まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

並行在来線第3セクターに乗る・・・えちごトキめき鉄道

2015年08月27日 | 旅行記C・関東甲信越
前の記事で、あいの風とやま鉄道の泊駅から直江津行きに乗り換えた時のことを、「列車が1両というのもアレだが、ましてこれが「電車ではない」と言われた日には・・・・」と書いた。

拙ブログをご覧の方の中には、え?電車の旅してるのに「電車ではない」て何やねん?・・と疑問に思われる方もいらっしゃるだろう。

これから乗るえちごトキめき鉄道の車両は、電化区間なのに電車ではなく気動車である(まあ、電車と気動車をきっちり分けたがるのは鉄の習性ということで・・・)。もっとも最近の気動車は技術が進んでスマートな車体だし、ハイブリッド仕様なんてのもある。見た目は電車と変わらない。

電化された区間に日常的に気動車が走る区間はある。地方の幹線がそうだ。長距離運行は特急や貨物列車の利便性のために電車や電気機関車が走るが、ローカル輸送はそんなに利用がないところ。思い浮かぶのは羽越線の新津~酒田間。コスト面を考えると、気動車の方が効率的なのだろう。

北陸線のこの区間は急行型や寝台電車改造型が3両で走っていた。それが1両の気動車になったのは現状の利用者数なのだろう。ここまで乗ってきたIRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、そこに富山地方鉄道を加えても、えちごトキめき鉄道区間は沿線に中心となる都市もなく、最も厳しい経営環境なのかなと思う。気動車の数も多いわけではなく、数少ない戦力で何とか頑張っていこうというところだ。

1両の気動車は1‐2配置の座席がほぼ埋まる中で泊を出発する。盆明けの時期なので全員座れたが、盆期間など多客時には1両ならすし詰めになったのでは。

泊の次が越中宮崎。ヒスイが採れる海岸で知られる。また、駅の近くには郷土料理の「たら汁」を食べさせる店が点在する。計画時点では越中宮崎で下車して、ヒスイ海岸とたら汁というのも考えていたが、無人の越中宮崎に荷物を預けるところなどなく、ましてこの日は朝から雨模様だったので、キャスターつきバッグを転がすのも無茶かなと思い、素通りした。ヒスイ海岸とたら汁は、クルマで訪れるか日帰り装備でないと無理そうだ。

この先は日本海を見る区間もあり、車窓は良い。境界の市振もあっさりと過ぎ、県境のトンネルを抜けて親不知へ。昔の汽車駅らしくホームは長いが、ハイブリッド気動車はホームの端にちょこんと停まる。

糸魚川で半数の客が入れ替わる。またJR大糸線から、あるいは大糸線への乗り換え客もいる。昔の設備として10両以上停まれるホーム上で、わずか1両の気動車同士の乗り換えがちまちまと行われる光景はどないやねんと思う。今は昔からの設備を残しているが、そのうち長いホーム自体を切り刻んで撤去するかもしれない。

そんなことを案じながらさらに東に進み、直江津に到着。直江津は糸魚川以上に鉄道のジャンクションとしての歴史的役割がある。


直江津の町そのものは寂しいところとしても、ジャンクションらしく駅弁は充実していた。駅前のホテルが駅弁も手掛けていて(正しくは、駅弁業者がホテルも手掛けているのかも)、昨年はそのホテルに泊まり、夕食を予約の駅弁という荒業をかけた。今回の旅でも、同じような形での直江津宿泊も候補に挙がっていた。

直江津は構内が広い。そんな駅の北のホームにちょこんという感じで着いた気動車。乗り換えとして、JRなら新潟まで行く特急が間もなく来るし、長野方面の妙高高原行きもすぐの発車である。ただ、私もこれから長野に行くが、妙高高原行きは一本見送り、駅弁を買うことにする。13時を回っても昼食がまだなので。

直江津はホームの階段を上がった改札口前に駅弁が出ているが・・・うーん、品数はほとんどない。エースの鱈めしはあるが、あれはもういいかな。

やはり北陸新幹線開業で直江津の拠点性が薄れたのだろう。今のところ新潟県内移動はあるものの、駅弁の需要も薄れたのだろう。まあこれは予想できたこと。新幹線の上越妙高駅にしっかり出店しているそうで、「磯の漁火」や「するてん」といった優秀駅弁はそちらで売られているのだろう。今回、それを確認できなかったのは残念。

・・・で、昼食はするてんの単品。これに合わせるのは新潟限定のサッポロ「風味爽快ニシテ」。

駅弁の入手を試みようと、えちごトキめき鉄道の妙高はねうまラインの列車を一本遅らせた形になったが、結局は空振りに終わった感じ。そんな中、次の妙高高原行きが到着したのだが、これは先ほどとは打って変わって電車・・・なのはいいが、オールロングシート。うう、ここに来てかつてと同じJR東日本(やたら東京標準に合わせようとする)のカラーが強いというか、元々JR東日本の車両だったのを譲り受けて走る妙高はねうまライン。ここは同じえちごトキめき鉄道の中にあっても、旧東日本の信越線区間と旧西日本の北陸線区間ではカラーは全然異なる。何だか合併会社を見ているようだ。いっそのこと、妙高高原から直江津の区間もしなの鉄道に任せればよかったのでは。一方の直江津から市振までの区間は北越急行(ほくほく線)に委ねるとか。同じ会社なのに通しのきっぷすら買うことができないというのは、どうかしている。

直江津からは長野までの区間の連絡きっぷで入る。こちらも「妙高高原から長野行き」という、しなの鉄道の表示がなされる。

直江津を出た時はガラガラだったが、春日山、高田という上越市の中心部の駅では乗車も多い。そして到着した上越妙高。列車行き違いのために2~3分停車するが、さすがにこの時間で駅弁を買いに行くことはできない。先ほど直江津で列車を遅らせることなく乗っていれば、上越妙高で下車して新規の駅弁コーナーに行けたかもしれない。ちょっとこの辺りが甘かったか。

それにしても、朝から主要駅が近づくたびに北陸新幹線の高架橋と並走するのだが、その高架の上を高速で通過する新幹線の車両をまだ見ていない。翌日には乗りつぶしということで乗るからいいのだが、一度は走っているところを外から見てみたいものである。

上越妙高を過ぎると景色も水田から山岳地帯に移る。天候が良ければ遠くに妙高の山々を見ることができるのだろうが、完全に雲に覆われている。妙高と言えば、元ジャングルスマイルのボーカル、高木いくのさんが観光大使を務めるところ。現在は結婚もして完全に故郷の妙高をベースに音楽活動している。そういえば久しくCDも聴いていないし、関西から妙高というのもなかなか訪れることがないところ。ナマの歌声を聴いたのは川崎でいじめ問題に取り組むNPO法人のコンサートの時だけなのだが、またいつか耳に触れることができればなと思う。

ロングシートの横手では、おっさんの二人連れが山々を眺めながらの酒盛り。プラスチックのコップ持参で、紙パックの焼酎を水やお茶で割って味わっている。あては直江津駅で売っていたするてん。のんびり旅の風情を味わおうといろいろ仕込んできたのだが、車両は無情にもロングシート。それでもガラガラなので飲んでしまえ・・・てなもんである。鉄道の旅にはこのくらいの度胸がものを言うのか。

二本木のスイッチバックもあり、ちょうど県境に位置する妙高高原に到着。時間が早ければ下車して妙高の麓までいく、緑に触れる、温泉に入るということもできるが、この日はもう素通りする。目的地の長野まではあと一息。ここからはしなの鉄道の北しなの線に揺られることに・・・・。
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