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世界的ソリストのレッスン

2016年09月26日 19時48分23秒 | オペラに挑戦
             

「ノルマ・ファンティーニ」さんのレッスンを聞きにいった。「それ誰かって?」 雨で流れた奈良公演でタイトルロールをやってた、つまり「トゥーランドット姫」を歌ってた女性です。
彼女が日本人の若いソリストにじきじきに指導するレッスンを拝見しにいったのです。主催してる「さわかみ財団」の研修生4人が生徒さんです。
右の写真 左から 研修生ソプラノ梨谷さん、研修生ソプラノ松藤さん、研修生バリトン井出君、通訳の女性、ファンティーニ先生、研修生ソプラノ神戸さん、ピアノ伴奏の伊坪さんです。
無料の公開レッスンで「歌が自分の道」と考えてる人が多く来てるかと思ったがそうでもなかった。そんなに宣伝してなかったこととか、月曜日だったというのがあるんでしょうね。僕としてはもったいないんじゃないのでしたが。一番前の真ん中の席に20歳前の女性が1人で座ってた。その道の人のよう。レッスン終了後先生から声をかけられてた。伊語で会話してたから相当の少女だよ。終了後 表で先生とハグしてたな。いいね。強烈な刺激となって彼女の中に残ってくれれば。
ここからは僕が見たエピソードをかいつまんで。印象強い事から。

さすがの声  先生はほとんど歌わないのですが、チラッと声が出ちゃうんですね。それがとんでもなく凄い。「さすが」でしかない。強烈。53歳だと言ってましたが。「奈良のあの環境で聞きたかったな」。
その先生がいた  レッスン中に会場から伊語の爺さんの声がやたらに飛んでくる。彼女の30年来の先生ですって。70歳超えてますよ。まだまだ指導の現役。彼女も一目おいて、師の言うことも取り入れながら指導してたな。
指導の基本  「胸から上は力を抜け」「下腹で支えて歌え」「口の奥を大きく開ける。さらに後ろ、後頭部の後ろに中国にある小箱(?)が3つある感じで」(これはわかりません。後ろで響かせて、前に飛ばせと言ってるんだろう。)
 この指導は面白かった。研修生を後ろから抱いて、生徒の下腹に自分の大きな手を当てる。私が押したり引いたりするからそれに合わせて息をしろ。胸で息しちゃだめ。下腹でやれ。一つのアリアをこのスタイルで歌わせる。強い時は女の子の両足が浮いてしまうくらいだった。先生はどんな歌がきても、どこでどういう息遣いかを完璧に知ってるってことですよ。歌い終わると研修生の顔が変わるんです。「歌えた」って感じを持ったんだろうね。ただし先生の補助があったことを忘れんなよ。「下腹で歌え」は僕にも理解できた。
 横隔膜の解除  これも息遣いの基本なんだろう。2人の研修生が最初のワンコーラスの後、即座に舞台裏に連れていかれる。先生は「ちょっと待ってて」と我々に言って、舞台裏へ。「貴女は横隔膜がロックされてる。それを解除しないとだめ」らしい。最初は女性研修生を舞台で寝かせてなんていってたが、レディーですし、そんな場所もない。そこで舞台裏になったしだい。ものの5分ほどで戻ってきたのだが、どんな施術をしたのやら。された研修生は「楽です」というから効いてるんだろうね。これにも驚いた。
 ところがです、研修生の女性の中に1人「ちょっと風邪ぎみ」という人がいたんです。最初に「彼女は風邪ひいてるらしいのね。だから私は近づかないわよ。だって28日に公演が控えてるからね」と断って、指導中彼女から3m以内には近づかなかったですね。はっきりしてるな。これぞプロ。「ここは冷房が効いてる。よくない。表に行きましょう」で公演後のもろもろは公衆の面前でした。
それは歌うな  梨谷さんが「トゥーランドットのアリア」を練習曲に選んで指導を受けたのだが、一通り聞いた後であっさりと「この歌は辞めなさい」との批評。「私は先生から30歳でNoと言われ、40歳でもNoと言われた。50歳になってぼちぼちと言われて今回やっと歌ってます」だって。「貴女の声は素晴らしい。それを潰してはだめ。将来活かすために今は「トゥー」を封印しなさい」との指導。それでボエームの「ミミ」を歌えと指導。彼女もそこでさっとミミ歌うから凄いな。
 それに「あれ」って言われたって楽譜を持ってきてるわけじゃない。会場に来てる人が「僕持ってます」で舞台に持って行くっていうのも凄くない?

彼女は社交的な人でした。見に来ただけのわれわれも入れてみんなんで写真撮りましたよ。イタリアに帰って思い出なんだろうね。今日の公演(?)はその『人となり』が見えておもしろかった。正式公演で上手い歌聞けば「上手い」ですんじゃうんだろうけど、隣のおばさん的な近さだと全然違う。いい企画だよな。
ついつい「めずらしがりや」が出てしまった。写真は撮るは、サインはもらうはの1日でした。
やはりこんなのもったいないよ。歌の世界を目指してる人にはいい時間になるんだろうけど。 よかった。おもしろかった。
コメント (15)
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