まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第10番「三室戸寺」~西国三十三ヶ所巡り・30(猛暑の宇治巡り)

2015年08月04日 | 西国三十三所
暑さの中で三室戸寺の参詣を終える。今回の札所とセットで訪れるのは宇治。中でも代表的なのは平等院鳳凰堂である。

ただ、宇治川に沿って少し足を伸ばすと天ヶ瀬ダムがある。自然を楽しむウォーキングコースとして人気で、三室戸の駅でもらったパンフレットでも紹介されている。天ヶ瀬ダムには行ったことがないし、時間は10時前でたっぷりとある。目指すことにしよう。

・・・と思って、まずは住宅街を歩く。それだけのことだが結構キツい。

1キロほど歩いてやって来たのは源氏物語ミュージアム。源氏物語の最後の十冊は、宇治十帖として宇治が舞台。すでに光源氏は亡く、薫の君や匂宮といったところが出るが、その世界のドロドロさは現代のドラマ以上に深いという評価がある。それを1000年前の女性が書いたということで。源氏物語マニアという人とお付き合いしたことがないので何とも言えないが、源氏の中でも宇治十帖マニアという人は世の中に結構いるのでは。

このミュージアムにはかつて入ったことがあるが、今回は冷房での休憩も兼ねて入る。ちょうど映像室で宇治十帖の「浮舟」をテーマにした20分の人形劇の映像が上映されるとあって、画面を見ながらしばし憩う。宇治というと当時は「世をうぢ山」と喜撰法師の百人一首にも吟われたほどのひなびたところだが、今は歴史とともに住宅地も広がる賑やかなところ。

展示をしばらく見て、ミュージアムを後にする。近くには世界遺産の宇治上神社。日本には世界遺産スポットがこれでもかと溢れているが、その中で最小とされるのが宇治上神社。現存する神社の造りが日本最古ということで、京都の寺社群の一つとして世界遺産になったそうだが・・・どうなんだろうな。

一般的な日本人の価値観だと、宇治上神社は何も悪くないが、このくらいの神社ならどこにでもあるのでは?・・・としか見えないのでは。個人的な思いとして、同じ神社なら、伊勢神宮とか出雲大社のほうが大きいし、たくさんの人がお参りするし、世界の人たちも納得するのではと思う(というのは、歴史を知らない素人考えか)。

源氏物語ミュージアムから宇治上神社に行く間に、左前方に延びる山道がある。仏徳山(大吉山)というところで、山道は東海自然歩道の一部である。今回宇治に来る前にネットで調べたところ、知る人ぞ知るスポットとして紹介されていた。京阪のウォーキングパンフレットにも載っている。

山道と言っても、道幅は広いし、距離を長くする代わりに勾配も緩やか。4輪駆動のクルマなら登りきるのではないか。安保法制・安倍政権への反対派が宇治市街に撒き散らす騒音をバックに15分ほど歩くと、休憩スポットとして木のベンチも多く置かれている。

ここからは、眼下に宇治川、そして世界遺産の平等院鳳凰堂をも見下ろす。初めてのことでうなるばかりだ。

せっかくなので、ここで昼食とする。山歩きというほど歩いてはいないが、シチュエーションとしてはおにぎりがお似合い。

このまま山を歩けば天ヶ瀬ダムを経て笠取方面に抜けることができるが、少し歩いて下り坂を選ぶ。曹洞宗の興聖寺に出る。この寺から宇治川に下る琴坂を歩き、水流豊かな宇治川に出る。

天ヶ瀬ダムに向かうなら左に曲がるところだが、この時の私は右に曲がった。最初に天ヶ瀬ダムに行くつもりだったのを曲げたことになる。弱気と言われればそれまでだが、たかがこれだけの距離を歩いただけでその先を断念するくらいの暑さを感じた。しばらく歩くと自販機があり、「宇治茶」のペットボトルを一気に空ける。

宇治川を渡るとすぐに平等院である。さすがは有名スポットとあって、国内外の人たちで賑わっている。前回訪れた時には改修直後で大人気だった鳳凰堂の内部拝観だが、この日は「1時間待ち」とあった。元々時間には余裕があったし、先ほど天ヶ瀬ダム行きを断念したばかりである。1時間待ちなら許容範囲である。とはいうものの外に座っていては暑いだけなので、建物を見るのはそこそこに、鳳翔館ミュージアムに向かう。拝観順路ではあるが、やはり何と言っても屋内で冷房が効いている。文化財を拝観しながらしばし快適に過ごす(座るところがあればもっとよかったが)。

ミュージアムで過ごしたり、あるいは藤棚の下の木のベンチに腰かけたりするうちに時間になった。外観はオリジナルに近い色彩に復元されたが、本尊の阿弥陀如来像が安置されている中央の内部は当時から手を付けてないという。ベンガラ色の外観と比べれば、木の地の色が出て一見朽ちたようにも見えるが、一方で年月の重みのようなものを感じる。入れ替えもあるので実際内部を見ることができるのは10分あまりだが、それでも平安から現代につながる歴史を感じさせるのがすごい。

今回は短い時間ではあったが、これで終了とする。その前に、次に向かう札所ということで、観音さんとは違う阿弥陀さんが見守る平等院鳳凰堂の前でのサイコロである。残る選択肢はあと6で、ちょうどサイコロの出目の数と一致する。

1.姫路(圓教寺)

2.近江八幡(長命寺)

3.東山(今熊野観音寺、清水寺、六波羅蜜寺)

4.安土(観音正寺)

5.舞鶴(松尾寺)

6.飛鳥(岡寺)

・・・・最後の岐阜の谷汲山華厳寺を前に、ここまで来ると札所の番号通りに残っているのが結構ある。姫路、舞鶴、近江と、自宅から遠いところが揃っている。その中にあって、まだ飛鳥の岡寺が残っているのもしぶといが・・・・。

そして出たのは、別に細工したわけではないが「6」。これでようやく岡寺だが、ここでほっとするのが、納経軸はすでに両親が参詣した時に書いてもらっているので、次の飛鳥訪問時には持参不要ということ。リュックが一回り小さいもので済む。暑い中を飛鳥の歴史舞台を歩き回るので荷物は少しでも軽い方がいい・・・・。

宇治ということで平等院の門前には宇治茶に始まり、茶そばや宇治金時を扱うお休み処が並ぶが、それらはいいかなと。結局そのままJR宇治駅まで歩き、スタンプラリーの駅スタンプをいただく。そのままJR奈良線の「みやこ路快速」に乗り、奈良まで南下。後は大和路線に乗り換えて天王寺まで戻る。宇治茶よりも真夏で体を動かした後はアレということで・・・・。

次の飛鳥を回ると、後は京都市中心部、姫路、舞鶴、滋賀中部2ヶ所ということで、京都以外は遠いところが結局残ることになった。くじ引きとサイコロでランダムに選んだつもりが、最後はこうなるのかなと・・・・。いよいよ後半にかかった西国三十三所巡り、満願まで楽しみたいところである・・・・。
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