まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

レンガ造りの博物館と近江町市場

2015年08月23日 | 旅行記D・東海北陸
兼六園に隣接する本多の森公園に行く。ここには赤レンガ造りの建物が3棟並ぶ。石川県立歴史博物館である。かつては陸軍の兵器庫だったのが再活用された。また今年の4月にリニューアルオープンしたところである。

常設展では加賀・能登の歴史が時代ごとに紹介されている。旅先で県や市の歴史博物館に行くことがあるが、いわゆる教科書の日本史とはまた違った視線で展示されているのが面白い。加賀・能登の歴史で出てくるのが、海の民としての一面。日本海を介した大陸との交流もそうだし、江戸時代の北前船もしかり。他には蓮如から始まる一向宗、一向一揆の動きも触れられている。

圧巻なのは加賀前田家の大名行列。行列の規模は石高によって決められていて、百万石の前田家の場合は2000人を超える長いもの。その様子を昔の屏風図を元に人形で再現され、モニターでは江戸までの道のりを紹介する。1回の道中で億単位の費用がかかったという。

モニターの中で触れられていたのだが、この行列のルートというのがちょうど北陸新幹線のルートに近いこと。昔の北国下街道~中山道のルート、新幹線なら最速2時間半で着くところ、行列はおよそ2週間がかりでの移動である。金沢からなら北国街道を木ノ本まで行ってそこから中山道、東海道に出るルートもあるが、当時の加賀藩の領地は今の富山県も含んでおり、少しでも長く自分の領地を歩くことの安心感や、領内の視察も兼ねてこのルートを多く取ったそうだ。

この他に常設展示としては加賀・能登の祭りにも触れられている。

さて、常設展示も見ていてためになるものが多かったが、今回ここを訪れようと思った大きな要素は、こちらの特別展示。「大鉄道展」である。

こちらは北陸新幹線の開業を記念しての展示で、ちょうど8月23日までの開催。東海道新幹線の構想に始まり、東海道、山陽、東北、上越、九州、そして北陸という建設の歴史が紹介されている。

また別のコーナーでは北陸線の歴史である。私としては新幹線よりも在来線やローカル線といったところに興味があり、往年の特急のヘッドマークなど見るのが楽しい。

さらには、石川県の鉄道の紹介もある。現在はJR、北陸鉄道、のと鉄道、そして第三セクターのIRいしかわ鉄道というのが走っているが、かつては北陸鉄道もさまざまな路線も持っていたし、金沢の市内にも路面電車が走っていた。松本清張の『ゼロの焦点』は金沢や能登が舞台の作品であるが、その映画(モノクロ版)でも、路面電車や北陸鉄道のミニ電車が登場していた。北陸鉄道も2路線が残るのみとなったが、まだまだ頑張ってほしい。

この後は加賀本多博物館を見た後、兼六園下からバスに乗り近江町市場に向かう。時刻は11時前だが既に大勢の客で賑わっている。店によっては開店前から長い行列ができている。

特にお目当ての店があるわけでなく、その前に食事のために並ぶのが嫌いなので、通りから少し脇に入ったところにある「近江町食堂」というのが空いていたので入る。カウンターはなく1人だが2人がけのテーブルに案内される。テレビでは高校野球の真っ最中である。

一番人気は海鮮丼で、他には好きな具材を乗せる宝箱丼というのもあるが、注文したのは近江町定食。刺身メインだが小鉢もあり、朝から歩いた後で生ビールと一緒に注文。おそらくこの日の夜は呑みに出ることはないだろうから(前の記事の通り、野球観戦で結構時間が押したのと疲れたのでチェックイン後は外に出なかった)、昼で金沢の味を楽しむことにする。

ということで、時価扱いののど黒の塩焼きを注文する。出てきたものはほどよく塩味が利いているし、身も柔らかく美味しい。並と大があって今回並を頼んだのだが、1匹の値段は・・・定食よりも高かった。さすがは高級魚である。定食だけではなく単品メニューも充実しており、居酒屋としても使える店である。

すっかり満足して会計というところ、レジでいろんなサイン色紙を見る。まあ金沢の食を楽しめる近江町だからなと見ていると、思わずびっくりする色紙を見つけた。店員さんの許可を得て撮らせてもらったのがこちら。

「美味」。平成25年(2013年)の7月といえば参議院議員選挙が行われた。自民党が政権を奪回し、この参議院選挙でも勝利してねじれ国会が解消された。この時に金沢にも遊説で来たのだろう。当初から自民党有利という予想もあり、食事するのも結構余裕だったのかもしれない。

食事を終えて市場内をぶらつく。すしや海鮮丼を扱う店が多いが、どこも長い行列である。そんな中で鮮魚店にはのど黒や紅ずわいがにもあるが、目立つのは岩ガキである。店頭で食べさせる店もあり、私もそんな店の一つでいただく。身も握りこぶしくらいある結構大きなものだ。味も結構濃い。

お腹も膨れたところで金沢駅に戻る。そろそろ、午後の目的地である金沢市民野球場に向かう。最寄駅は北陸鉄道内灘線で3つ目の磯部だが、時間もあることだし、一旦終点の内灘まで行くことにする。そうすると内灘線の1日乗車券のほうが安い。

北鉄金沢駅は地下ホームから出る。車両は元京王井の頭線で使われていたもので、車内には当時の写真も多く飾られている。また自転車の持ち込みもできる。

乗客の中に千葉ロッテマリーンズのTシャツ姿の人を見かける。磯部で降りていったから、おそらくそのまま球場へ向かうのだろう。やはりフリオ・フランコ目当てかな。

駅間は結構短く、1~2分も走れば次の駅に到着する。近郊客の利用もそこそこある。20分あまりで内灘に到着。ここから海は近いが歩くには遠い。やはり暑いし、野球場にも早く行きたいのでここはすぐに引き返す。

折り返しの列車の乗客はそこそこあったが、磯部で下車したのは私だけ。遠くに金沢駅周辺の高層建物を見る中、浅野川を渡り、田んぼの中を球場まで歩く・・・・。
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