まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

小豆島から姫路へ

2019年12月24日 | 旅行記G・四国

土庄港に戻る。これから乗るバスは先ほど訪ねていた土渕海峡や迷路のまちの近くも通るのだが、わざわざ港に戻ったのは、地元の物産コーナーで土産物や飲食物の購入のためである。やはり小豆島のものは高松駅より小豆島で買ったほうがありがたみを感じる。

バスを待つ間、近くの旅館にマイクロバスが横付けされ、見覚えのある白衣や頭陀袋を持つ10人くらいのグループが降りる。中には菅笠に錫杖の出で立ちもいる。おおっ、小豆島八十八所めぐりの人たちか。

南回り福田港行きのバスには数人が乗車して16時に出発。次のバス停で中国系の女の子3人が外から運転手に声をかける。どうやらエンジェルロードに行きたいようだ。運転手は、次の土庄本町まで乗り、そこから「ウォーク」するよう案内する。干潮の時間帯は砂浜を歩いて向かいの小島まで渡れるということで、小豆島の人気スポットである。先ほどの高速艇でもキャリーバッグを持つアジア系の女性がいたのだが、アートの島めぐりともつながるのだろうが、こうしたところにも外国人観光客が来るようだ。

干潮の時刻はネットで確認できる。ちなみに訪ねた12月13日の干潮時刻は5時26分と18時33分とあった。女性たちがちょうど今から歩けば少しずつ潮が引く頃だが、干潮の時刻には日はとっくに暮れているだろう。もし今夜は泊まりで明日の朝なら6時01分・・・まだ夜が明けていないだろう。鳴門の渦潮や厳島神社の大鳥居が頭に浮かぶが、海が絡んだスポットは潮の時間の事前チェックは欠かせないようだ。

バスは土庄町の中心部で買い物帰りの客を乗せ、東に進む。土庄町から小豆島町に入り、小豆島中央高校では下校生が乗り込む。2年前、小豆島高校と土庄高校が統合して新たにできた学校である。ホームページから、島の高校として進学、就職ともに力を入れていることがうかがえる。今の私の仕事柄、卒業する生徒がどのような進路(特に就職)を選ぶのかは気になる。ホームページを見ると、小豆島内、あるいは香川県内企業からの求人はもちろん多いが、四国の他県、関西の企業も目につく。果ては東京はじめ首都圏の企業も結構ある。まあ、首都圏の企業あたりになると全国の高校に求人票を機械的に発送しているだけというところも多いと聞く。一方で進路担当の先生としては、いわゆる「指定校求人(非公開求人)」で来る企業のほうを尊重したい考えもあるようだが・・。

話がそれる間にもバスは走る。時折、島の南側の海岸に近づく。車内では2人掛けのシートでぴったり寄り添って青春の一時を豊かにしているカップル生徒もいる。その後ろで高校生の「スカウト(何の?)ごっこ」のように怪しく座っているおっさん(私)。

高松行きのフェリーがある池田や、小豆島中央病院を過ぎる。その後、内海湾に接近する。日が暮れゆく中なのが残念だが、穏やかな海面の景色は心を和ませる。このまま走ればジャンボフェリーが発着する坂手に向かうが、バスは内陸を横断する。この辺りまでで買い物客も高校生も皆降りてしまい、乗客は私のほかに2人だけになった。

再び見えた海は東の播磨灘。険しい地形の中を行く。時刻はまだ17時前だが、太陽が陸地の陰に隠れるためか、暗くなるのが早い。その中、かつて大坂城の石垣も切り出したという小豆島らしく、石材関係の会社や現場が目につくようになる。先ほどの土庄のような緩やかな地形ではなく、急な崖も多い。小豆島の多用な地形がうかがえる。

土庄から1時間で福田港に到着。すっかり日が落ちた。次の姫路行きは17時15分発で、バスとの接続もよい。昔の回船問屋のような造りのきっぷ売り場で乗船券を買い求める。平日のこの時間だからか、船内はガラガラである。「おりいぶ丸」は先ほどの宇高航路の「第一しょうどしま丸」よりも新しい感じで、船内は丸テーブルを囲むソファー席や、長テーブルで6人向かい合わせで座れる長ソファー席、カーペット席、リクライニングシート席などさまざまな種類がある。客が少ないので長ソファー席に寝そべる人もいる。

私もこのタイプに陣取って、先ほどバスに乗る前に土庄のコンビニで仕入れた飲食物をテーブルに並べる。早めの夕食と夜の海を見ながらの一献ということで・・。船内にも売店はあり、うどんもメニューにあるが、この日は売店が休みとの張り紙がある。客が少ないからだろうが、ただ土日に乗ったらまた雰囲気も違うだろうし、いずれまた利用したいものだ。

出航時は展望デッキにいたが、灯りもほとんどなく暗いのですぐに客室に戻る。NHKの夕方のニュース番組を見ながらゆったり過ごす。思えばこの日は大阪~宇野~高松~土庄~福田~姫路と、これまでになかったルートでの日帰りである。小豆島八十八所めぐりをどうするかはさておき、他の名所スポットもいずれ訪ねてみたいものだ。

途中、家島諸島の西を通り、前方に少しずつ灯りが見えてくると姫路の飾磨港に到着である。18時55分着で、福田からは100分。渡し船というよりはちょっとした船旅を楽しむ時間に感じた。

姫路駅行きのバスも接続よく出発し、順調に駅に到着した。新快速に乗る前に、先ほどのフェリーのうどんの代わりに、姫路の名物「えきそば」にて締めとする。麺だけで3食目やな・・。

さて、このお出かけから2日後の運航をもって宇高航路は休止になった。四国フェリーのホームページにて、お礼のメッセージが掲載されていたので、最後に紹介しておく。

「高松~宇野航路の運航休止のお知らせ(令和1年12月16日より)

宇高航路は国鉄連絡船の時代から数えますと109年、弊社がフェリー事業として64年の長きに渡り四国と本州との人流物流を支えてまいりましたが、この度この歴史ある航路を運航休止せざるを得なくなってしまいとても残念です。

本年11月11日に運航休止を表明させていただいたのち12月15日の運航最終日まで、遠路より大勢の方々にお越しいただき心より感謝いたします。

宇高航路には皆様、進学や就職そして新婚旅行など人生の節目とともに思い出があるかと思います。瀬戸内海の船旅の思い出とともに末永く心にしまっておいていただけたら幸いです。

本当に長い間のご利用心より感謝いたします。 ありがとうございました。」

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