が危機を訴えているというのに、国策は相変わらずノンベンダラリと「お願い」を繰り返すだけ。危機を直視しない欺瞞の国策だ。

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