その人が
鏡の前にいるのを見たことがない。
化粧もしていないし、
髪の毛とかに頓着している様子もない。
服だって
いつも着てるの、古着ばかりじゃないの?って感じ。
そんななのに
あの人が
誰より綺麗なのは何でなんだろう?
こんなのはどう考えても不公平だ、
私がどれだけ鏡の前で奮闘しても
あの人みたいには、なれない。
あの人に近付くことすら出来ないのだ。
私が奮闘すればする程、
あの人との距離は開いて行く。
私は、周回遅れランナーみたいだ。
どうして私はあの人みたいじゃないのに
あの人みたいになりたいのだろう?
どうして私はいつまでも自分自身をこんな風に
許せないままでいるのだろう?
私は好きで鏡の前に
座っているのではないのです。