まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第8回中国観音霊場めぐり~持光寺(尾道七佛めぐり・満願)

2019年12月08日 | 中国観音霊場

尾道駅からほど近い持光寺。途中では猫もお出迎えするが、やはり駅から先にこちらを訪ねるほうが「順打ち」だと思う。そこを東の海龍寺から始めた理由は、納経所の時間がゆったりしているので、朝の時間を少しでも有効に使えないかと、とりあえず海沿いに歩いてみようということだったのだが、それでもせっかちな行動なのかな。

出迎える山門は延命門という。これまでになかった独特の造りである。持光寺の背後にある日輪山から切り出された花崗岩からできた門で、岩から出るパワーが延命長寿につながるという。岩といえば千光寺にもいろいろあったが、尾道というのは石の文化もいろいろある土地なのだなと感じさせる。寺が開かれたのは平安時代、慈覚大師とされていて、後に浄土宗の寺として今に至る。本尊は阿弥陀如来である。

持光寺と言うとピンと来ない方もいるだろうが、「にぎり仏」の寺といえばわかる方が多いのではないかと思う。手のひらサイズに収まる土の塊をギュッと握り、後で顔形を整えて自分だけの仏様をこしらえるものだ。後は窯で焼いてもらい、完成品を郵送してくれる。私もかつて一度体験したことがある。その像はとっくの昔にどこかに行ってしまったが・・・。

なお「にぎり仏」、昔からの伝統かと思っていたが、始めたのは2000年からという。これは知らなかったし、意外だった。住職は陶芸家の一面もあるそうで、制作の中で余った土を捨てるのがもったいないのと、土にも仏性があるからというので、仏様でも作ってみればということから始めたという。それが寺の町である尾道での貴重な体験として有名になった。だとすると、私が体験したのは「にぎり仏」が広まったばかりの時期にあたる。

本坊ではまさに「にぎり仏」の体験の最中で、畳の部屋だけでなく縁台にも観光客が出ている。私もどうしようかと思ったが見送り、ちょうど「にぎり仏」の対応をしていた寺の人に声をかけて、七佛めぐりのスタンプをいただく。ご利益は「延命祈願」。

途中経過を撮影していなかったので、スタンプの専用色紙の画像を載せるのはこれが初めてである。真ん中に七福神のように宝船に乗った佛たちがいて、7ヶ所回ったことで「満願成就」の印が押される。

さらに紙の掛軸もいただく。三つ折にして色紙のカバーになるし、広げれば壁にかけることもできる。帰宅後にそのようにして、尾道めぐりのよい記念となった。

尾道はさまざまな町歩きを楽しめる。今回は中国観音霊場めぐりと七佛めぐりを軸にしたが、訪ねていない寺院の中には隠れた名刹があるようだし、他にも文学にこだわる、映画の舞台にこだわる、あるいは猫を追い求めるという楽しみ方もある。また機会があればぶらつきたいものである。

時刻は15時前。5時間くらい要すると言われていたが、寄り道もあったので今回は6時間かかった。帰りの16時発の高速バスまで時間があるので、最後に尾道ラーメンをいただくことにする。バスには5時間近く揺られるし、夕食の時間にかかるので先に腹に入れておこう。

尾道ラーメンがだいたいどんな風味なのかはイメージがつくし、別にどこの店で食べようというお目当てはない。後で書く形になったが、そういえば尾道ラーメンの老舗とされる「朱華園」という店が、店の主人の健康上の理由で、今年の6月に「一時閉店」となったのを何かのニュースで聞いていた。昼食後に店の前を通ったのだが、貼り紙も寂しげ。ただ、尾道ラーメンがすっかり有名になり、他の店もいろいろ賑わっているのは朱華園のおかげも大きいのではないか。

今回入ったのは駅に近い「ベッチャー」という店。「ベッチャー」とは毎年11月初めに尾道で行われる祭りで、鬼や獅子の面をつけた氏子が神輿とともに町を練り歩き、手にした棒やささらで頭を叩いたり体を突いたりする。ただ叩かれたり突かれたりするとご利益があるという。店内には祭りの写真もあるし、BGMでお囃子が流れている。

注文の一品はオーソドックスな中華そばの味。もっともこの店は激辛にアレンジしたラーメンもあるし、普通のラーメンにも卓上の「尾道やくみ」をふりかけることで独特の味を出すことができる。七味唐辛子なのだが、そこに瀬戸内らしく小魚の粉末も入っている。そのために辛味プラス旨味を引き出すとあり、さまざまな料理に合うという。どこかでお取り寄せできないかな。

また長くなった紀行文だが、ようやく帰途に着く。もう一度尾道水道の景色を見てから、大阪行きの高速バスに乗り込む・・・。

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